エアリアル・キリング・メソッド
王国の迎賓館※1 にて出迎えられるベネルクス王国一行。
※1:国賓を迎え入れた時に会食や宿泊等の接遇を行う施設。
「いやー、 ようこそようこそ!!」
アロハシャツを着た小麦色の筋肉質でにこやかに対応する男。
この男こそ、 ハワイ王国の国家元首、 カメハメハ大王である。
「この度は災難でしたね」
「いやー、 しょうがないですよ、 ハッハー」
エンペスキーが辛うじて声を絞り出す。
カメハメハ大王はにこやかに笑っている。
しかし目が一切笑ってない、 ジース・・・・・
「決闘は20日ですのでそれまで滞在して頂くホテルを既に準備しました」
「それはありがたく存じますが既にホテルの予約はしてありますので」
「左様ですか!! ではそれまでハワイを存分にお楽しみください!!」
カメハメハ大王との会談は直ぐに終わった。
迎賓館から出た一行は溜息を吐く。
「アレがカメハメハ大王か・・・何という威圧感・・・」
コールスローが言葉を絞り出す。
「あんな化け物に勝てるのか、 フェザー?」
エンペスキーが問う。
「・・・・・」
フェザーは遠くを見つめている。
「おい、 しっかりしろよ、 これは君達にも関係のある話なんだぞ?」
「・・・・・」
エンペスキーの言葉を無視して尚も遠くを見る。
「おい」
「すまない!! 退いてくれ!!」
カメハメハ大王が全力疾走でやって来た。
慌てて道を開ける一同、 カメハメハ大王が飛びあがり何かを打ち落とした。
「ハッハー!! 流石は噂に名高いカメハメハ!! 流石だぜい!!」
起き上がる何か。
それは巨躯のマスクを着けた大男だった。
「君は?」
「メキシコのスペルエストレージャ!! 今回の決闘のメキシコ代表だ!!」
「スペルエストレージャ・・・プロレスラーか・・・」
「・・・・・今空飛んでなかった?」
その通りである、 明らかに空を飛んでいたのだ。
このスペルエストレージャと言う男は。
「俺は世界各国で戦っているからな!! これは日本のルチャドールが使う空中殺法だ!!」
「空中殺法・・・ルチャドールは空中戦が得意と聞いていたが・・・
まさか空を飛ぶとは・・・」
戦慄するフェザー。
「しかし船で君の事は見なかったぞ? 一体どうやって入国したんだ?」
エンペスキーが当然の質問をする。
「飛んで来た!!」
「・・・・・メキシコから?」
「あぁ!!」
メキシコから空を飛んで来るとは・・・何と言うスタミナか。
「しかし疲れるだろう、 何故船で来なかった?」
「節約の為だぜ!!」
「よし、 ルチャドール習得しよう」
決意するエンペスキー。
「ちょっと待て」
笑みを消すカメハメハ大王。
「君、 空から飛んで入国して来たと言っていたな?」
「あぁ!! そうだぜ!!」
「検疫※2 は受けたか?」
※2:海外から持ち込まれたもしくは海外へ持ち出す動物・植物・食品・人などが
病原体や有害物質に汚染されていないかどうかを確認する事。
「当然だろう!! あそこの暴風山の所で一旦下りて検査を受けたよ!!
と言うか普通に検疫受けないとか人間として駄目だろう!!」
「そうだよな、 それを聞いて安心したよ、 ようこそハワイへ!!」
にこやかになるカメハメハ大王。
「おぉっす!! よろしくなぁ!!」
手を差し出すスペルエストレージャ。
「?」
「握手だよ!! 握手!!
アンタは大王だが決闘の時は単なる決闘相手だ!! 良い決闘をしよう!!」
「・・・ふっ」
握手に応じるカメハメハ大王。
「痛い痛い痛い!! 強く握り過ぎ!!」
スペルエストレージャが暴れる。
「え、 あ、 すまん」
カメハメハ大王が手を離す。
「何すんだよ!! 俺の手潰すつもりか!?」
「いや、 てっきり握力比べかと思って・・・」
「意味分かんねぇよ!! これで俺が怪我したらアンタの反則負けだぜ!?
分かってるのかよ!! ていうか実力比べならさっき打ち落とす奴でやっただろ!!」
「いや・・・ごめん・・・」
「気を付けろよ!!」
スペルエストレージャは去って行った。
「うぅむ・・・侮れない・・・」
呟くフェザーだった。
スペルエストレージャが歩いているとメキシコ外交官のアミーゴが現れた。
「おま、 マジで止めろよな!! そういうの心臓に悪いから!! 国際問題になったら如何する!!」
「ただの挨拶じゃんよ、 気にすんな」
ケラケラ笑うスペルエストレージャ。
「で、 如何だった大王様は」
「あぁ、 俺の圧勝だわ、 大王に関しては」
真顔になるスペルエストレージャ。
「何? どういう事だ?」
「あのガキ・・・決闘者だろ?」
「ガキ・・・あぁ、 ベネルクスのS級決闘者らしい、 何でも侯爵とか」
「貴族・・・いや平民からの成り上がりか、 やはり強敵だな」
「そうなのか? ビビってる気がするが・・・」
「ふん、 外交官のアンタにゃあ分からんよ、 アイツの怖さは、 まぁやれば分かるか」
「?」
「それよりもアミーゴ、 飯は?」
「良い店を予約してある、 腹いっぱい食え」
「ごっそさん」




