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リグル・イン・ペイン

ホテル・モーントに戻るフェザーと連れていかれたレイク。

バレない様に非常階段から登って部屋に戻る。


「おかえりフェザー・・・判断に困る奴を連れて来たなぁ・・・」


ツゴモリがボロボロになっているレイクをみて呟いた。

ドラゴニュートとして手足が龍に戻っている。


「ちょ、 ちょっとフェザー!! 早く血を流して来なさい!!」


サンが慌てる。


「流して来ますが、 何をそんなに慌ててるんですか?」

「知らないの!? 龍の血を浴びると不老不死になって酷い目に逢うのよ!?※1」



※1:不老不死になると碌な事にならないというのはこの世界における一般常識である。

少なくとも人間の精神性では長い時間に耐えられない。

一例を挙げればジャネーの法則により歳を取れば取る程、 周囲の物事が早く経過する様になり

目で追えなくなってしまうとされる。



「貴族の御令嬢が市井の噂に左右されては詮無いですね

龍の血を浴びると不老不死になると言うのは

不老不死だからこそ龍を殺せた、 と言う順序の逆転です

常人じゃないからこそ龍を殺せたという逸話ですよ」

「なるほど・・・安心したわ、 貴女以外と物知りね」

「そりゃあ私はツゴモリ・コングロマリットの当主ですから、 この位は分かりますよ

でも血は流した方が良い、 クラブ、 洗ってあげなさい」

「ふぁ!? い、 良いんですか!?」


驚くクラブ。


「何をそんなに驚いているのよ」

「だ、 だってフェザーさんの背中を流すなんて・・・」

「違う!! ドラゴニュートの方!!」

「あ、 そっちか・・・」

「露骨にがっかりするな、 さっさと行く」

「はーい・・・」


レイクをフェザーから受け取ると併設されたシャワーでレイクを洗うクラブ。


「でも驚いたわよ、 急に・・・なんだっけ?」

個体空間(パーソナルスペース)

「そうそう個体空間(パーソナルスペース)が展開されたから行って来るとか言って・・・

個体空間(パーソナルスペース)って言うのは人間の究極奥義って言うから

心配したのよ」

「まぁ私も個体空間(パーソナルスペース)使えますけどね

使う必要も無かったですが」


事も無げに言うフェザー。


「でも人類の奥義とか言う割にこんな場所にそんな物が使える様な手練れが居るなんて・・・」

「可笑しな話じゃないですよ、 決闘法施行で強い決闘者が求められる様になって

人間の強さの質も上がって来ています

そもそも個体空間(パーソナルスペース)が使える人間は100万に1人

昔なら兎も角ヨーロッパの人口だけでも2億人ですから推定でも200人入る計算になります

更に100万人に1人も過去のデータですし

技術向上から行って現代では50万に1人と言っても通じるかもしれません」

「それでも凄い技術なのに勿体無い気もするわね・・・」

「うーん、 個体空間(パーソナルスペース)と言ってもピンキリですからね

・・・そういえばあのお婆さんはどちらに?」

「朝ごはん食べに何処かに出かけたわ」

「そうですか・・・」

「すいませーん、 洗い終わりましたんでちょっと服を持って来て下さーい」


クラブが声を上げる。


「準備位しなさいよ、 ジロウか※2」



※2:デカ盛りの店って零れ落ちそうになってますよね。

最初からデカイ器を用意して欲しいと思うのは私だけでしょうか。



ツゴモリは予備の服をレイクに着せて横にさせた。


「ちょっと胸が合わないけども」


レイクの胸は余り無い。

彼女の胸が貧相なのは仕方ない事である。※3



※3:ドラゴニュートは哺乳類と言うよりも爬虫類に近い生き物である。

その為、 授乳をする事自体が少ない為

ドラゴニュートは女性でも乳房が発達していない者が大半である。

しかしながらドラゴニュートでも人間の部分が多い者の中には

巨乳の者が稀に存在する。



「べ、 別に良いわよ」

「そう、 じゃあ暫く待ちますか」

「待つ? 何で?」


首を傾げるサン。


「ドラゴニュートはドラゴンの特性を持つ亜人

治癒能力もドラゴンのそれに等しい

全身の骨に罅、 腕の重度の骨折程度ならば半日も有れば治る

人間とは違ってね」


ふふん、 と自慢げに語るレイク。


「はい、 コレ」


タオルを差し出すツゴモリ。


「ん? 何コレ?」

「銜えなさい」

「何で?」

「アンタ怪我した事無いの?」

「うん?」

「ドラゴニュートは大怪我でも短時間で治る

でも再生痛※4が酷いのよ」



※4:急激な再生による痛み。

成長ですら成長痛が有るのだから再生にも痛みを伴うのだ。



「ふん、 軟弱ね、 痛みくらい平気よ

私の心の傷に比べたらね・・・」


ぽつりと呟くレイク。


「・・・・・あ、 この女、 ドラゴヴァニア五連星の女だ

服装で気がつかなかった」

「「!!?」」


クラブの言葉に驚愕するサンとツゴモリ。


個体空間(パーソナルスペース)に入って攻撃を喰らって生きている時点で

大物だとは思っていましたが、 なるほど・・・五連星か・・・」

「ドラゴヴァニアがこの街に介入しようとしてるの!?

貴女以外に誰かドラゴヴァニアのエージェントが!?」


レイクに詰め寄るツゴモリ。


「おちつ、 ったああああああああああああああああああああ!!!!?」


みしみしとレイクの身体から音が鳴り始める。

再生が始まったのだ。


「いぎいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!?」

「はい、 タオル」


タオルを噛ませるツゴモリ。


「~~~~~~~~~~!!!?」

「どうやら大怪我をしないでここまで来たようね」

「強過ぎるのも考え物・・・って半日で治るって言ってたけど

こいつ半日このまま?」


サンが問う。


「そうね、 痛み止めを使ってあげたいけど

ドラゴニュートに人間の薬をあげて拒否反応が起こったら困るし・・・」

「~~~~~~~~~~!!!?」


蠢くレイクだった。

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