信用出来ない男の話
朝食会から解放されベネルクス王国ゴディバ公爵別邸の廊下でへたりこむ
ホイップとフワリ。
「ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ」
「ドラップス様、 本当にありがとうございますっ・・・!!」
二人共死を濃密に感じ生きて帰れた事に感謝し涙を流した。
「兄の貴族軽視にも困った物よ・・・それよりも行動に移さなければならない」
「行動・・・先程の策、 ですか?」
「その通り、 フワリの子が決闘をした執事のフェザーとやらについては調べ上げ尽くした
兄様が言う通り、 決闘を受け入れないだろうが、 普通の相手ならね」
「普通の相手・・・?」
「どういう事ですか?」
「フェザーって奴は今話題の決闘代行業の会社
【ブラック・シンゲツ・コーポレーション】から追い出された経歴が有るのよ」
「【ブラック・シンゲツ・コーポレーション】・・・ベネルクス王国で嘗て起こった
『半島戦争』と『ヨーロッパ戦役』で活躍したシンゲツ・バロッグが興した
あの決闘代行会社ですか?」
「代替わりして息子が社長になってその息子も不正により退職しちゃったけどね」
「なるほど、 因縁有る【ブラック・シンゲツ・コーポレーション】に
決闘代行の依頼を出せばフェザーとやらは乗って来る、 と?」
「否、 連中の会社にはS級決闘者は一人しか居ない、 そしてそのS級決闘者は
フェザーと戦って敗北している」
「で、 では・・・ど、 どうしろと・・・?」
フワリは再び震え始めた。
「待って下さい【ブラック・シンゲツ・コーポレーション】にはチーズと言う
異様に強い決闘者が居た筈です、 フェザーとは互角とか・・・」
「その男も調べた、 現在【ブラック・シンゲツ・コーポレーション】の社長をやっている彼を
調べた結果、 何一つ分からない事しか分からなかった」
「つ、 つまり・・・?」
「信用が一切置けないという事だ!!」
沈黙する2人。
「し、 信用が置けない?」
「そ、 そんな・・・実力は有るんでしょう?」
「私としてはそんな信用のおけない人間には依頼できない!!
私とて決闘は初めてだ!! ならば信用できる人間に依頼したい」
「は、 初めて!? 初めてなんですか!?」
驚愕するホイップ。
「安心しなさい、 ちゃんとフェザーと因縁があって信用のおける決闘者は見つけて有る
これからそこに向かうわよ、 ついて来なさい」
「「は、 はい!!」」
二人は立ち上がりドラップスの後を追った。




