卑怯者の死
再誕歴7703年セプテンバー25日。
ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセル
ブリュッセル王宮の会議場。
大臣達とベネルクス95世が集まり。
ベネルクス95世が書類をつらつらと読み上げる。
「『自分は今まで100年以上も孤児院を引っ張って来たのに
政府が報いてくれなかったから』
『多くの子供達を面倒見ても誰も感謝の言葉を返してくれなかった』
『ちょっと叩いた程度で厳重注意されて不当に給料を下げられて
生活が苦しくなった、 政府の責任だ』
『自分の子供でもないガキの面倒を見続けるのが苦痛になった』
『新しく家を買ってそのローンの返済の為にやった』
『株式会社アルベドの活動家達が悲惨な目に遭っているのだから
これ位良いかと思った』
『自分が年を取っているのに子供達が若いから少し可哀想な目にあって欲しかった』
『子供が多くて仕事が大変なので減らす為にやった』
『補助金を得る為にやった』
『サイプレス大臣からの指示で政府公認かと思っていた』
『みんなやっていると先輩から言われ、 悪い事だと思わなかった』・・・・・」
はぁと溜息と吐くベネルクス95世。
「何ですか? それ?」
「過日の不正を行っていた孤児院の連中の言い分だ」
大臣の1人から尋ねられ憂鬱そうに答えるベネルクス95世。
「子供の命や人生を握っているのに何だコイツ等?
『悪い事なのは知っていたがサイプレス大臣に強要され
大臣が居なくなった時に告白しようと思ったが怒られるかもしれないのでそのまま』
子供よりも幼稚が過ぎる!!」
書類を叩きつけるベネルクス95世。
「サイプレスはハッキリ言って皆から嫌われるような無能な女でしたし
その女が集めた連中ですので御察しでしょう」
財務大臣エンペスキーが答える。
「無能だが被害は甚大だ、 我々の信用にも関わる
全員処刑で良いだろう」
「陛下、 お気持ちは分かりますが
犯罪者でも裁判を受ける権利はあるでしょう」
法務大臣のジョーが奉る。
「あいつ等に情をかけろと?」
「裁判を受けさせ死刑にすれば良いのです
順番順番に処刑しましょう」
「時間がかかるのでは?」
「人数が多いから裁判スルーして処刑はこいつらと同レベルになってしまいます」
「それは嫌だな、 悪人ですらない卑怯者と同格に堕ちるは恥辱の極み
裁判長には骨を折って貰うが全員裁判にかけよ!!」
画してセルデン領孤児院から端を発した【サイプレス主導孤児院孤児人身売買事件】は
ベネルクス王国各地を巻き込む大騒動となり、 孤児達の人身売買に関わった者達全ては
順番に裁判にかけられ処刑される事になったのだった。




