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ヒューマン・アンド・ドレス・リコメンド

再誕歴7701年マーチ25日。

ブリュッセル王宮の会議室にて会議を行っているハウバリン門閥貴族達。


「ハートレス領ですが意外と余裕は有るみたいですね

女中共が違法な方法でたんまりと稼いでいるみたいで

没収して復興の財源にしてしまいましょう」


資料を拡げるスクイド。


「かなりの量の資料ね、 調べ始めたのは昨日今日じゃないでしょ?」

「デトネーター伯爵、 それは私も協力したんだよ」

「バーリィ侯爵? 何故貴方が?」

「ハートレス家には結構な貸しがあったからねぇ

スクイド男爵にも結構な借金をしていたから共同で調査したんだよ」

「お陰様で貸し倒れはしなくてすみそうです」

「財源に関しては問題無い、 か

後任に関してだが・・・誰か気の利いた人は居ないのかい?」


ハウバリンが尋ねる。


「この報告書を見る限り金は有っても内政はボロボロだ

インフラも壊滅的、 貴族や国への信頼も地に堕ちた

領内に便宜を図っていた騎士団から新しい領主を決めるのは如何だろうか?」

「いや、 騎士団から新しい領主は少し厳しい

騎士は街一つレベルの統治位ならばできるだろうし経験があるだろうが

没落したとはいえ門閥貴族の領地全ての統治は厳しいだろう

ここは誰かの配下に任せるのは如何だろうか?」

「デトネーター伯爵、 そう言う物言いだと貴女には当てが有ると?」

「そうですね、 他に推薦したい人居ますか?」

「じゃあアタシの所に丁度良いのが居るからソイツを紹介するよ」


ルンが提案した。


「おいおいルン子爵、 アンタの配下は華僑とのハーフばっかりじゃねぇか」

「何か文句あるか、 成り上がりのセイバーダー子爵」

「ふん・・・

今はハートレス領はピンチだ、 ピンチにこそ人の本性が見えるモンだ

そんな中で外人混じりの奴がトップに立つのは如何かと思うぜ?」

「差別だ」

「いやいや一般論だよ

俺達の様な貴族の視点を平民共にも持てと言うのは酷な話よ?」

「推薦したい者ならば居る」

「?」

「へ?」

「セルデン侯爵が?」


セルデン侯爵の推薦に驚く一同。


「珍しい、 貴方ならば優秀な部下は手元に置いておくのかと思いましたよ」


長い付き合いのベルモンドですら驚いている。


「私を何だと思っている? まぁ、 打算込みなのは認めるが」

「打算? セルデン侯爵、 言っておきますが能力の無い者の左遷は」

「分かっている、 私も低能を送って恥をかきたくはない」

「因みに誰ですかね?」


デトネーターが尋ねる。


「セルデン領騎士団団長マーズ」

「マーズ? あの老人ですか?」

「確かに老人だし、 老い先短いだろう

だがしかし彼には優秀な息子が居る、 ダングラール銀行に勤めている優秀な奴だ

勤続80年弱のベテランだ」

「銀行員か・・・確かに金の管理が出来そうだな」

「ダングラール銀行とのパイプが有ったとは知らなかったですな侯爵殿」

「それを言うならば

ダングラール銀行が私とのパイプを持っていると言う方が正確だぞヒューガルデン伯爵

とりあえず他に推薦したい者は居るか?」


誰も挙手しない。


「では候補者は3人と言う事で、 各自推薦状を書く様に

本日の会議はここまで、 解散」


ハウバリンの号令で解散する門閥貴族達。





「そういえば舞踏会が有りますね、 ベルモンド伯爵」

「? そうだったな・・・それがどうかしたかルン子爵」


帰り際にルンに話題を振られるベルモンド。


「当然ながら私の家も参加するのですが、 ベルモンド伯爵家もご参加で?」

「そうですね、 妻が張り切っていましたよ」

「となるとお子さんのサン嬢も参加します?」

「参加しますね」

「サン嬢の執事のフェザーでしたか、 大層お強い決闘者らしいじゃないですか」

「えぇ、 執事としてもS級ですよ彼は」

「それは素晴らしい、 彼も舞踏会に?」

「参加しますよ、 私としても娘には良い男と結婚して貰いたいですからね

是非ともサンとフェザーが付き合って貰いたい物です」

「そうですか・・・ふーむ・・・」


少し考えこむルン。


「如何しました?」

「いえいえ、 奥方と御令嬢に旗袍※1 でもいかがかと」


※1:チャイナドレスの事。


「いえ、 結構」

「おや、 お気に召さない?」

「あの服は脚を見せる過ぎだと思います、 はしたないのでは?」

「最新モードですよ、 最近は脚を見せるファッションがトレンドです

膝上までの丈のミニスカートなんかも有るのですよ?」

「それはもう痴女では? そもそも最新モードって

チャイナドレスは中国の伝統衣装では?」

「意外と歴史浅い物ですよアレ※2」



※2:チャイナドレスには洋服の技術も使われており

意外と歴史浅い服である、 とは言えスリットは正義なので中国人と言えば

チャイナドレスと言う風潮が広がっている。



「そうですか・・・」

「そうですよ、 私も今はドレスですが舞踏会当日はチャイナドレスで行きます

レギュレーション※3 に沿う形で」



※3:舞踏会には服装規定が存在する。

ドレスの場合、 胸元の開け具合やスカートの丈等存在し

チャイナドレスはレギュレーション違反になっている。



「そうですか、 ではこれで」

「では舞踏会当日に」

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