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クランケ・アンド・ギャングス

再誕歴7701年ジュニアリー7日。


N5、 ネルネルタワー。

ここは名目は廃墟になっているが

実質的にはモーント・ズンディカーズの独占物件になっている。


そしてネルネルタワーの前にレッドカーペットが敷かれ

カーペットの両サイドにはスーツを着込んだマフィア達が並んでいる。


「来たぞ!!」


マフィア達が両手を斜め上に拡げる敬礼体勢を取る。

通常の敬礼が片手だけなので両手は二倍の敬意を表す。

そうこうしている間に黒に丸い模様が描かれた馬車が現れた。

モーント・ズンディカーズの幹部メンバー専用の馬車である。

その馬車が四台、 固唾を飲み込む一同。


「まさか患者(クランケ)が4人も来るとは・・・」


患者(クランケ)とはモーント・ズンディカーズの幹部戦闘員である。

各々が病名のコードネームを持ち、 ウィルパワーを操り

独自の技を使う者達である。

そして馬車が開き患者(クランケ)が降りたつ。


「ここがネルネルネルネルネ・・・地下で薄暗い街だなぁ」


”飛蚊症”モスキート。

目が大きくぎょろぎょろと瞳が動いており不気味な男である。


「あぁ・・・人が人が多い・・・怖いよぉ・・・」


"恐怖症"リトルリトル。

中年女性だが何故が怖がっており、 子供の様な印象を受ける。


「まぁ、 綺麗なカーペット、 坊やも喜ぶわ」


"潔癖症"ドォルオタ。

美しいドレスの貴族の御婦人の様な美しい女性だった。

だがしかし何故か頭蓋骨を我が子の様に撫でており不気味である。


「うー・・・ぅー・・・」


”依存症”R・To・You。

ナイスミドルの渋いおっさんだが泥酔しているのか

手下に肩を担がれながら現れた。


「ようこそ、 モーント・ズンディカーズN5支部へ

支部長のヨハンです」


アルカイックスマイル※1 がステキな美青年が現れた。



※1:顔の感情表現を極力抑えながら口元だけは微笑みの形。

神の笑みとも言われマネする者も多い。



「まぁステキな人ね」

「ありがとうございます、 可愛い坊やですね」

「でしょ? 何故か皆この子を怖がってね・・・・」


ドォルオタと和やかに話すヨハン。


「ヨハン君、 幹部の我々を呼び出した理由を教えて貰えますかな」

「モスキートさん、 その前にすみません」


ヨハンが頭を下げる。


「うん?」

「ウチの警備責任者が『態々患者(クランケ)を呼ぶ必要が無い』って怒っていまして」

「・・・うん? どういう事?」

「それで警備責任者が貴方方の実力を試したいと」

「別に構わないよ、 それでその責任者は何処」

「やああああああああああああああああああああああ!!!」


突如、 ネルネルタワーから一人の男が槍を構えて落ちて来た!!

彼の名はハンス!! 話題になっていた警備責任者である!!

飛び降り自殺か!? 否!! これはハンスが考えた我流の槍術、 墜落槍術!!

高い場所から飛び降りて槍での攻撃を行う事で

自らの力と落下エネルギー、 そしてウィルパワーをかけ合わせる事で

隕石の如き破壊力で突撃するのだ!!

反面、 ウィルパワーで体をガードする者の反動ダメージでしばらく動けない諸刃の刃である!!


「よっと」


ぱぁん!! と小気味良い音が鳴ってハンスは打ち落とされてた。

ハンスは死んだのだ。


「すみませんね、 態々御手数をお掛けして」

「いいよ、 勘違いした馬鹿を始末するのには慣れている

それよりも説明をお願いします」

「ではこちらに・・・」


患者(クランケ)達はヨハンに連れられて応接室に通される。

R・To・Youは意識を失ったので別室で休まされた。


「マジであの男は何なん?」

「さぁ・・・ベネルクスに来ている

患者(クランケ)の中では最強と聞いていますが・・・

まぁ話は置いておいて、 闇のオークションで高額出品がなされるので

皆様には警備をお願いしたいのです」

「こ、 高額出品? 一体何を・・・?」


リトルリトルは震えながら尋ねた。


「ドラゴニュート、 スターダストの遺体です」

「な、 なるほど・・・ゾンビとして生き返ったスターダストと戦えと・・・」

「いやそう言う事は無いですね、 スターダストの遺体は少なく見積もって

1000万以上は確実に値が付きます、 手数料で3割貰うので300万ユーロは確実な仕事

是非とも皆様には商品と出品者とオークション会場の警護を」

「ちょっと待った、 何でそんな事しなきゃならんのだ?」


モスキートが割って入る。


「襲われたら大変じゃないですか、 だから警護をお任せしたいのです」

「いやいや出品者が誰だか知らないが、 殺して奪えば手数料なんてケチな事は言わずに

1000万全部儲けになるだろうが、 警備の手間も省ける」

「そんな事したら信用に関わりますよ」

「信用? ギャングがそんな事気にするのか?」

「「いや、 必要でしょ」」


リトルリトル、 ドォルオタ両名から即座にツッコミが入る。


「モスキートさん、 私達は文明人ですよ?

人から商品を奪い取って殺すなんて、 そんな野蛮な事出来ませんよ」

「いや、 だから俺達はギャングじゃないか」

「確かにそうですね、 だから?」

「だから暴力も辞さないだろう」

「確かに、 適切なタイミングで暴力に訴えるのは良い手段ですよ

しかしこのタイミングの強盗殺人はベートーヴェンのワイン※2

暴力を振るうべきではない



※2:”楽聖”と呼ばれる偉大な音楽家、 ベートーヴェンは

晩年、 病に倒れてしまった、 その際に楽しみにしていたワインが届いた。

当然ながらワインなんて飲める状態では無くベートーヴェンは残念がった。

この故事からタイミングがずれている状態を示す。



「だが1000万を棒に振ると?」

「そもそも出品者を殺したなんて事知られたらオークションが成り立たないでしょう

ウチのメイン収入源を潰すつもりですか

ギャングも商売、 信用は大事です」

「・・・」


納得がいっていないモスキート。


「モスキート、 支部長は本部からの信頼の厚い人間が成る物

つまり彼の意向は本部の意向と言って良い

ここは従うべきでしょう、 そもそも1000万の利益出たからって私達が貰える訳じゃないからね」


ドォルオタが宥める。


「わーったよ・・・」

「それではこれから仕事の割り振りを説明します」

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