BBA・バーニング
N5の街角にて。
チンピラ3人組が歩いていた。
巨漢のクラゲ、 手下のバナナとキンピラ。
この3人は適当に街中をぶらぶらしていては
何処の派閥にも所属していない奴をカツアゲして回っているという根っからのチンピラである。
チンピラとは言えクラゲの拳は岩をも砕くと言う凄まじい腕力の持ち主で
バナナとキンピラは騎士団とモーント・ズンディカーズの短期バイトに
ちょくちょく応募して内情を調べると言う強かさを持っていた。
「なんか騎士団の方が五月蠅いっすねぇー」
「とうとう一揆でも起こったかぁ?」
「騎士団が居ないならカツアゲし放題だな、 何処かに良いカモは居るか?」
「うん?」
走って逃げるカボチャとヨランダを見かけるバナナ。
「あのヴァカ二人が逃げてますぜ」
「あぁ、 カボチャと女か、 あいつ等貧乏だし興味ねーよ
それよりも最近は闇のオークションって奴が開かれるって話じゃねーか」
「まだまだ先ですよ」
「でもオークションの出品者や参加者にはこの街に来ている奴も居るんだろう?」
「そりゃそうですけど、 大体はモーント・ズンディカーズのホテルに泊まっていますよ
外に出てくれればいいですけど、 ホテルに突っ込むとなると
噴水に飛び込んでコインを取る様なもん※1 ですよ」
※1:全く持って割に合わない事の例え。
噴水にコインを投げる風習は世界各地にあり、 噴水に飛び込んでコインを取る愚か者も
世界各地に存在する、 噴水にコインを取る為に飛び込むという事は水音でとても目立ち
びしょびしょになる為。 コインを盗んで逃げる事は困難である。
また捕まらなくても体中がびしょびしょで寒く、 風邪をひいたり
周囲の嘲笑を受け、 周囲の信用を落とす事は確実である。
「じゃあ外に出ている奴を狙おうじゃねぇか」
「そう簡単に見つかりますかね」
「不用心な奴が居るかどうか怪しいですが・・・って居たわ」
「うん?」
「ほら、 あそこ」
バナナが指差した先にはマタがもぐもぐとサンドイッチを食べながら歩いていた。
「中々身なりが良いな、 しかもババアだ、 脅してやろう」
「そうだな」
クラゲ達はマタを取り囲んだ。
「な、 何ぃー↑? もしかしてナンパぁー↑」
「いや、 追剥だ」
「婆ちゃん、 命が惜しかったら出す物出しな」
クラゲとバナナが嗤う。
「な、 何だって↓!? 目的はアタシの体か!?↓」
「いらねぇよ」
「何言ってんだおめぇ」
「こんな年老いた体が欲しいなんて・・・(´∀`*)ポッ」
「体は要らない財布を寄越せ」
「財布だって↑!! ひょっとして結婚して養えと!?↑」
「そうじゃなくて金を出せっつってんだよ!! このBBA※2!!」
※2:Barnout of Borderover Ageの略称。
年老いた女性を罵倒するスラングである。
「あーん↑ そんなぁ↑ おっぱい触らせるから許してぇ↑」
「垂れた乳なんか触りたくないわ!!」
「そーだそーだ!! キンピラもさっきから黙ってないで何か言ってやれ!!」
「その婆さん、 モーント・ズンディカーズの客だ」
「「え?」」
「あら↑ 私を知ってるのぉ↑」
「・・・・・アンタの送迎に行った時にアンタ、 騎士団に捕まってたよな?
何でここに居る?」
「あらー↑ それはー・・・不運だな、 お前」
声が唐突に若くなったマタ。
次に瞬間、 バナナを殴りつける。
明らかに老婆の拳ではない。
バナナの顔面は陥没した。
「バナナ!? このBBA!!」
クラゲが殴りかかるも避けられて頭を掴まれる。
これはアイアンクロー※3!! マタはプロレスラー※4だったのか!?
※3:プロレスの殺人技の一つ。
掌全体で相手の顔面を掴み指先で握力を使って締め上げダメージを与える。
強者だと頭を木っ端微塵にする事も可能である。
逆に言えば強者で無ければ使っても効果は薄い。
※4:レスラーの上位職。
通常のレスリングを行うレスラーよりも圧倒的に自由度が高く
割と何でもありでレスリングと違い凶器の持ち込みが可能である。
だが鍛えた肉体の前に凶器は通じないという意見が支配的になって来ているが
近年では肉体改造により凶器との融合を図る等、 ヒールレスラーの無法っぷりが加速している。
「があああああああああああああ!!!?」
のたうつクラゲ!! 何という怪力・・・否!!
女の細腕で締め上げられるほどクラゲは弱くはない!!
見よ!! クラゲの顔から煙が上がっている!!
燃えているというのか!? 一体どんなトリックか!?
「あああああ・・・・・」
クラゲは失禁!! そして失神!!
倒れた時に顔は炭化していた!!
キンピラは腰を抜かし逃走!! しかしマタに捕獲され俯せの身体を踏みつけられる。
「ひ、 ひぃ!!」
キンピラが熱を感じ始めた!!
クラゲの様に炭になってしまうのか!?
「お前はちょっと来い」
引き摺るマタ。
「あ、 アンタ、 ただのBBA、 いや、 お婆さんじゃないな!! 一体・・・」
「黙ってろ」
キンピラは口を閉ざした、 そしてマタは路地裏にキンピラを連れて行ったのだった。




