キリング・タイム・ウィズ・シスター・イン・ロウ
ブリュッセル王宮の待合室にて待機しているハウバリン門閥貴族選抜スタメン達。
しかしながらベルモンド伯爵のスタメンが過去最高の七名な事に他領の者達は困惑している。
「何でそんなに人数が多いんだよ」
ジョンを除いて。
「私にも分かりませんね」
サンが応対する。
「戦争を起こすつもりじゃないだろうな?」
「そんな指示は無かったですね」
「・・・・・」
フェザーを見るジョン。
「信じられませんねぇ、 一旦拘束させて貰いましょう」
「そーだそーだー」
ハートレス家が連れて来た女中団2人が騒ぐ。
その時、 ガチャ、 と待合室のドアが開く。
「ハートレス家の者、 全員来い」
「何か有ったんですか?」
「ですかー?」
騎士達はぞろぞろと中に入って来て女中団2人を連れて行った。
「ちょ、 ちょっと!?」
「何なのー?」
騎士達は待合室から出た。
「・・・・・まぁ、 貴族の子女に拘束させて貰うと言ったらこうなるか」
「そうね、 それにしても暇ね」
「そうだな」
ボーっと窓の外を眺めるジョン。
「ん?」
窓に近付くジョン。
「如何しました?」
「ジャン、 我が家のブリュッセルハウスに誰か来ている」
窓の外を見るジョン。
「え? それだったら守衛に任せておけばいいのでは?」
「流石に我が家の物件で揉め事が起こっているのに見過ごせない、 行って来る」
「あ、 はい」
ジョンは待合室の外に出た。
「何時も居なくなるわよね」
「そうですね・・・待っているのが暇とは言え・・・」
ジャンが溜息を吐いた。
一方その頃、 セルデン侯爵のブリュッセルハウスでは。
「だから!! 入れなさい!!」
「駄目です」
門の前で茶色のポニーテールの女性が騒いでいる。
「私はこの家の娘なのよ!!」
「セルデン侯爵に娘は居ません」
女性は守衛と押し問答をしている。
「いや、 正確には離婚している女の娘なんだけど・・・良いから入れなさい!!
話をさせなさい!!」
「駄目ですって」
「良いから入れろって言ってるのよ!!」
「何の騒ぎだぁ?」
邸から一人の老人が歩いて来る。
禿げ頭に髭、 そして尖ったサングラス。
彼はセルデン侯爵の父親のジン。
彼はここで隠居暮らしをしている。
「大旦那様、 実は・・・」
「お爺様!! 私ですジェーンです!!」
「ジェーン・・・? 誰だったかなぁ?」
「覚えていないんですか!? 貴方の息子の娘!! つまり貴方の孫です!!」
「ジャンとジョンだけだった気がするなぁ?」
「思い出して下さい!! 私です!!」
「うーん、 とりあえず衛士でも呼んで貰えるかなぁ」
「くっ、 かくなる上は!!」
「何を騒いでいるんだ?」
様子を見に来たジョンがやって来た。
「君は・・・!?」
「セルデン侯爵が長子、 ジョン、 お前は?」
「わ、 私はジェーン!! 貴方の異母姉よ!!」
「ふーん、 となるとエトナ伯爵家の・・・」
「違うわ!!」
「違う? じゃあ何処の家の方?」
「・・・・・平民よ」
「・・・平民かぁ・・・立ち話も何だし中に入って貰って」
「い、 良いのですか!?」
守衛が驚く。
「話を聞くだけ聞くだけさ」
「良いのか? もしもこの女が殺し屋でお前を殺しに来たとすれば」
「こんな女に殺される程、 私は落ちぶれていませんよお爺様」
「ふっふ、 そうかい、 なら好きにしな」
ジョンとジェーンはセルデン侯爵のブリュッセルハウスの応接室にやって来た。
向かう合う形で二人は座った。
「さてと、 えーっと」
「ジェーンよ」
「ジェーンさんね、 平民との子供とありましたが婚外子※1 と言う事ですか?」
※1:婚姻関係にない男女の間に生まれた子の事、 非嫡出子とも言う。
貴族が平民の愛人を持って子供を産ませる事は褒められた物では無いがそれなりに聞く話である。
「違う!! 父親のセルデン侯爵は母と結婚していた!!」
「お母上の名前を聞いても?」
「シャン!!」
「ふむふむ、 それで?」
「セルデン侯爵は私の母との婚姻をなかった事にしている!!」
「・・・・・」
「・・・・・続けて良い?」
「どうぞ? 最後まで全部聞きますよ」
「あ、 セルデン侯爵は私の事を認知していないから私は存在しない女になっている!!
それで私は本当に迷惑している!! 私を認知して欲しい!! 子供と認めて欲しい!!」
「・・・・・終わり?」
「そうだけど・・・何か文句でもある!?」
「いえいえ、 別に何も、 それでお話は終わりですか?
何かもっとあるんじゃないんですか?」
「何かって・・・何?」
「金が欲しいとか、 不幸エピソードとか色々あるじゃないか」
「・・・・・喧嘩売ってるの!?」
「喧嘩を売っているのはそっちだろう、 暇だったから話を聞いていたがね
怒りすら湧かない位、 稚拙な言葉だね
ネタの割れた詐欺師の話は聞いていて面白いが君は詐欺師ですらない」
「詐欺ですって!? 私を信用していないの!?」
「信用も何も・・・全部知っているからね」
「知っている?」
「再誕歴7663年ジューンε日、 私も父と一緒に居たからな」
「え・・・あ、 あの時の!!」




