台所にて④
脚無しは義足にウィルパワーを込めて前進する。
追い詰められているが勝ちの目は充分にあると脚無しは思っている。
グレゴリオは右手に長い棒を持っている。
「らぁっ!!」
脚無しは蹴りを放つ、 しかし間合いが届かない。
「!!」
グレゴリオは瞬時に狙いを察知。
ここで空振りなんかするか!!
仕込み!! 如何する!?
避ければ後ろのジョンに当たる!! ならば!!
パン。
乾いた音が響く。
袖の下に隠していた隠し拳銃!!
意識していない方向からの攻撃はダメージがデカい
ので脚無しは吹き飛ばされた。
「アブナイなぁ・・・」
グレゴリオは銃弾をウィルパワーで防御した。
グレゴリオは空振りに意識を集中させ袖の下に仕込まれた拳銃で
攻撃して来ると察知し警戒していた。
そして棒で攻撃したのだ。
グレゴリオの棒は本来二本の棒だがウィルパワーにより一つに繋げている。
元々一本の木を二本に分割しているのでこういう使い方が可能である。
ウィルパワーを通してヌンチャクの様にリーチを伸ばす事が可能である。
「・・・・・」
ダン、 とジョンは脚無しの首を刎ねた。
「さてと、 ではボスとやらを殺しに行くか」
「フェザーを援護シニイカナクテイインデス?」
ジョンの言葉にグレゴリオが尋ねる。
「あの男に助けは不要だろう、 さっさとボスを殺してしまおう」
「デスネー、 あ、 そうだ」
グレゴリオがコックたちを指差す。
「コイツ等如何します?」
「忘れてたな」
「た、 助けて下さい!!」
コックの一人が土下座する。
「お、 俺達脅されてたんです!!」
「脅されてたと言うのは子供を殺す言い訳には使えない
とは言え」
剣を収めるジョン。
「これ以上剣を使うのも勿体無い、 お前達をバラバラに引き千切るから
お前達も食材の気分を味わうが良い」
「ひぃいい!!!?」
コックたちが断末魔を上げている頃、 フェザーは裏門に居た。
既にやって来た多くの患者を倒したが動かない。
「・・・・・」
フェザーは虚空を見つめていた。
「はぁはぁ・・・」
物陰に一人の少女が隠れていた。
彼女は忘却。
患者の中でも恐れられており、 モーント・ズンディカーズ壊滅前まで
ヨーロッパの外に放逐されていた逸材である。
「ざけんなアイツ・・・見えているのか!? オレの事が!!」
忘却は悪態を吐きながら震えていた。




