取潰し①
再誕歴7703年セフテンバー15日。
サン伯爵令嬢領にはイギリスの最新医療技術を教える学校がある。
病院も併設されている為、 イギリスの最新医療技術を体験出来るのだ。
ザンゲツが大怪我を負った後にこの病院に搬送され
治療を受けリハビリを行っていた。
「死ぬ寸前の怪我と伺っていましたがもう動けるとは驚きです」
「・・・・・」
リハビリ中にシンゲツ家の使いが来て眉を顰めるザンゲツ。
「ツキミの指示で俺を殺しに来たのか?」
「いえ、 ツキミは逮捕されました」
「逮捕? って逮捕? 何やったんだアイツ?」
「大勢引き連れて貴方を殺そうと乗り込もうとして全員逮捕されました」
「乗り込むって・・・病院にか?」
「はい」
「前々前々からヤバイ奴とは思っていたがここまでイカレているとは・・・
ここは村とかそういう所じゃない、 貴族領主が治めている街だぞ
そんな街に襲撃をかければ捕まるだろう
フェザーも居るだろう」
「えぇ、 そのフェザー氏に全員・・・」
「・・・・・あいつ等俺に勝てねぇのに何で俺に勝った奴に勝てると思ったんだよ
戦わずに済むと思ったのか?」
「貴方と戦って消耗していると踏んでいた様です」
「じゃあ決闘の翌日に襲撃をかけろよ、 こんなに日を開けるな」
「最初に言いましたが深手だと伺っていたので・・・」
「治療に時間がかかると? 全く持って度し難いな
俺、 多分フェザーもだが俺達は怪我には慣れてるから
治す事にも慣れている、 格上に何度も挑んで殺されかけるとか
レーテ河も見慣れた風景だしな」
「レーテ河?」
「あの世を流れる河だよ、 知らんのか
まぁ兎も角、 病院の襲撃未遂となると罪も重くなるだろう
国の重要施設だ、 奴の首一つで済む訳も無し、 シンゲツ家も終わりか」
「いえ、 そんな事は」
「終わりだよ!! 終わり!! 決闘者が病院襲撃なんて末代までの恥だ!!」
鬱陶しく感じたのかザンゲツは叫んだ。
「良いか良いかよく聞けよ? 病院なんて場所には大勢の傷病者が居るんだ
そこに襲撃をかけるなんて恥以外の何物でもない
何で許可したんだよ、 お前等の話し合い云々で物事を決めていただろう」
「ツキミの独断です」
「前々前々から思っていたがあのガキとことん腐ってるな」
「何故ツキミとそんなに仲が悪いのですか?」
「ハッ、 ただ単にアイツが一方的に嫌ってただけだ
理由なんぞ知らん、 で? 俺に何の用だ?」
「はい、 実は貴方様にシンゲツ家1000代目領主になって頂こうと思いまして」
「あ、 そう、 断る」




