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ベルモンド・オーバーウェルミング2

「ベルモンド伯爵配下のS級決闘者フェザーと元ドラゴヴァニア五連星レイクが所属しているのは

過剰戦力だと思います、 当ハートレス領では騎士の流出が起こり戦力低下になっていますので

何方かを当家に遺跡させて頂きたい」

「ハートレス君、 君、 一体何年門閥貴族やっている?」


ハウバリンがハートレスに尋ねる。


「え?」

「ハートレス君、 君、 一体何年門閥貴族やっている?」

「一体如何言う意味でしょうか?」

「君の所では質問に質問で返すと言う事が一般的なのかね?」

「い、 いえそう言う事はないですが・・・」

「ハートレス君、 君、 一体何年門閥貴族やっている?」

「・・・40年です」

「うん、 じゃあこの会議も10回目か」

「あ、 いえ9回目です」

「そう、 何方にせよこの会議の流れは知っている筈だよね?」

「・・・・・まさか私が男爵だからと差別するのですか!?」

「何を言っているのかな? 誰かが議題を出して私が『はい、 どうぞ』と言ってから

話をするのが何時もの流れだったと思うけどね」

「そんなニットピッカー※1 の様な事を言わないで下さい」



※1:ニットに付いている虫の卵を取る人。

転じて粗探しをする人。



「不愉快だから次の話に行こう」

「ちょっと待って下さい、 話はまだ終わっていません」

「じゃあ何か議題ある人は居るかな?」

「待って下さいって!! 一家に戦力を持たせすぎるのは危険ですよ!!」

「はい、 公爵閣下」

「ベルモンド伯爵、 なんだね」


ハートレスを無視して会議を進めるハウバリン。


「ではこちらに資料を作りましたで皆さん、 まわしてください」

「うん?」


ベルモンドは取り出した資料の束を皆に配る。


「皆さんに配った資料の表紙を見て頂けると分かりますが

この度、 私が提言するのはハートレス家の改易※2 です」



※2:現職者の任を解き新任者を補任する事。

要するにハートレスを門閥貴族から外そうと言っている。



「なっ!? ふざけるな!!」

「ハートレス君、 五月蠅いよ、 まずは話を聞こうじゃないか」

「はい、 まずは資料の1ページ目を御覧下さい

ここ40年でのハートレス男爵領での税収の低下ですね

見ての通り今まで税収が上向きだった事は有りません

今ではセルデン侯爵領の2割よりも下回っています

新規事業も全て失敗しております、 一時期ルン子爵との共同事業も有った様ですが

その事業もルン子爵に全て譲渡している状態です

2ページ目は犯罪率の増加、 検挙率の低下

犯罪で一番多いのは強盗ですね、 犯行動機は全て生活苦からなります。

3ページ目は領民の減少、 流出、 爵位が下がった事で領地も比例して狭くなるので当然ですが

それでもあまりにも人口密度があまりにも低過ぎる

先の税収の低下と合わせてあまりにも領地経営が下手過ぎる

4ページ目は余りにも騎士団女中団の離職率が高過ぎる

ハートレス男爵の騎士嫌いは余りにも有名な話ですがそれでも予算が少なすぎですし

女中団は最早、 問題があった時の責任を押し付けて辞めさせるだけの機関となっています」

「ちょ、 ちょっと待て!! ハートレス家は旗国50家ですよ!?」

「だからこそ、 今の内に潰さなければならない

今まで私は貴方が何時か更生、 いや、 先代の頃まで回帰できるだろうなと思っていました

だからこそ貴方に対して優しくしていましたが貴方は駄目になりました

これ以上ハートレス家が貴方の為に没落する様を見るのは耐えられない」

「それは私も同意見だ」


セルデンが同意する。


「私はこんな能力が無い餓鬼がハートレス家を継ぐのは

ハートレス家への侮辱だとずっと言っていたんだがね」

「私は彼を信じたかったのですがね・・・最悪の形で裏切られました」

「裏切られた!? 私が貴方に何かしたのですか!?」

「ハートレス男爵、 貴方は色々とやっていますよね?

私は貴方に門閥貴族を辞めて頂き一代官なり地方領主なり

平凡に人生を送って頂きたいだけです、 これ以上恥の上塗りをしないで貰いたい

ハートレス家の名誉をこれ以上損なわないで頂きたい」

「脅しのつもりですか!?」

「わかりました、 これを皆さん、 回して下さい」


ベルモンドは皆にまたしても書類の束を渡した。


「ハートレス家が行っていた犯罪行為のリストです

国に届け出ていない治安組織の設立

その治安組織に行わせていた犯罪の数々

学問の自由、 表現の自由、 集会の自由、 結社の自由

職業選択の自由、 居住移転の自由、領外移動の自由、 財産権の保障

八つの自由権の著しい阻害

更に農家に対して利益率の高い嗜好品の作物を育てる事を強要し

不作になった際の補填を一切行わない、 他にも挙げればキリが有りません」

「仕方ないじゃないか!! 我が領は今が一番のピンチ!!

我が領は助け合いが信条!! だからこそ領主がピンチな今こそ領民は

僕を助けないといけないんだ!! それなのに勝手な事をするから

僕が態々傭兵を雇って」

「ちょっと待て!!」


ハウバリンが声を荒げて制止する。


「この罪状を記した書類にある『領内国宝の無断売却』と言うのは本当か!?」

「間違いありません」

「ハートレス!! 貴様ッ!! セルデン侯爵!! セイバーダー子爵!!

ハートレスを今すぐ捕縛!!」

「え?」

「は?」

「了解しました」


ハートレスとセイバーダーが戸惑っている隙にセルデンはハートレスを拘束したのだった。

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