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自己の存在意義

再誕歴7703年オーガスト24日。


サン伯爵令嬢の邸。

自室にてサンは仕事を熟していた。

今日も仕事が多くて大変である。

休む時間なんて早々取れない、 筈なのだが・・・


「・・・・・」


ペンが止まっている。

気分が落ち込んでいるのだろう。


「フェザー・・・」


フェザーは今まで何度も決闘や戦いに巻き込まれながらも勝利を収めて来た

だが今度の男は今まで見て来た物の中でも強敵だ。

訳の分からない薬でドーピングしている犯罪者や悍ましい化け物

異国からの侵略者、 今までフェザーが戦って来た者達よりも圧倒的に強い。

強いて比類出来る存在を上げるとした牛だろう。

人間は牛には勝てない。

この世の真理でもあり、 ひっくり返すには死力を尽くす必要がある。


「・・・少し休憩にするわ、 お茶を淹れて頂戴」

「はい」


クローリスが部屋に備え付けの厨房で紅茶を点てる。

茶菓子と共に紅茶を飲んで一息吐くサン。


「・・・・・ふぅ・・・・・」

「あー・・・そんなに心配なさらずとも大丈夫ですよ」


フローラが気を使う。


「フェザーなら大丈夫ですよ」

「それは・・・少し心配だけど・・・私が気にしているのはそこじゃないのよ」

「え? じゃあ何が心配なんですか?」

「心配・・・と言うか私って役に立っているのかなって・・・

私は賑やかしみたいな物じゃないの? 一応彼の主だけど

彼の方が有能だし・・・私って足手纏いなのかな・・・」

「「「いや、 そんな事は無いでしょう」」」


メイド三人が一斉に否定する。


「貴女は何時も仕事を頑張っているし努力しているのは私達もフェザーも

充分に理解していますよ」

「そうですよ、 貴女は素直になれない事が多いですがそれでも

貴女が良き人であると誰もが知っていますよ」

「そ、 それに貴女は医学も学び始めて怪我の治療も行える・・・

凄い方ですよ・・・」

「・・・・・」


納得がいっていないサン。


「そもそもの話、 貴女は普通に仕事をしているだけでも役に立っているじゃないですか」


クローリスが尚も言葉を紡ぐ。


「役に立っているって・・・そんな事は・・・」

「いやいや、 日常生活においてまともに生活をする為に

皆が皆の役割を熟しているからこそ社会はなりたっているのです

他者を揶揄して誰々より役に立っていないと責める事は出来ません

勿論、 自分を揶揄する事も宜しくない」

「・・・・・」


憑物が落ちた様に紅茶を飲むサン。


「確かに気にし過ぎていたかもしれないわね・・・

働き過ぎてメランコリィになっていたかも」

「少し休みましょう」

「そうね・・・」

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