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ビトレイド・ホウェン・ビトレイド

ブリュッセル王宮会議室にてワイバーン襲撃の報を聞き

会議を中断しているハウバリン門閥貴族一同。


「一体全体どういう状況だ!?」


セイバーダーが騒ぐ。


「落ち着けセイバーダー、 対空バリスタが順調に機能している間は問題は無い」

「デトネーター伯爵!! それにも限界があんだろ!? 準備した方が良いだろうが!!」

「心配は無用、 この会議室は頑丈に作られている、 攻め込まれてもビクともせん」

「しかしよぉ!?」

「御報告です!! 敵ワイバーンが逃げていきます!!」


伝令が叫ぶ。


「何とかなった? のか?」

「いや、 可笑しい」


セルデンが疑問を口にする。


「暴風吹き荒れる上空を飛ぶワイバーンはそれなりにレアだった筈だ

つまりそこ等の夜盗や野生じゃない筈」

「何者かの作為と言う事か?」

「恐らくは・・・」

「伝令!! 王宮内で戦闘が行われている模様!! 男二人女一人の斬死体が!!」

「賊が場内に進入しているだと!? 武器を用意しろ!! 俺が打って出る!!」

「落ち着けセイバーダ!! その死体は一体誰だ!?」


ベネルクス95世が檄を飛ばす。


「は、 はい!! それが身元が分かりません!! 王宮内の人間ではありません!!」

「っ!! 直ぐに城内全ての出入り口を封鎖!! 急げ!!」

「は、 はい!!」


伝令が慌てて去って行った。


「この部屋に伝声管は・・・」

「無い、 盗聴防止に警戒していたのが裏目に出たか・・・

恐らくワイバーンは陽動・・・賊は恐らく目的を達した筈・・・」


頭を抱えるベネルクス95世。


「警備の騎士団もこの会議室を中心に展開しています

恐らく警備に精通している人間が手引きしているかと」


ヒューガルデンが冷静に分析する。


「ヒューガルデン伯爵、 それだけでは済まないだろう

恐らくワイバーンを使えるコネクションを持っている者も協力している

最低でも2人の協力者がいる」

「スクイド男爵、 警備に精通してワイバーンのコネがある者では?」

「否、 警備に精通していると言う事はこの城の関係者

そしてワイバーンを使えるコネクションで思いつくのはドラゴヴァニア関係者

そんな人間がここに勤められるとは思えない」

「なるほど・・・」

「所でワイバーンの被害とかは出ているか?」

「ウォール・ネーデルを超えさせていません!!」

「つまり外側(アウター)には被害が有ると・・・」

「ウォール・ネーデル駐在騎士団を向かわせる様に信号機※1 を動かしなさい」



※1:現代の様な三色の信号機では無く腕木通信の事。

腕木と呼ばれる木を動かす事で決められた暗号を指し示して通信を行う。

ブリュッセルでは壁毎に信号機と信号手と呼ばれる担当が在住して素早く

暗号なので機密性の高い対応が可能。

ベネルクス王国国内では信号手が在住している信号機基地が無数に存在し

バケツリレー方式に各地に情報を送る事が可能である。



「ハッ」


伝令が去って行った。


「色々と疑問は残ったが・・・いずれにせよワイバーンの身元確認だな」

「確認出来るか怪しいが・・・」





一方その頃、 カッツとフリギオ、 ハートレスとメンソールは

開拓区画の回収地点にやって来た。


「良し!! ここだ!!」

「ここだ、 って誰も居ないじゃないか!? ここで回収してくれる人が居るんじゃないのか!?」


ハートレスが叫ぶ。


「ここにいるよ」


隅っこで座っているボロを纏った男が呟いた。


「アンタが回収してくれる人か?」

「あぁ、 そうだよ」


男は立ち上がってボロを上げた。


「俺はブクレーマ、 アンタ等はトリニティーの手下だな?」

「まぁそうなるか」

「ん」


ブクレーマは手を出した。


「え?」

「え、 じゃねーよ、 ブツは如何した、 ブツは」

「それは師匠が」

「トリニティーか、 じゃあそのトリニティーは?」

「別行動しています・・・」

「おいおいおい、 マジかよ・・・ふざけんなよ・・・

ワイバーンが出て来てもう壁とか閉鎖してるぞ、 これじゃあ俺来損じゃねぇか」

「ちょっと待て、 このワイバーンはお前の仕込みじゃないのか?」


ハートレスが尋ねる。


「知るか、 そもそもお前は誰だよ」

「え? 師匠から聞いていないんですか?」

「何の事だよ」

「ハートレス男爵ですよ」

「・・・没落貴族だろ? 何で連れて来た?」

「貴様!!」


ハートレスが殴りかかろうとするのを止めるメンソール。


「お、 落ち着いて下さい!!」

「くぅ~!!」

「つーか、 足手纏いとか要らんのだがなぁ!! 一体何がどうなってるんだよ!!

トリニティーはまだか!?」

「待たせた!!」


トリニティーとジェーンが走って来た。


「遅い!!」

「すまない!! 君がモーント・ズンディカーズの使者か!?」

「あぁ!! じゃあとっととブツを寄越せ!!」

「はい」


ブクレーマに石を渡すトリニティー。


「良し!! 御苦労!!」


ブクレーマは周囲に油を撒いた。


「じゃ、 そう言う事で!!」

「お、 おいおい!! 回収は如何した!?」


ハートレスが叫ぶ。


「ボスからはこいつを回収して来いとしか言われてねぇな」

「貴様・・・騙したのか!?」

「あぁ、 そうだ、 騙したよ、 でもそれが何だ?

俺は患者(クランケ)で"油症"、 お前達の魔法は炎系

攻撃してきたら油に引火してお前達は死ぬ

俺はウィルパワーで耐熱性能上がっているから無事

結論、 お前等は俺に如何する事も出来ねぇ」

「気にする事は無い」


トリニティーがにこやかに笑った。


「騙しているのは此方も同じだ」

「は?」


ぐしゃり、 と突如降り立った灰色の龍に踏み潰されるブクレーマ。


「何やら揉めていたからコイツを潰したが大丈夫だったか?」


龍が尋ねる。


「別に問題有りません、 石の吐息(ストーン・ブレス)殿」

「ま、 まさかドラゴヴァニアの・・・?」

「うむ、 とりあえず話は飛びながらだ、 籠を持って来た、 乗れ」

「わ、 分かった・・・」

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