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プロット

再誕歴7701年フェブラリー6日。


ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセルにあるマーナガルム男爵のブリュッセルハウス※1。

そこにやって来たマーナガルム。



※1:ベネルクス王国の制度の一つとして

門閥貴族はブリュッセルに邸宅を持たなくてはならないと言う決まりが有り

門閥貴族が所有する邸宅をブリュッセルハウスと呼ぶ。

また門閥貴族の近親者の少なくとも一人は

ブリュッセルハウスに居なければならないと言う決まりがある。



マーナガルム男爵のブリュッセルハウスは簡素な物である。

街中にある三階建ての建物、 初見ではアパートと見間違う事もあるだろう。

そもそもアパートを安く買い叩いた物であるからその見解は間違っていない。

徹底的なコストカットにより使用人も少ない。

だがしかし防災、 防犯対策はしっかりとしている。

マーナガルムは部下のハティと共に建物の一室に入った。


「お前か」


部屋の中には顰め面をした老人が一人。

彼はマーナガルム男爵の養父のフェンリル。

血は繋がっていないが孤児のマーナガルムを育て上げた傑物である。


「話は大体聞いている、 N5の復興に金を使うと?」

「その通りです養父上(ちちうえ)

「ふん、 金を絞り出す為に圧政を強いておいて金を使って復興をするだと?

何を考えている?」

養父上(ちちうえ)、 あの街の復興にかける金は

今まであの街から搾り取った金の3割程度です

充分にプラスにはなっています」

「マネーロンダリング※2 で費用が掛かっているだろうが

実質的には儲けは搾取の半分程度だろう、 金がかかり過ぎだ」



※2:犯罪によって得た収益を出所や真の所有者が分からないようにして

捜査機関等による収益の発見や検挙等を逃れようとする行為。



「聊か性急過ぎますよ、 我々の悲願達成にはまだまだ時間がかかります

恐らくは後数百年から千年は確実にかかるでしょう

私達は地盤を固めて次代に繋ぐ役目を担いたいと思います」

「悠長にし過ぎるとモーントの連中に好き勝手にされるだろうが!!

聞いたぞ、 騎士団の連中の不自然な収入にはモーントの息がかかっているとな!!」

「それは心配無いかと、 ハティ」

「はい、 モーント・ズンディカーズは急拡大し過ぎ

リーダーの医者(ドクトル)のワンマン体制も相まって

細やかな統制が取れていません、 モーント・ズンディカーズの本部が有るドイツは既に

モーント・ズンディカーズに対する対策を練っているそうです

何れ崩壊するでしょう」

「大分前からずっと言っているが未だに健在では無いか!!

連中は未だに拡大している!!」

「私共も大分手駒が増えていますし収入も増えています、 合法的にも非合法的にも」

「物は言い様だな、 モーント・ズンディカーズの手駒は領土侵攻(ナポレオン)※3を

使える者が多いと聞くぞ」



※3:ベネルクス王国での個体空間(パーソナルスペース)の呼び名。



「スパイを送り込み、 情報を収集した結果、 医者(ドクトル)が何かしているみたいですね

詳しい事は経過を観察します」

「・・・・・」


頭を抱えるフェンリル。


「不満が有るがお前を育て上げ、 託したワシの手腕と見る目を信用しよう

任せて置く、 くれぐれもヘマをするなよ」

「分かっております、 では失礼します」


そう言ってマーナガルムとハティは部屋の外に出て自室に向かった。


「あの【Fワード】ジジィ!! 何時も偉そうにしやがって!! 何時かブチ殺してやる!!」

「落ち着けよマーナ、 ほれ」


ハティは棚のウィスキーをマーナガルムに渡す。

マーナガルムはウィスキーを一気に呑む。


「ふぅ・・・まぁどうせ寿命で死ぬんだ、 頭に血を登らせる必要は無いな」

「確かにウザい爺さんだけども俺達の目的は果たそうぜ」

「あの爺さんの願いを聞くのは癪だなぁ・・・」

「マーナ!!」

「心配要らん、 ちゃんとやるよ、 後の歴史書に名を刻む名誉の為にも

ちゃんとやる事はやる」

「頼むぞ、 本当の世界を取り戻す為にも頑張ろう」

「あぁ」






一方その頃。

通信モノリスの通信ルーム。

モーント・ズンディカーズが独自の改造をしたモノリスでの会話が行われようとしていた。


>>医者(ドクトル) さんが入室しました

>>看護師(ナース) さんが入室しました

>>受付(レツェプツィオーン) さんが入室しました

>>運転手(ドライバー) さんが入室しました

>>アスペルガー さんが入室しました

>>誇大妄想(メガロマニア) さんが入室しました

>>心臓発作(ハートアタック) さんが入室しました


「皆さん、 集まりましたね」


モノリスの改造により互いの顔が見えず、 声も無機質な物に入れ替わっている中で

互いの通称(コードネーム)しか分かっていない

全てを知っているのは医者(ドクトル)のみである。

モーント・ズンディカーズの構造は首領の医者(ドクトル)

そして職員(スタッフ)と呼ばれる事務など裏方と

重篤患者(エルンスト・クランケ)と呼ばれる最高幹部戦闘員。

重篤患者(エルンスト・クランケ)の下に幹部戦闘員の患者(クランケ)が居ると言う形である。

看護師(ナース)、 受付(レツェプツィオーン)、 運転手(ドライバー)職員(スタッフ)の幹部。

アスペルガー、 誇大妄想(メガロマニア)、 心臓発作(ハートアタック)重篤患者(エルンスト・クランケ)である。


「で、 ボス、 今回の議題は何です?」


運転手(ドライバー)が尋ねた。


「この前、 ベネルクスに送った”飛蚊症”モスキートと”依存症”R・To・Youが死亡した」

「おやおやぁ? これは彼等の直属の上司の誇大妄想(メガロマニア)さんの失態では?」


看護師(ナース)が責め立てる。


「奴等がお前と組んで俺の評価を下げた、 とも考えられないか?」

「無茶苦茶ですよ誇大妄想(メガロマニア)さん」

「お前の戯言には負ける」

「まぁ彼等は薬剤投与ででっち上げた強者です、 お気になさらず

それにシンゲツ家の末裔を回収に成功しました」

「ふーん、 で? 他に何かあんのか?」

「アスペルガーさんから連絡です」

「お前がぁ? 一体何だってんだ?」

「・・・・・」


黙るアスペルガー。


「おい、 如何した?」

「・・・・・」

「アスペルガー!!」

「あ、 はい、 すみません、 マーナガルムからスパイを送られてるので

始末して手下に背乗り※4 させたいので医者(ドクトル)

整形手術(顔を変えといて)下さい」



※4:正体を隠すために実在する他人の身分・戸籍を乗っ取ってその人物に成りすます行為。

モーント・ズンディカーズでは整形手術まで行って変装させる。



「問題無い、 他に何か有るか?」

「あ、 はい、 ベネルクスの首都にエルダーストーンが有る事が判明しました

背乗りした王宮錬金術師に成り済ました工作員が調べ上げましたが

感づかれ始めているので首都に居る別の工作員に回収に行かせて頂きたい」

「お前の手下に回収させれば良いじゃねぇかよ」

「僕はまだまだ新参ですし、 部下も少ないので外国に出せる奴が少ないんですよ」

「しゃあねぇなぁ、 じゃあ俺が手下を動かしてやるよ」

「ありがとうございます誇大妄想(メガロマニア)さん」

「では次に・・・」


まだまだモーント・ズンディカーズの悪だくみは続く・・・








ブリュッセル王宮、 ベネルクス95世の私室。

ベネルクス95世とツゴモリは談笑していた。


「相変わらずな部屋ですね」

「素敵でしょ?」


壁一面にはフェザーの絵がびっしりと並べられ、 フェザーのぬいぐるみや抱き枕。

ティーセットもフェザーの顔が描かれていた。


「貴女もフェザーが好きなら分からない?」

「本物じゃないと駄目です」

「頑なね、 まぁ理解出来るけど」

「・・・・・如何します? あのままベルモンド伯爵の手元に置いておくのは

ベルモンド伯爵の娘とくっついちゃいますよ?」

「私とフェザーは運命の相手だからそんな事は無いよ

最終的には私の元に来るよ」


確信を持って言うベネルクス95世に戦慄するツゴモリ。


「・・・・・それでもやる事はやりましょうか」

「そうだね、 レイクって奴をとりあえず利用しよう」

「・・・そう言う事ですか、 考えますねぇ」

「それほどでもないよ」


笑い合う二人だった。

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