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パッセンジャー・ウーマン・プレゼンツ・ダブルチーズバーガー

再誕歴7701年ジュニアリー8日。


フェザー達一行はN5行きの乗合馬車※1 に乗った。



※1:不特定多数の客を乗せ一定の路線を時刻表にしたがって運行される馬車。

今回の場合だと都市間長距離バスを想像して貰えるとありがたい。



「全く、 何で乗合馬車を・・・」


ぶつぶつと文句を言うサン。

フェザー一行は後部座席に陣取っていた。

一応目立たない程度のドレスを着て来たのもイライラに拍車をかける。


「N5行きの馬車は借りると高いから仕方ないですよ

それにこっちの方が目立たずに済む」

「そうね、 でも・・・」


サンがちらりと馬車の前部座席を見る。


「小鬼の一撃初の遠征じゃーい!! 呑め呑めー!!」


マスク・ザ・コオニが小鬼の一撃の面々に酒を振る回っていた。


「良く分からない連中と乗り合わせたな・・・鬱陶しい」

「目くらましにはなるよ、 我慢しましょうよ

あぁ、 貴族の御令嬢には厳しいですかね?」

「我慢出来るわよ」


ツゴモリの言葉にムキになるサン。


「あ↑ぁぁぁら↓!! めんこい子ねぇええええ↑!!」

「うん?」

「はぁ?」


フェザー達の元に老婆が現れた。

腰が微妙に曲がっており杖を突き、 何やら派手な化粧と服の

テンションの高い老婆だった。


「失礼ですが何処かでお会いしました?」

「い↑ーや↓、 初↑対面よぉ↑!! 飴ちゃん食べぅる↑!?」

「いや結構です」

「あら↑そう!!」


どさ、 とサンの隣に座る老婆。


「あの・・・何です?」

「いや↑ねぇ↓!! 前の男衆↑が五月蠅くてねぇ↓!!

元気↑なのは良いけども↓、 こうも五月蠅いとね!!↑」

「貴女も五月蠅いですよ」

「えっ!!↑ 何だって!!↑」

「お嬢様、 きっとこのおばあさんは耳が遠いんですよ」

「そうか・・・」

「誰が耳が遠いって!!↑ アタシは声がデカいだけよ!!↑

全く年寄りだからと↑馬鹿にするんじゃないよ!!↑」


ぷんぷんと怒る老婆。


「す、 すみません」

「いいよ!!↑ おばあちゃんは謝れば許すからね↑!!」


にこにこする老婆。


「はぁ・・・」

「所でアンタ達はあの街に何しに行くの!?↑」

「・・・・・」


フェザーはサンをちらりと見る。


「観光よ」

「観光!!↑ 良いわねぇ!!↑ アタシも似た様な物よ↑!!

本当は爺さん↓も一緒だったんだけどねぇ↑!!

まぁ一人旅も気楽な物よ!!↑ あ、 そうだ、 お近づきの印に↑

お昼に買ったんだけどね・・・食べ切れなくて・・・↑」


ごそごそと鞄を探る老婆。


「じゃーん、 ダブルチーズバーガー!!↑」

「健啖家過ぎるわこのババア!!」


クラブがたまらずツッコミする。


「ババアとは失礼ね、 こう見えても243歳よ!!↑」

「妖怪か!! どんだけ長生きしてるんだ!!」

「・・・そんなに長生きでも無いでしょ

私の領でも平均寿命は320歳位だし」


サンがツッコむ。


「あ、 そうだった、 すみません」

「?」

「そう言えばダブルチーズバーガーでしたね、 頂きますよおばあちゃん

飲み物は?」

「ノンアルコールビール↑!!」

「素直にアルコール入れてよー」

「流石に公共機関で酒盛りは駄目でしょ↑!!」

「前に居る連中に言って来なさいよー」

「流石に怖いでしょ↑!! それより食べないの!?↑」

「頂きます!!」


ダブルチーズバーガーを食べるクラブ。


「・・・・・これ、 何処のバーガー?」

「ふっふーん↑ 美味しいでしょ?↑ アメリカ大手資本【M社※2】のバーガーよ!!↑」



※2:地球上でここまで意味のないイニシャル表記の隠匿も珍しい。



ドヤ顔をする老婆。


「むぅ・・・流石はM・・・旨し・・・」

「良い食べっぷりねぇ!!↑ おばあちゃん気に入っちゃった!!↑

これも食べなさい!!↑」


老婆はクラブを気に入り、 クラブと意気投合したのだった。


「貴女の部下、 大丈夫? ガンガン飲み食いしてるけど」

「問題無いわ、 鬱陶しい婆さんを何とか対処出来た

護衛ならばフェザーが居るじゃない」

「『私』の執事なんだけどねぇ」

「あら、 フェザーはか弱い女の子を見捨てる様な低俗な男と見ているのかしら?

だとしたら見る目無いわねぇ」


ギギギギギと零距離でいがみ合うサンとツゴモリ。


「はいはい、 公共の場で献花しないで下さいよ御二方」


フェザーが仲裁する。



そんなこんなで何とかN5の停留所まで辿り着いたのだった。


「やっと着いたか・・・辛気臭い※2」



※2:気が滅入ると言う意味

辛い気持ちに臭いと言う言葉で協調する意味である。



「あぁ、 御嬢さん方!! ちょっと良いですか!?」


クラブが声を上げる。


「如何したの?」

「マタさん、 あぁこのおばあさんの事ね

このおばあさんが今日ホテル予約取っていないらしいんですよ」

「うーん↑ 予約とか別に要らないんじゃないの↑?

普通に入って普通に宿に泊まれると思うけど↓?」

「田舎街に住んでるみたいだからホテルのチェックインとかには

慣れて無さそうだから私達でチェックインしてあげませんか?」

「何でまた」

「いやぁ、 話して見て良い人そうですし・・・」


クラブはマタ婆さんに背を向けて

指を動かし始めた。


(印※3 いや、 指文字※4)



※3:規定振舞(ルーティーン)の一つ。

指を動かす事でウィルパワーを増大、 もしくは操作して技を繰り出す。

忍者の忍法の印を組む動作が代表的な例である。


※4:手話の一形態。

文字を指の動作で表す、 単語ごとを習得しなければいけない手話に対して

文字の習得故、 習得難易度は低いが文字毎に表す為、 聊か会話に時間がかかる。



『こ・の・ば・ば・あ・や・み・の・お・ー・く・し・よ・ん・の・し・ゆ・ぴ・ん・し・や

じ・ょ・う・ほ・う・を・も・っ・て・い・る・か・も・し・れ・な・い

な・か・よ・く・し・て・お・い・た・ほ・う・が・い・い』

「「「!!」」」


フェザー達は驚いた。


「旅は道連れと言いますし、 良いでしょう」

「助かるわー↑!!」


マタはAHAHAHAHAHAと笑った。

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