表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

415/479

ウォームアップ

再誕歴7704年メイ17日。


モアナ・ホテル併設レストラン【ザ・バニヤン・コート】。

樹齢100年を超えるバニヤンツリーの下に位置するレストランである。


「どうもどうも、 始めましてエンペスキー大臣

オーストラリアの外務大臣のジョージです

この度はよろしくおねがいします」

「どう・・・も?」


今日はオーストラリアの外務大臣であるジョージが

エンペスキーとコールスローとの会食を希望した形となっている。

しかしジョージの傍にはメレディスが待機していた。


「此方の御婦人は?」

「メレディスと言う我が国お抱えの決闘者です

男だけではむさくるしいですからな華も必要でしょう」

「よろしくおねがいします」

「・・・・・」


エンペスキーとコールスローは南国仕様の軽装だが礼服を着ているのに対し

ジョージとメレディスは水着の上にアロハシャツと言うラフな格好であった。


「一応会食、 ですよね?」

「ローマに居るときはローマ人のように振る舞え※1 ですよ」



※1:諺の郷に入っては郷に従えの言い換え。

その土地に入ったら自分の価値観と異なっていても

その土地の慣習や風俗にあった行動をとるべきであるという意味。

観光客を狙った犯罪が多い為、 現地民の恰好を取るのは不自然では無い。



「しかし決闘者が居ると言うのは一声欲しかったですね」

「いや、 それは大丈夫では?」


コールスローの苦言に対してエンペスキーが訂正する。


「何故?」

「こんな所で襲い掛かったりはしないでしょう」

「無論ですよ、 寧ろ逆です、 手を組みませんか?」

「手を組む?」

「言うならば談合と言う奴ですよ」

「申し訳ないジョージ閣下、 所用を思い出しました」

「私もです」


立ち上がるエンペスキーとコールスロー。


「まぁ、 待って下さいよ、 スペルエストレージャとサリバン相手に勝てるとお思いですか?

貴国と我が国は確実に2敗は確定でしょう、 カメハメハ大王にも怪しい

貴国と我が国で最下位争いになるでしょう」


ジョージの言葉を無視して去るエンペスキーとコールスロー。


「ちょ、 待って下さい!! 話を聞いて下さい」

「いや、 本当に申し訳無いですがジョージ閣下、 所用が有るので・・・」

「時間が押しています、 本当に申し訳無い」


そう言って去るエンペスキーとコールスロー。


「・・・・・」

「失敗だな、 ジョージ」


がっかりするメレディス。


「あいつ等、 二人に勝てるのか? あり得んだろう・・・どんな判断だ」


気を落とすジョージ。


「で、 如何するジョージ」

「・・・・・呑むかメレディス」

「呑んでいいのジョージ?」

「あぁ、 酒呑んで寝て決闘に備えろメレディス」

「そうだねジョージ、 しかしサリバンまだ来てないみたいだけど?」

「不戦勝かもしれないが油断は出来ない・・・?」


ジョージは目を見開く。


「如何したのジョージ?」

「あの船なんだメレディス?」

「?」


メレディスが地平線を見るとそこには一隻の船が。


「デカいな・・・目測300mは有るな※2」



※2:現代尤も大きい客船は全長362m。


「アメリカの船だな、 アメリカは何でもデカいなメレディス」

「しかしこれはデカすぎじゃない? 一体誰が・・・」


ふっ、 と笑うメレディス。


「如何したメレディス?」

「船体に名前書いて有ったわジョージ」





ハワイ島沖、 サリバン所有の船【ジョン・L(ローレンス)・サリバン号】

ジョン・L(ローレンス)・サリバンが個人的に所有している船である。

当のサリバンはプールで寛いでいる。


「本物の金持ちは自分の船で移動する、 か

しかしこの船は個人所有するには大き過ぎないかね?」


サリバンに大柄の眼鏡をかけた男が尋ねる。


「いえいえ、 そんな事はねぇですよ大佐(カーネル)


眼鏡の男はセオドア・ルーズベルト、 元軍人の政治家で副大統領をしている。

またアメリカの名門、 ルーズベルト家の人間でもある。

大佐(カーネル)は彼の仇名である。


「広すぎだろ」

「いえいえ、 偶にパーティしたりとかするんですよ」

「パーティねぇ、 君は社交とか気にしない性質だと思ってた

人集まるのかい?」

「遠洋で見る俺の試合とか凄い人気が有りますよ」

「それは興行では?」

「ちゃんと手続きとか税金とかはやってますんで大丈夫っすよ

それに世界一で一番強い男の船がショボかったら残念でしょう?」

「世界一ねぇ・・・随分な自信だな」

「俺は世界一の国アメリカのヘビー級ボクシングチャンピオンっすから」

「まさにその通りだ、 だが負けたらどうなるか、 分かるな?」


ルーズベルトの眼が光る。


「・・・お言葉ですが良いですか?」

「何だ?」

「舐めてんじゃねぇぞテディ坊や!! 俺が負ける訳ねぇだろ!!」

その仇名(テディ)で呼ぶんじゃねぇ!! 訴えるぞ!! いやぶっ飛ばす!!」


棍棒を取り出すルーズベルト。


「上等だ!! ウォームアップがてらにぶっ飛ばす!!」


拳を構えるサリバン。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ