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ソード・アンド・クラブ・イン・ザ・デュエル

「いや、 決闘も何もここで全員で袋叩きにしたらいいじゃねぇか

何言ってんだ?」


ダイモスがツッコミを入れる。


「それは出来ない」


マスク・ザ・コオニが強い口調で言う。


「何で?」

「決闘を申し込まれたら受けねばならないのは一般常識だ

そして何よりもこいつは決闘ならば、 つまり1対1なら俺達に勝てると言っている

舐めてやがる」

「それ位の度胸は有って良いだろう、 必修科目だ」


ブレインが諫める。


「ヴァカめ、 俺達は10人

一人やられれば数珠つなぎの如く次々と決闘だ

つまり10人抜きをするつもりだ」

「んだとこらあ!! 頭イカレてんのか!!」


ブレインが叫ぶ。


「イカレてはいない、 俺はベネルクス二刀流の使い手」

「ベネルクス二刀流・・・ねぇ」


ブレインの怒りが一気に下がる。


「あー、 うん・・・」

「マジかよ・・・」

「ここで出て来るのかよ・・・」

「やる気失せるわー」


萎える小鬼の一撃の面々。


「ふっ、 ベネルクス二刀流の技の恐ろしさは知っている様だな」

「技は知らんが名は知っている

決闘で八百長指示して潰された武芸だろ?」

「確かにそうだ、 だがなぁ」

「悪いけど、 俺達はヴァカかもしれねぇがプライドが有るんだよ

ベネルクス二刀流なんかと戦うなんてキモい

生理的に無理※1 そもそもお前の剣より俺の棍棒の方がデカい」



※1:マジでキモいと言う拒絶の意味。



「誇りはねぇ、 プライドもねぇ、 だけど強いのがベネルクス二刀流

お前達の棍棒なんぞ目では無い」

「あ、 そ、 じゃあ俺がぶっ潰してやるよ」


ブレインが前に出る。


「それでは立会人は立会人№966が務めます」


唐突に現れる立会人。


「アンタ等本当にどこでもいるな」

「たまたま通りかかっただけです

この街の決闘のルールはデスマッチ、 見せ合い無しに固定されますが構いませんか?」

「分かりやすくて良いな!!」

「来るが良い!!」

「それでは決闘を始めます!! 両者名乗りを!!」

「小鬼の一撃の決闘者!! ブレイン!!」

「・・・N5駐在騎士団所属騎士、 ホッパー」


ホッパーは地面を剣で叩いた。

するとぽーんと飛びあがった。


「これは・・・」

「ベネルクス二刀流奥義【天流れ(そらながれ)

ウィルパワーで剣を覆い弾性を付与してこうして立体的な高速移動が可能になった」


飛び上がったホッパーが壁に激突しそうになると

剣で壁を叩く、 そうするとぽーんと飛び

またぶつかりそうになったら剣で叩くの繰り返し。

縦横無尽に飛び回るホッパー。


「立体的な高速移動・・・だが跳ねているだけでは勝てないぞ?」

「当然だ!!」


ホッパーは跳ねながらブレインに攻撃をする。

通り過ぎながらの剣での攻撃。

そして吹き飛ばされ倒されるブレイン。


「・・・斬られたと思ったら斬られていないとは・・・何だ一体?」


困惑するブレイン。


「さっきも言っただろう!! ウィルパワーを剣に纏わせ弾性を付与したと!!

この剣で壁や床とかを叩けばこうして跳ね回って高速移動が可能になり

敵を叩けば吹き飛ばせる!!」

「いや普通に斬った方がダメージ凄いだろ、 何言ってんだお前」


ホッパーの説明に更に困惑するブレイン。


「ふっ、 愚かだな!! 俺は一発一発の攻撃力は重視してねぇ!!

こうして跳ね回る事でヒットアンドアウェイを実現すると言う事だ!!」

「ヒットアンドアウェイか、 愚かな

ヒットアンドアウェイは既に明確な駄目戦術だと結論が出ている!!」


ぶん、 と棍棒を振るブレイン。





「どゆこと?」


脇で見ているアイボが尋ねる。


「アウェってる分をヒットれば二回殴れる」


デンエンが解説する。


「あたまいいー」

「セルデン侯爵領騎士団憲章にも『防御無くせば攻撃力2倍』と言う言葉が有るからな

防御や回避を攻撃に回せばその分強いと言うのに、 やはり頓狂な武芸よ

ベネルクス二刀流」

「・・・いや、 ダメージ受けるだろ」


ダイモスがツッコミを入れる。


「ダメージを受けると駄目なのか?」

「痛いじゃないか」

「子供じゃあるまいし、 そんな事を気にするんじゃないよ」

「えぇー・・・」

「それよりもだんな、 あれはいったいどういうことだ?」


アイボがブレインを指差す。




ぶん、 と棍棒を振るブレイン。

棍棒は宙を切る。


「何処を狙っている!!」


後ろからホッパーの攻撃でブレインは吹き飛ばされる。


「既に勝つ為の策は決まっている!!

とりあえず棍棒を振ってお前に命中するのを待つ!!」


ジース!! 策と言えるのか!? いやそもそも策を説明するのは一体どうなんだ!?


「・・・・・究極のヴァカなのか?

棍棒を適当に振って俺に当たるのを待つ? 正気か?」

「あぁ!!」


ぶん、 と棍棒を振るブレイン。

棍棒は宙を切る。


「・・・・・」


ホッパーは跳ねまわりながらブレインを観察している。


「・・・お前、 周りを見る事すらしてないな」

「あぁ!! 俺の目ではお前は捉えきれない!!

ならば適当に攻撃しても結果は同じ!!」

「・・・・・」


呆れながらホッパーはブレインを攻撃する。

2度、 3度、 4度、 5度。


「ちぃ!! 当たらないな!!」


ぶん、 と棍棒を振るブレイン。

2度、 3度、 4度、 5度棍棒は宙を切る。


「もっと頭使えよ・・・」


ホッパーは思わずアドバイスをした。


「ふふん!! 勝機は充分にある!!

1度振ってダメなら10度!! 10度駄目なら100度!!

一発当たればお前は死ぬ!!」

「・・・はぁ・・・」


自分の決闘相手のヴァカさ加減に呆れるホッパー。


「だからその一発が当たらないってんだろうが、 ヴァカかお前」

「お前は既に負けているんだよホッパー」

「抜かせ」


スピードを上げて攻撃回数を増やすホッパー。

10度、 20度、 30度、 そして40・・・


「らぁ!!」

「!!」


棍棒を振るブレイン。

40回攻撃を受けている間に彼も40回棍棒を振った。

そして40回目の棍棒がホッパーに掠った!!

ホッパーは咄嗟に地面を叩いて飛び跳ねた!!


「勝ちが見えて来たなぁ!!」

「太陽も見えてるだろ※2 が!!」



※2:見えていても届かない物の例え。



「終わったな」

「そうっすね」


デンエンとマスク・ザ・コオニは呟いた。


「確かに掠ったけども・・・それで勝ちを確信できるのか?」


ダイモスが二人に問う。


「オガに聞いたが連中は騎士と言ってもチンピラ紛いの奴だろう」

「そうだが・・・」

「例え武術を学んだとしてもだ付け焼刃だ

この跳ねる技は認める、 しかしだ・・・」


どんどん跳ねる速度が遅くなるホッパー。


「維持は出来ていない様だ、 疲れが見え始めている」

「こうなったら疲れて止まった所を棍棒で殴れば勝ちよ!!

まな板の上のモグラ※3 よ!!」



※3:こうなったらモグラは叩かれるしか無い

転じて如何しようも無い状態の事を指す。



「だが疲労だったらアンタ達の仲間も凄い疲れるだろう」

「へっ、 小鬼の一撃(俺達)

1000回程度なら棍棒を振るってもへばらんよ!!」

「その通り、 頭が悪くても体は負けとらん」

「そうそう・・・頭が悪い?」




「くっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」


既に疲労がピークに達したホッパー。

デンエンたちの言う通り武術は学んだがウィルパワーの消費で

既にホッパーの頭がくらくらし始めている。

そして両腕が千切れんばかりの激痛!!


「ぐ・・・!?」


壁を剣で叩くホッパー。

しかし剣は壁に突き刺さった。


「ウィルパワーが切れた・・・だと?」


戦慄するホッパー、 刺さっている位置は結構高い。

落ちれば・・・


「っ・・・はぁはぁはぁはぁはぁ」


震えるホッパー、 息も上がっている。

腕が震え始めた。


『技の習得が早く熟達も見事

しかし基礎修行を疎かにするのは頂けない』


師事をしたテラーの言葉が脳裏をよぎる。


「あ」


震える腕が剣を手放させた。


「よっしゃ!! 落ちて来い!!」


棍棒を構えるブレイン。


「お、 おおおおおおおおおおお!!」


ホッパーは落ちながら剣を構える。

だがしかし棍棒の方が大きい!!

棍棒のフルスイングを受けてホッパーの頭蓋骨は砕け散りホッパーは絶命した!!


「勝者!! ブレイン!!」


立会人が宣言し決闘は終わった。

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