インポータント・トーク
再誕歴7701年マーチ20日。
ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセルの
ベルモンド伯爵のブリュッセルハウス、 広い庭にて紅茶を嗜むサンと婦人。
婦人の名はポリニャック、 サンの母親である。
サンが年齢を重ねたらこうなるだろうなという美しい女性である。
ポリニャックはベネルクス王国から隣国ドイツ帝国の更に隣国の
オーストリア帝国皇帝フランツ=ロートリンゲンの五女である。
皇帝の娘と聞くと凄そうに聞こえるがオーストリア帝国は
ベネルクス王国と比べて小国で南方にあるアルプスフジと言う
ひときわ大きな富士山を不法占拠している魔物悩まされている。
ロートリンゲン家はヨーロッパ連合の
仮想的スペイン帝国フェリペ2世の家系であるハプスブルクとは親戚筋に当たる為
両者は絶縁状態だった為、 ヨーロッパ連合への加入が遅れた。
その為。 発展が遅れてしまい小国のそしりを受けている国である。
現在は親戚筋を増やす為に積極的に皇族の他国への政略結婚を行っており
ポリニャックとベルモンド伯爵もその婚例の一つである。
「美味しいわねフェザー君」
「ありがとうございます」
少し離れた所で待機しているフェザーが頭を下げる。
「良い人を見つけられた様ね、 サン」
「お、 お母様・・・」
たじろぐサン。
「わ、 私は別に・・・」
「・・・・・」
ポリニャックは口元を扇子で隠し、 扇子を閉じてテーブルに置いた。
「フェザー君、 ちょっと外してくれる?」
「え、 あ、 その・・・」
「フェザー、 外して頂戴」
「分かりました・・・」
フェザーは離れるのだった。
「さてと、 サン、 とっととフェザー君とくっついちゃないなさい」
「唐突に何を言っているんですか?」
「まぁ聞きなさい、 私はこれでも貴女位の年頃には才女と持て囃され
次期女帝とも呼ばれた事も有る、 そんな私が自信を持って言う
『結婚は早めにした方が良い』」
「はぁ・・・」
「ピンと来ないかもしれないけども100歳を超えると
本当に焦燥感で背筋がヒリつき始める、 結婚している周囲が眩しく見える
まさに暗黒の中に居る様だった、 過去に何気なく擦れ違った男達が
望めば手に入った筈の男達が高嶺の花になる
この感覚はまさに奈落の底に居る様な感覚だった」
汗をかくポリニャック。
残った紅茶を飲み干して話を続ける。
「だんだん思考が結婚に向かっていく
だけども私は才女、 勉強しかしてこなかったから
男の扱いに不慣れだった・・・貴女も男には不慣れでしょ?
好意を表に出せない精神疾患によって」
「何が精神疾患ですか!! ヴァカにしているんですか!?※1」
※1:メンタルヘルスに関してベネルクス王国でも理解は広がっているが
未だに差別の根は残っている。
「心の病気は可笑しい事じゃないわ、 心も体の一器官よ
だったら不調になるのは可笑しい事じゃないし
私も結婚したくて一時狂気に奔った事もある
父上が旦那様とお見合いの席を設けてくれたから良かった物けども・・・
結婚をしないのは重篤な精神の健康リスクを伴うわ」
「そんなヴァカな・・・」
「私は母国では文官を務めていたけども当時の文官長は
出世の為に幼馴染と別れて仕事を真面目にしている内に
婚期を逃し、 焦り始めて周囲にアプローチをかけるも周囲が離れ始め
挙句の果てに幼馴染に結婚式を呼ばれて半狂乱
そのまま・・・」
涙を流すポリニャック。
「何れにせよ、 フェザー君は元S級決闘者
結婚しても文句は言われない」
「で、 でも・・・」
「サン、 結婚って言うのはね早い物勝ちなのよ
メイド達がフェザー君に色目を使っている
くっつく可能性もあるから早くしちゃいなさい」
「早くってしちゃいなさいって・・・何を」
「もうかまととぶっちゃって!!※2 その可愛いアピールはフェザー君の前でしなさい
否!! もう彼と結ばれちゃいなさい」
※2:本当は知っているのにかわい子ぶって知らないフリをする事。
語源に関しては謎が多いがかまは鎌を指し
ととは古代エジプトの知恵を司る神トートが語源で
死神の鎌を知らぬ存ぜぬで防御したトート神の神話がモデルになっていると言う説が
近年のトレンドである。
「そんな事言っても・・・」
「じれったいわねぇ・・・そうだ、 じゃあ今度舞踏会があるから
フェザー君と一緒に来なさい」
「フェザーと一緒に? 何故?」
「ファーストダンス※3 を踊って貰いなさい」
※3:舞踏会におけるダンスは男女で行うのが定例であり
ファーストダンスを踊る相手はパートナー、 恋人の様な特別な相手となる。
尚、 踊る相手がいない場合親族が代わりに踊る事になる。
「え、 えぇ!? ちょ、 いきなりそれは・・・」
「他にフェザー君を狙っている相手に牽制になるわ
それに一緒に踊ればフェザー君の好感度は爆上がりよ」
「・・・・・お、 踊るだけですよ!?」
「好きにしなさい、 っとその前に舞踏会のドレスを決めなくてはいけないわね
最近モードの服が手に入ったから幾つか着て見なさい」
「わ、 分かりました・・・」




