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ルナティック・デッド・ボディ

クラストネート代官領死体安置所(モルグ)

そこにやって来たフェザー一行、 既に青い顔をしているミソカとミソカを摩っているクラブが居た。


「フェザー!!」


フェザーを確認すると走って来るミソカ。


「ミソカ、 ランバルドが死んだって言うのは・・・」

「本当だ、 だが・・・」


クラブが言い淀む。


「何で言い淀む?」

「まぁ私達は死体は見慣れてるけどもアレは・・・兎に角見て」


ミソカに促されてランバルドの遺体を見るフェザー一行。


「!!」


フェザーは咄嗟に自分の体でサンの視界を遮った。


「な、 これは・・・」


ベルモンドも絶句した、 戦争の経験があってもこれは酷い有様だった。

いや酷い? のか? 訳の分からない死に様だ。


体中がまるで知恵の輪の様にぐにゃぐにゃに絡まり合い。

胴体をこれでもか!! とグルグルとまかれロープ状になり。

顔は最早この世の地獄を味わっているかのような絶望を張り付けた形相であった。

ここまでの壮絶な死に顔は今まで見た事が無い。

極めつけは・・・


「この立方体は何だ?」


白い立方体が体中から生えている事だ。

何かのできもの? 病原体か何か?

正直これが一番気味が悪い、 生物に無理矢理無生物を合わせた様な・・・

冒涜さすら感じる。


「検死官によるとこの白い立方体は骨らしいです」

「骨ェ!?」


クラブの言葉に素っ頓狂な声を挙げるベルモンド。


「どうやらランバルドの骨が変質してこうなっているらしいです

ランバルドの骨格は体から抜け出ています」

「骨を抜いて四角にするとか猟奇的過ぎる殺し方だな・・・」

「ちょっとキツイ・・・離れてて良い?」


ミソカが尋ねる。


「あぁ、 ついでにサンを連れて行ってくれ」

「何でですかお父様!!」

「これは流石に気味が悪い、 婦女子には毒だ」

「そうよ、 サン様、 一緒に行きましょう」

「あ、 ちょっと」


サンを連れてミソカとクラブが去って行った。


「しかしこのグロテスク・・・と言うか奇抜な訳の分からんもんは?

殺すにしてもなんでこんな殺し方をする必要が有る?」

「そもそもこんな殺し方をどうやったら出来るのかが分からない・・・

なんなんだこれ・・・」


頭を抱えるフェザーとベルモンド。


「ウィルパワーで殺した、 んですかね?」


マルガレーテが問う。


「人の体から骨を抜いて立方体にして体をねじねじにして知恵の輪みたいにする

こんな訳の分からない方法をするなんてハッキリ言って僕でも無理だし

これをやるとなると・・・・・

街の外で紙細工で城を作って100年住み続ける位の無茶苦茶な精度が必要だよ」

「不可能と言う事か・・・だが事実としてこうなっているというのは認めざるを得ない

街の外で紙細工で城を作って100年住み続ける人間がいると言う事だ」


フェザーの言葉を諫めるベルモンド。


「想像したくもない、 空から神様が降って来て殺した

って言う方がまだ自然に思える」

「夢想に逃げるな、 事実を受け止めろ」

「はい、 精進します」

「問題はエメラルドタブレットですね・・・何処に行ったんだろう」


マルガレーテが疑問を口にする。


「エメラルドタブレットを狙って裏社会に隠れていた猛者が持って行った

とかですかね、 少なくとも表社会に出ている連中ではこんな事は出来ません」

「S級決闘者でもか?」

「えぇS級決闘者とかそう言う次元の問題じゃないですよ

個人領域(パーソナルスペース)とかそういうレベルじゃなくて

現実の天地創造が出来るレベルじゃないと」

「無理なのか? 君のライバルの・・・チーズとか」

「チーズはライバルじゃありません、 関係も持ちたくありません」


キッパリと言い切るフェザー。


「すまない・・・チーズは如何なんだ?」

「奴なら一刀両断かビームで一撃でしょう

こんな訳の分からない殺し方をする意味が分かりません

そもそも奴が来ているならミソカと一緒だと・・・それは無いか

アイツが人と一緒に来る訳も無いし」

「そうか・・・」


何れにせよ、 この事件はここで終わってしまった。

ランバルドの遺体、 と言うかオブジェはベネルクス政府に提出され

ウィルパワーを用いる者達にセンセーション※1 を巻き起こすのだった。



※1: 驚かせる事件や事柄。 また、大評判の事を指す。

それ程までにランバルドの死体はおかしなものだったのだ。



そしてランバルドの死によって消えたエメラルドタブレットの行方はこれから長い間

行方不明になるのだが、 これが波乱を齎す事になるのだった。




一方その頃、 ミソカ達は喫茶店に向かった。


「・・・・・あれ?」


ミソカは違和感を感じた。


「如何しました?」

「何か店内の様子がおかしい様な・・・」

「・・・確かに少し変な気もしますね」


クラブは首を傾げた。


「ちょっと!!」


サンは不機嫌になっている。


「まぁまぁここのストロベリーパフェ(・・・・・・・・・)は絶品なのよ」

「そうですね、 この街に来た時に(・・・・・・・・)食べたんですが美味しかったんですよ

奢りますので・・・」

「しょうがないわね」


何かが起こったのに気が付かずミソカ達は席に着いた。

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