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ゲッティング・バトン

ベネングウェイ家はルクセンブルク大公家が抱える決闘者を輩出する家系の一つである。

カタパルトはベネングウェイの長男だったが当代ベネングウェイ家当主

アーセナル・ベネウグウェイは苛烈な人物であり、 家督争いを積極的に行わせた。

彼は実力主義者であり、 最後に残る者が最優秀と考えたのだ。


アーセナルは本妻の他に愛人を侍らせ、 本妻の子はカタパルト含め男兄弟4人。

3人居る愛人は兄姉弟の三人兄弟、 双子の姉妹、 長男二男長女三男次女の五人兄弟。

計14人の兄妹による苛烈な家督争いが始まったのだった。


カタパルトは長男としての重圧から神経を研ぎ澄ませる余り

情緒不安定になっていて感情がころころ変わる事を理由に家督を外された。

他の兄弟達から恐ろしくあしざまにアーセナルに告げ口したらしい。


カタパルトは老舗の決闘代行業である【ベネルクス・ゴールド・ライオン】に入社し

現在に至る。


ベネウグウェイ家はその後、 家督が決まった物の兄弟達の争いが激し過ぎて

朝令暮改※1 ならぬ朝令昼改の如くに家督が目まぐるしく変わった。



※1:朝に出した法令を夕方には変更する事。

法令や命令がめまぐるしく改変されて定まらない事の例え。

法律や命令を変える事は悪い事では無いが頻繁に変えると言う事は

思考能力の無さを意味し、 己が能力の信用を落とす行為である。



結果として家に残ったのは愛人の双子姉妹と次女のみであった。

他は事故死か暗殺、 病死。

能力が有った者もあまりに酷い環境から出て行った者も多い。

アーセナルは家督争いで優秀な者に家督を残すつもりだったのに

残ったのは独り立ちも出来ぬ無能な家柄も無い娘達のみ。


妻とは離婚、 愛人達は1人は不摂生で死亡、 1人は庭師と駆け落ち

もう1人は我が子を守ろうとして他の愛人の子に殺害される。


彼は初老を超えても尚を子を作ろうと躍起になっており

既にルクセンブルク大公家からは見捨てられているらしい。




「老いると狂うのかね?」

「黙ってろ」


カタパルトの傷の応急処置をするフェザー。

フェザーが走っている時に傷だらけのカタパルトを見つけたのだ。

モスキートを模したタルパが頭が壊れながらもぴくぴくと動きながら消滅する。


「久々に怪我したわ」

「重傷だよ」

「そうだな、 アバラ何本かイッってるからな・・・」

「腕も折れてるしキツイだろう」

「俺はな本当は斥力使いなんだ、 投げはフェイクだ」

「知ってるよ」

「・・・何で?」

「その程度の(ペテン)位は看破出来て当然でしょ

死にはしないが戦線離脱だ」

「へっ・・・感謝しろよぉ」

「あぁ、 勿論」


フェザーは自分が通った後を見る。

凄まじい破壊の痕跡、 そこに残るウィルパワーの残滓。

恐らくはすさまじい数のタルパが居て、 カタパルトが倒したのだろう。


「だが目に見えない攻撃は防げなかった・・・」

「もう良い、 休んでろ、 君程の実力者だから大丈夫ってだけで

常人なら既に死んでる傷だ」

「だが敵が来たら殺される傷だ、 フェザー、 こっち来な

VHOまで飛ばしてやるよ」

「無理するなよ」

「ヴァカ言え、 良いか? 敵が来たら殺される傷なんだぞ?

お前のやる事は早急にこのタルパ共を作っている奴、 或は奴等を

ぶっ倒す事だ、 そうじゃなきゃ俺も死ぬ

それに安心しろ、 斥力は俺にとっては大した事無い技だ」

「・・・・・なら任せた」

「じゃあ行くぞ」


直後、 ぽーん、 とフェザーは飛んで行った。


「・・・ごふ」


血の咳を吐くカタパルト。


「やっぱちょい無茶したか・・・まぁしょうがないよな・・・」


気を背もたれに倒れるカタパルト。


「クソ親父・・・何が実力主義だよ、 人間一人で出来る事なんて

大した事ねぇ、 協力しあってこそだろう」


そう言いながらカタパルトは目を閉じた。





「・・・・・」


空を飛びながらフェザーは一人思案していた。

あの傷からウィルパワーを使ったとなるとかなり辛い事は見て分かる。

恐らくは命と引き換えになるだろう。

しかしながらあのままでいる事には耐えられなかった。

その気持ちが良く分かった。


「・・・・・」


この戦い、 絶対に勝つ。

フェザーは強く心に誓った。

そしてVHO本部近くに着地する。


「うわ!? だ、 誰!?」


着地地点にいたマリーが驚きの叫びをあげる。


「フェザー!? フェザーよ!! S級決闘者の!!」


エルメンドラが叫ぶ。


「S級!? S級なの!?」

「S級だけども貴方は?」

「フランスの決闘代行業【ライトニング】社長のマリー!!

今めっちゃヤバイの!!」

「うーん、 確かにヤバイ・・・」


ポイニクスの業火を見て一人呟く。


「ポイニクス無茶するなぁ・・・」

「ポイニクスもそうだけど本部の奴もヤバいわ

真空を作れるとか・・・」

「真空かぁ・・・潜水服でも着て来れば良かったなぁ・・・」

「な、 何の話?」


フェザーとエルメンドラの言葉に戸惑うマリー。


「潜水服は気圧差にも耐えられるんだよ、 まぁ無い物強請(ねだ)りしてもしょうがない

さっさと」

「待って!!」


呼び止めるマリーだった。

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