ルクセンブルク・インフェルノ・フェニックス・イン・ザ・インフェルノ
VHO本部周辺で無数のタルパの群れに襲われる
【ルクセンブルク・インフェルノ・フェニックス】の面々。
「ちぃ!!」
ポイニクスは得意の炎を封じられている。
ブクレーマを模したタルパにより周囲には油が撒かれている。
ポイニクス自身は炎に耐性があるが他の連中はそうでは無い。
炎を使った瞬間に他の連中は死ぬ。
止む無くウィルパワーを身体強化に使う事で戦えてはいる。
しかし全力では無い。
「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
ブラック・ドラゴンは息が上がっている。
戦闘スタイルは素手、 と思わせて隠し刀による居合と抜刀。
更に手刀まで繰り出す事が出来る。
手数は多く、 今まで決闘の仕事において敗北はほぼ無い。
しかしながら手数の多さから消耗も激しい。
「息切らすなよブラック!!」
対してブルー・ドラゴンは余裕そうである。
ウィルパワーを凝縮して気弾として撃ちだすという戦闘スタイルは
この状況において優位に働いた、 そして何より気弾は自由に動かせる上に
自身も自由に動く事で単純に手数は二倍であった。
「うるせぇ!!」
ブラック・ドラゴンは叫ぶも息も絶え絶えである。
単純な鍛錬では限界が有ると手数を増やす方に注力した結果
身体能力ではブルー・ドラゴンに劣る。
とは言え決闘者としてはS級としては充分にやっていける
現に今もタルパを数十人倒している。
問題はタルパの数が千に近いという事だろう。
決闘者としては充分な戦力だがこうして混戦に持ち込まれると不味い。
質より量と言う諺の通り、 決闘者が幾ら強くても
質を凌駕する量で攻め立てられれば敗北は必至!!
更に悪い事に質すら備わっている!!
「優生侵攻!!」
「個人領域!? ちぃ!!」
個人領域すら使える質を持っていたのだ。
「ブラック!!」
「はい、 頭上注意」
「ぐぅううう!!!?」
ブラック・ドラゴンが個人領域に飲み込まれた瞬間に
患者”低所恐怖症”ヘイグラウンフォを模したタルパの
ウィルパワーを頭上から叩きつける頭上注意で大ダメージを受けるブルー・ドラゴン。
「この程度効くかぁ!!」
「これで距離は詰まった、 泡だて器」
「ぐぅ!?」
患者”水疱瘡”烏骨鶏を模したタルパの
泡だて器、 触った相手を破裂させる能力だが
ブルー・ドラゴンはウィルパワーを体に込めてダメージを極力抑えた
だが脇腹に大ダメージを受ける。
烏骨鶏のタルパを殴り壊しても周囲に大勢のタルパが取り囲み始める。
「ここまで、 か」
「人生諦めが肝心だ」
鼈が現れる。
「鼈か・・・」
「露骨にがっかりするな、 地獄に仏だ、 敬いなさい敬いなさい」
鼈はそう言いながら巨大な鏡を掲げる。
「法力によって吹っ飛べぇえええええええええええええ!!!!!」
鏡にウィルパワーを込めると光り輝きレーザーの様にタルパ達を殲滅する。
「技量は確かに有るが気の循環が攻撃一辺倒になっている
簡単に崩せる、 蟻の一決だ」
「すまないな鼈」
「謝る暇が有れば逃げろ」
「何だと!? この状況で逃げ、 っ!!」
脇腹の出血が酷くなる。
「私も時期を見て下がる」
「下がるって・・・逃げる気か!?」
「まさか、 我々は寧ろポイニクスの邪魔にしかなっとらん
奴が全力を出せば地面の状況も相まって地獄の業火よ
誰一人生き残れん、 【シルバー・コイン】の連中も何処かで身を潜めている
白虎は速攻で逃げ出した」
「逃げたのアイツ!?」
「怒るな、 白虎は一撃必殺狙いの男
この乱戦では荷が重い、 それよりもお前も早く逃げろ」
「でもブラックが」
「奴もS級、 その程度では死なん」
「っ、 畜生!!」
全力で走り出すブルー・ドラゴンだった。
主戦場から逃げ出し距離を取る、 しかし・・・
「・・・え?」
見つけたのは倒れている白虎!!
顔色は真っ白であり、 死を想起させる!!
「如何した白虎!!」
「」
「っ・・・白虎・・・」
既に白虎は瞳孔が開き
体が冷たくなっており否応にも死んだ事がはっきりわかる。
白虎の眼を閉じるブルー・ドラゴン。
「何処だあああああああああああああああああああああ・・・あ」
ばたり、 と倒れるブルー・ドラゴン。
現れる心臓発作を模したタルパ。
「間抜けが、 逃げ道には予め見張りを置いているに決まっているだろうに」
悪態を吐きながらも見張りを続行する。




