パジャマパーティー
再誕歴7703年ディセンバー30日。
ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセル、 ブリュッセル王宮。
ベネルクス95世の私室にてパジャマ姿のベネルクス95世とサンがベッドの上で座って向かい合っている。
二人の周囲には大量のお菓子が有る、 市販品の飴やらビスケットやらクッキーやらチョコレート。
牛乳やら果物が大量に有った。
「・・・・・何かの呪いですか?」
サンが耐え切れずに問う。
「準備が終わってから言うかね? と言うか一国の王が準備をしているのに
君はボーっと座っているのは如何かと思うよ?」
ベネルクス95世が笑いながら言う。
「も、 申し訳ありません」
「構わん構わん、 一度やって見たかったんだよ」
「やって見たかった?」
「パジャマパーティー※1」
※1:性別問わず男性や女性が友だちの家に泊まり込み
パジャマ姿でうわさ話や遊びに興じるパーティ。
スランバーパーティーやお泊り会などの表現もある。
「は、 はぁ・・・パジャマパーティーですか・・・」
「やった事がなくてな、 君はあるか?」
「あー・・・子供の頃に何度か・・・」
「良いよな・・・私は一度も経験無くてな」
「はぁ・・・・・じゃあ如何します? 何話します?」
「まずは食べてからだな、 さ」
「・・・いただきます」
ベネルクス95世に勧められて食べ始めるサン。
「子供の頃、 キャンディケーン※2 が欲しかったが君は如何だ?」
「わたしはロリポップ※3 ですかね」
※2:杖の形をしたキャンディ。
※3:俗にいうペロペロキャンディ。
互いに飴を舐めるサンとベネルクス95世。
(・・・会話が持たない・・・)
飴を舐めながらどうするか考えるサン。
「君、 クッキーとビスケットならどっちが好き?」
「え、 そもそも違いなんて有るんですか?」
「有るよ、 国によって違うけども、 我が国の場合
手作り、 もしくは手作りに見えるものは全部クッキー
それ以外はビスケット、 と言う風になっている※4」
※4:読者諸賢も意味が分からないと思うが
一般社団法人全国ビスケット協会が「ビスケット類の表示に関する公正競争規約」の中で
クッキーの定義づけの条件の一つに「手作り風」の外観を有するものが存在している。
「なるほど・・・しかしビスケットやクッキーよりもどんな味の物が好きか、 では?」
「そうだな、 私は人の形になっているクッキーが好きだな」
「ジンジャークッキーですね、 私はチョコチップが好きですかね」
「なるほどなぁ、 クッキーには紅茶か? コーヒーか?」
「牛乳ですね」
「分かるわぁ」
飴を食べ終えてクッキーを食べ始める二人。
「そうそうサンよ」
「はい?」
「恋バナでもしようか」
サンの手に持ったクッキーが砕ける。
「・・・・・フェザーの話ですか?」
「そうだね、 彼との付き合いは君よりも長い」
「ですが彼との付き合いは貴方よりも深いです」
「言うね・・・・・しかしだよ、 君にはフェザー以外にも男は居るんじゃないか?」
「そんなふしだらな!!」
「いやいや、 将来的にお付き合いできる人間と言う意味だよ」
「将来的にお付き合いできる人間?」
首を傾げるサン。
「そう、 君は貴族とは言え市井にも顔が出せるし良い男は他にも居るじゃないか
セルデンの所の倅とか」
「ジョンの事ですか?」
「そうそう、 彼とは馴染みなんだろう?」
「実力は認めますが男としては無いでしょう」
「そうか、 しかしだな、 私にとってフェザー以外は男としてないんだよ
私に譲ってくれないだろうか?」
「・・・より取り見取りじゃないですか、 公爵家とか」
「それは無い」
きっぱりと断言する。
「私の背負う物は国と国民だ、 私と結婚すると言う事はそれを背負う事なのだ」
「・・・・・でしたら貴族の方々に」
「多分無理だろうな、 国と言うのは重いんだ、 お前が思っているよりも」
牛乳を飲むベネルクス95世。
「内務大臣のフラマンって居るだろう?」
「え? えぇ、 居ますね」
突然の話題変更に困惑するサン。
「先王ベネルクス94世の兄、 つまり私にとっては叔父にあたる人物で
本来ならば王位を継いでもおかしくない男の筈、 しかし現実に彼は王位を継がなかった」
「・・・・・」
フラマンには数々の噂がある、 しかし噂を喋った者は居なくなるという・・・
「王妃の浮気相手、 フラマン自身は影武者と入れ替わっている
私がフラマンの秘密を握っている、 噂は山の様にある」
「・・・・・」
「・・・安心しろ、 噂を喋っているのは内務省の人間だ」
「え?」
「”フラマンの噂をすると消される”と言う偽情報だ
お陰でフラマンに関しての噂は消えている」
「・・・・・」
笑うサン。
「何か可笑しいか?」
「パジャマパーティでする話じゃないですよね?」
「・・・・・」
笑うベネルクス95世。
「確かにそうだが、 話は単純だよ、 フラマンは逃げたんだよ」
「逃げた? 責任からですか?」
「罪からだよ」




