ムーン・フェイス
VHO本部の一室にて医者とアスペルガーはエメラルドタブレットを探していた。
「何処だ?」
「エメラルドタブレットは大きいんでしょう? これだけ探して見つからないと
そもそも無かったんじゃないの?」
アスペルガーが問う。
「それは無いな」
「貴方がそういうならそうなんでしょうね、 タルパを出して探し回りましょう」
「それは無理だ」
医者の否定に首を傾げるアスペルガー。
「ウィルパワーが尽きましたか?」
「多重人格は
規定動作により自分の周囲には配置できない様になってる
少なくとも私の視界や聴覚の外に置いておかねば存在出来ない
作る時は近くに置けるが作ったらすぐに逃がさなければいけない」
「何でそんな規定動作にしたんですか?」
「私が決めた訳ではない」
「そうですか、 じゃあ目と耳潰しましょうか?」
「ふざけてるのか?」
「目と耳を無くせばいけるでしょう?」
「はぁ? ・・・あぁ、 そういう事ね、 流石に本体が無防備になるのはキツイ
お前は私の護衛をするつもりは無いだろう?」
「そうですね、 でも大丈夫じゃないです?
僕のタルパを配置しているんでしょう?」
「お前のタルパは失敗作だ、 お前の能力自体が意味不明過ぎて再現が難しい」
「そうなんですか?」
「そうなんだよ、 全く・・・何でお前みたいのが生まれたのか・・・」
「ん? でもさっき僕のタルパ作ってましたよね?」
「あぁ、 まぁな、 破壊されない事に対しては比類無いよ
戦闘能力はお前よりも遥かに低いが」
「さいですか、 この部屋にも無いみたいですね」
「しょうがないなぁ・・・」
部屋を移動する医者とアスペルガー。
「と言うかやっぱり二人だけだと広いですよ、 外の連中が来たらどうします?」
「こうする」
そう言ってアイゼンクォーポの姿に変身する医者。
『これならば問題無いだろう?』
「そうですね・・・」
たったった、 と走る音が聞こえる。
『ふん、 来たか無呼吸』
「分かるんです?」
『足音で分かる、 私がやる、 手を出すな』
「はい」
走って来た無呼吸と会敵する医者とアスペルガー。
「アスペルガー?! じゃ、 さっきのは!?」
『眠り病』
「!?」
強制的に昏倒させられそうになる無呼吸。
しかし無呼吸はウィルパワーで強引に自らの体をかき回して何とか打ち消す。
懐から何かを取り出そうとする無呼吸。
『打ち消したか、 運動ニューロン疾患』
「!?」
今度は体が動かなくなる無呼吸。
ウィルパワーで再度なんとかしようと試みる、 が。
両手を飛ばされる。
「」
!? と反応すら出来なかった。
医者の両腕が剣になり両手を取られたのだ。
「さてと」
無呼吸の足を足払いして倒し彼女の両足を切断する医者。
「っ!! っぷは!?」
ここで無呼吸の動きが元に戻る。
「な、 なにもんだお前は!!」
『黙れ、 質問に答えろ、 エメラルド・タブレットは何処だ?』
「いうと思うか!!」
無呼吸が真空を展開する。
しかし医者とアスペルガーはノーダメージである。
『お前の攻撃は見飽きた』
「見飽きた・・・だと? 必殺のこの力を・・・? お前まさか医者・・・
死んだはずじゃあ・・・」
両手両足の出血で意識が朦朧とする無呼吸。
『答えんよ、 だがお前がもしエメラルド・タブレットの場所を教えてくれるなら
安楽に死なせてやる、 私は安楽死肯定派だ』
「・・・・・」
んべ、 と舌を出す無呼吸。
『それが答え・・・』
舌先に乗っているのはエルダー・ストーン。
それを素早く飲み込む無呼吸。
ずもももももももと肥大化する無呼吸の体。
医者は攻撃するも無呼吸には通じていない。
肉の膨張が止まらない。
『逃げるぞ』
アスペルガーに声をかける医者。
既にアスペルガーは逃げ出している。
『先に逃げるとか何考えてるんだあのヴァカ!!』
医者も全力で逃げ出した。
一方その頃、 外で戦っているポイニクス
周囲を炎の海に変えながらタルパを破壊していた。
「固い奴が何匹か居るな」
直後、 全身が細切れになる様な嫌な予感を感じた。
炎を爆発させて全力で逃げるポイニクス。
逃げだしたコンマ5秒後、 周囲の炎が消えてタルパが全て弾け飛んだ。
「あれは・・・」
逃げながらもポイニクスは見た。
VHO本部を内部から破壊する程に巨大に膨れ上がった巨大な顔のバケモノを。




