インフェニティ・アンド・ウォフレス・ライフ
再誕歴7701年ジュニアリー16日。
N5の騎士団詰め所を右往左往する小鬼の一撃と勝彼一行。
「一体何処に隠れたんだ!? 逃げたのか!?」
何だか厳重な部屋に入ったが特に何もない倉庫だったので嘆く一同。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!! こうなったら壁を徹底的に破壊しろ!!
隠し通路が有るかもしれねぇ!!」
マスク・ザ・コオニが指示する。
「何という的確な指示!! 一生ついて行きます!!」
「もっといい方法が有るだろう!!」
「例えば?」
デミグラスの言葉にマジレスするマスク・ザ・コオニ。
「た、 例えば・・・・・燃やす? とか?」
「俺達まで燃えるだろ」
「・・・・・壁を壊そう!!※1」
※1:思考放棄。
片っ端から壁を破壊している内に隠し通路を見つけた一同。
「あ」
「あ」
「あ」
下から上がって来たカートライトと出くわす一行。
出会うなりカートライトは聖剣『ライフデストロイヤー』を構え刺突する。
だがマスク・ザ・コオニは思い切りコンボウ・ザ・マスクを叩きつける。
めぎょ、 と鈍い音を立ててカートライトは倒れる。
「コイツは・・・カートライト、 この恥知らずまだ生きていたのか
見かけなかったから死んだと思った」
オガが検分する。
「誰だ?」
「説明するのも悍ましい男ですよ、 さっさと行き」
下から聖剣を突きあげるカートライト。
とっさにオガは回避したが胸を斬られた。
「がぁ!?」
「オガ!! てめぇ!!」
カートライトは通路に戻った。
「あの野郎、 打っ殺してやる!!」
「待った!!」
デミグラスが待ったをかけた。
「何だ!?」
「アイツ回復してた!!」
「マジで!?」
「マジ!! 頭陥没して怪我が治ってた!!」
「確かに・・・・・俺は確かにアイツの頭にコンボウ・ザ・マスクを叩き込んだ・・・
だが死なないだと!? 【Fワード】!! 如何しろって言うんだ!!」
「あの剣の効果だと思う」
「剣の効果!? 確かに派手な剣だった!! 聖剣かもしれねぇ!!
じゃあ聖剣を取り上げれば万事解決か!? じゃあ行くぞ!!」
「いや、 俺だ」
ヤンキースが前に出る。
「ヤンキース? 何でお前?」
「見て見ろよ、 この通路、 そこそこ狭い
コンボウ・ザ・マスクではデカすぎる」
「むっ・・・」
「俺は右腕が棍棒、 リーチは短くても狭い通路でも取り回しが効きやすい」
「でもここで攻めるのは厳しいんじゃないのか?
相手は刺突して来るだろう」
「そうだな、 だがしかし俺には作戦が有る」
「作戦だと!?」
「あぁ、 俺が奴の攻撃を止める!! そして止めたら全員で殴って聖剣を奪い取る!!
握っている腕の神経を中心に殴り続ければ再生の前に落とすだろう」
「天才か・・・じゃあ行ってこい!!」
「おう!!」
一方その頃、 カートライトは下で待っていた。
「・・・・・」
カートライトは勝利を確信していた。
聖剣『ライフデストロイヤー』は所有者の怪我を自動で治癒する聖剣である。
持っていればほぼ勝ちは確定するが、 所有者から離されると効果が発揮出来ない。
例えば腕を斬られる、 首を刎ねられる等では治療はされないのだ。
だがしかし敵の武器は棍棒。
「勝ったな・・・」
「エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!」
叫びながら走って来るヤンキース。
当然、 カートライトはヤンキースに刺突を放つ。
ぐさり、 とヤンキースの腹に聖剣『ライフデストロイヤー』が刺さる!!
「エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!!」
「!!?」
そのままカートライトの腕を掴むヤンキース。
再生をするというのならば拘束してしまえば良い!!
「ば、 馬鹿な!? 死ぬ気かお前!?」
「俺の命一つで勝てるのならば安い物だ!!」
「ひ、 ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」
絶叫するカートライト。
ヤンキースは棍棒の右腕で殴りかかりながらも万力の如き力で腕を掴む。
「エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!」
叫びながら他の小鬼の一撃の面々がカートライトに襲い掛かる。
首の骨を折られる、 回復、 腕を潰される、 回復、 肋骨が粉砕される、 回復。
「ごぼ、 ごぼ!!」
血を吐き出し呼吸困難に陥るカートライト、 しかし尚も攻撃は続く。
(嫌だ、 死にたくない!! 死にたくない!!)
叫ぶ事すらままならない、 意識が遠ざかり始める。
しかし聖剣『ライフデストロイヤー』を手放したらまさに死である。
頭が殴られながら意識が遠ざかるカートライトにも鮮明に死の恐怖は分かっている。
(痛い!! 痛い!! 止めてくれ!! このままでは死んでしまう!!)
喋れないので目で訴えかけても顔を殴られる。
グチャグチャの肉塊に自分が変わった事を実感し再度回復する。
凄まじい再生痛である。
カートライトは激痛に耐え兼ねて聖剣『ライフデストロイヤー』を手放した。
死の直前の一瞬、 遠のく意識で死の恐怖を存分に味わった。
「良し!! やったぞ!!」
マスク・ザ・コオニがカートライトの死亡を確認する。
「ヤンキース・・・ありがとう・・・!!」
「これは俺がMVPだな・・・」
がは、 と血を吐くヤンキース。
「ヤンキース!! 直ぐに治療を!!」
「この傷では助からないのは俺が一番よく知ってます・・・」
「ヤンキース・・・すまなかった」
「俺がやるって言ったんです、 心配すんな・・・」
涙を流す小鬼の一撃の面々。
「ちょっと良いか?」
「今それ所じゃねぇのは分かるだろうが!!」
デミグラスの問いかけに激怒するマスク・ザ・コオニ。
「いや、 その聖剣って持ってるやつの怪我を回復できるんだろ?
だとしたら今すぐ持てば怪我が治るんじゃねぇの?」
「ヤンキース!! すぐに腹から抜け!!」
「うおおおおおおおおおお!!」
ヤンキースは聖剣『ライフデストロイヤー』を腹から抜き手に取った事により
激痛ははしったものの何とか一名を取りとめる事が出来た。




