ムーン・アンド・ドクター
再誕歴7703年ディセンバー31日。
「現状を整理しよう
エメラルドタブレットを確保している奴
今は個人のS級決闘者のフェザー
ルクセンブルク公爵のポイニクス
そしてシンゲツんところのアストロジャー
この四人がバチバチにやりあっている
といっても現状三つ巴だ、 エメラルドタブレットを持っている奴
フェザーとポイニクス、 そしてアストロジャー
情報によればアストロジャーはB級決闘者の筈だが・・・」
「B級に殺されかけたの? ワシら」
ジョウゲンと叭・老が隠れて見ていた。
「あの光線は月虹、 恐らくは俺達と同じく月の眷属だな」
「へぇ、 じゃあ如何する?」
「静観だな、 最後に横取りと行こうじゃないか」
「そうはさせん」
二人の元に医者が現れた。
「・・・誰だ?」
「モーント・ズンディカーズ首領医者」
莫大なウィルパワーの増大を感じるジョウゲンと叭・老。
「なん・・・だ、 このウィルパワーは・・・」
戦慄するジョウゲン。
「説明だよ
説明する事でウィルパワーを上げる規定動作」
「ありえない・・・・・一言の説明でここまで!?」
「当たり前だ、 開示する情報は重大であればある程
増大するウィルパワーは膨れ上がる」
「確かにビッグニュースだが」
ドスッ、 と医者の胸元から剣が生える。
背中から刺されているのだ。
「不意を突けば問題無い」
叭・老が医者の背中から嗤う。
「同感だ」「コイツ胸に心臓が無い!!」
医者の言葉とほぼ同時に叭・老が叫び
医者の全身から突き出した針で刺されて息絶えた。
「ふむ、 避けようとしてギリギリよけきれなかったな、 この爺さん」
そう言いながら針を戻す医者。
(速いな・・・月読発動してもギリギリ死ぬか・・・
胸に心臓が無いなら首に脳が有るとも限らん・・・)
冷静に叭・老からの情報を分析する。
「答えを教えよう、 私は最初にも言ったが医者だから患者を診る事が得意だ
故に私は患者の能力を全てを使える
体を自在に変身できる誇大妄想で体を弄って有る
心臓等の主要臓器や中枢、 弱点は複数に増やして有る事で弱点を突いても問題は無い
先のタルパの大軍も私が持っている能力の一つだ」
「・・・・・そうか」
構えるジョウゲン。
「止めろ、 お前では勝てん」
「如何かな」
ふっ、 と消えるジョウゲン
そして医者の体が文字通り木端微塵にされる。
「体に複数の中枢が有るのならば体全体をバラバラにすれば良い、 簡単な話だ」
「言い忘れていたが」
「!?」
ぎゅるると木端微塵になった医者の体が再度再構築され元の姿に戻る。
「中枢と主要臓器のサイズも変えて有る、 そのサイズはミリメートル単位だ
お前のやる事は既に見えている、 私を害す事は出来ない
故に話しかけているのだ」
「天に祈れ」
ジョウゲンの空気が変わった。
「個体領域か、 ならこちらも付き合おうか」
「食刃祭!!」
展開されるのは一面刃の地平線。
「|神殺室《本日は如何なされましたか?》」
打ち消され文字通りの診察室に上書きされる。
「ここでは抵抗は無意味、 私に診察される以外にない」
「っ!!」
向かい合わせに座る医者とジョウゲン。
「・・・・・何のつもりだ?」
「お前に聞きたい事が有るんだよ
私は過去に月の信奉者と交流が有ったし連中とも取引を重ねて来た
結果として折り合いが悪くなって取引は没交渉になってしまった
だが月の技術は素晴らしい・・・!!」
狂的な笑みを漏らす医者。
「私はもっと月の技術が欲しいのだ!!」
「・・・それだけ?」
「充分じゃないか!!」
「聞いて損した、 月光」
頭上から光がジョウゲンに降り注ぎ個体領域から離脱される。
「対個体領域の技か、 初見だな
良いぞぉ、 もっと見せてくれ」
個体領域を解く医者。
「ちぃ・・・・・月読はもう使えないな・・・」
「月読かぁ!! 聞いた事があるぞ!!
眼にも止まらない高速移動の技だなぁ!! ・・・観察できないから真似できないな、 クソが」
悪態を吐く医者。
「さて、 個体領域の他に何か有るか?」
「これを使う事になるとはな・・・」
そう言ってジョウゲンは懐からナイフを取り出した。
「何だそれ?」
「喰らってみりゃあ分かるよ!!」
そして斬りかかるのだった。




