エンド・オブ・ルーマニア
無呼吸は現状悩ましい状況になっている。
まず3人の決闘者からボコボコにされている。
実を言うとこの状況から脱する事はとても容易い。
先の細胞の自然死を再度行使して
体を縮小し小さくなった後に逃げ出せば良い
細胞の自然死による収縮にはウィルパワーは減らないのだ。
だがしかしそうなると体内に格納しているエメラルドタブレットを放棄しなければならない。
無呼吸の体内は現状かなり融通が利く体になっており
エメラルドタブレットを格納している。
エメラルドタブレットを放棄すれば助かる。
しかしエメラルドタブレットを捨ててしまえば今回の騒乱は全て徒労に終わる。
(いや、 待て)
無呼吸は更に思案する。
力の使い方を慣らしていけば持ったまま逃げられる?
「・・・ヴァカか」
即断即決。
無呼吸は逃走を選択した。
慣らしより先にウィルパワーが尽きれば死。
無呼吸は周囲にエメラルドタブレットを射出する。
「!!」
アストロジャーは気を取られるがフェザーもポイニクスも興味は無い。
だが・・・
「っ!!」
「ふぎゃ!?」
不意を突く攻撃にはなった。
エメラルドタブレットの直撃でポイニクスにはダメージを
フェザーには隙を作れた。
細胞の自然死による収縮を行い即座に逃走するのだった。
「あっ!! 待て!!」
フェザーが気が付いてももう遅い。
既に無呼吸は見えなくなった。
「畜生・・・」
「じゃあさよなら!!」
半壊した黄道十二星座にも持たせながら
アストロジャーはエメラルドタブレットを持って逃げだした。
「ッ待て!!」
「誰が待ッ!?」
即座に斬られるアストロジャー。
「え・・・」
「な・・・」
「何時の間に!?」
斬ったのは月読で高速移動して来たジョウゲンだった。
フェザーは即座にジョウゲンに斬りかかるも
ジョウゲンも斬り返す。
「シルバー・コインのジョウゲンともあろう者が何故こんな暴挙に!?」
「何を言っている!!? 先程のやり取りを見ていた!!
君はコイツに撃たれただろうが!! それにこの板を求めて我々はやって来たんだろうが!!
持ち逃げさせるか!!」
「・・・・・」
フェザーはジョウゲンを見る。
「そろそろ放してくれ!! 本気で打ち返すぞ!!」
「・・・・・」
必死そうだが嘘を吐いているのだろうか?
正直見分けがつかない。
「双方、 剣を収めろ」
ポイニクスが割って入る。
両手には炎が煌めき、 臨戦態勢だ。
「私には話の半分も分からん、 だがしかしこの良く分からん板?
が件のなんたらタブレットって奴なんだろう
で、 ジョウゲンはこの板を持ち逃げされない様に
そっちの小娘を斬ったんだろう」
「あぁ、 詳しい事は分からないし全力では斬っていない、 治療すれば助かるだろう」
「で、 フェザーはこの小娘と同僚だったから
ジョウゲンに斬りかかった、 と」
「そうなるね」
「良し、 分かった、 じゃあ小娘の治療と確保
この板は我々3人で責任を持ってヨーロッパ連合に持ち運ぶ
3人が各々監視し合いながら運んで行く、 それで良いな」
「ちょっと待ってくれ、 途中で拾っていく人達が居る」
「それならば我々役立たずに任せて貰おうか」
隠れていた鼈とボロボロになっているブラック・ドラゴンが現れた。
「お前等・・・生きてたのか?」
「うむ、 流石にあの地獄絵図にツッコむ勇気が無かったからな」
「俺もうむりぃ・・・」
ブラック・ドラゴンは息も絶え絶えだった。
「後始末は我々が勤めよう、 シルバー・コインの方々はどうなっている?」
「私以外皆死んだ」
「・・・そうか・・・逃げた奴に関しては如何するね」
「S級決闘者でも逃げられる程のバケモノだ
早急にルーマニア政府に通達をしに行こう」
「通達は俺がやるわ・・・」
ブラック・ドラゴンは死にそうになりながらも言った。
「大丈夫か?」
「あぁ、 正直、 逃げてる最中にあのバケモノと出くわす危険も有るだろうし・・・」
このブラック・ドラゴンの危惧は杞憂だったがこの後が凄惨だったのだった。
「まずは隠れているフランスの決闘代行業の【ライトニング】達を回収か」
先に言われた通りにフェザー、 ポイニクス、 ジョウゲンの3人は
アストロジャーとエメラルド・タブレットの輸送に動き
鼈はフェザーに指定された者達の回収に向かっていた。
「ん?」
フェザーから聞かされていた場所には血溜まりと3つの死体。
そしてマカロニが居た。
「・・・・・」
「・・・・・」
鼈はマカロニに跪いた。
「貴方様でしたか」
「止せ、 誰かに見られたら如何する」
「はっ」
立ち上がる鼈。
「コイツ等は?」
「知らね
さっきの月の獣殺している所見られてさ、 口封じって奴だ」
「そうですか・・・貴方はこれから如何します?」
「さぁね、 俺は心配要らないさ、 お前は?」
「【ベネルクス・インフェルノ・フェニックス】は大打撃を受けました
移籍しても文句は言われないでしょう」
「ウチに来るつもりか? 状況次第では俺も追い出されるからなぁ・・・
まぁおいおい考えて行こうか」




