バイオレンス・アンド・マネー
【クレーター】政府公舎。
モーント・ズンディカーズの面々が武装制圧し患者達は
人質達を押し込んでいるクリスマスパーティー会場を見渡せるテラスに集まっていた。
「!!」
環境感受性過敏レダが驚愕の表情を浮かべた。
「どしたの?」
「ぎゃ、 ギャンブル依存症がやられた・・・」
「「「「!!?」」」」
他の患者達は驚きに目を見開いた。
「ギャンブル依存症がやられたら俺達に勝ち目ないじゃないか!!」
咬爪症ララララは爪を噛みながら激昂した。
「に、 逃げよう!! 殺されちゃうよ!!」
親知らずフェルマンは震えながらに叫ぶ。
筋骨隆々の男が震えながら言う台詞ではない。
「ニンゲンイツカハシヌカライマシンデモダイジョウブ…ダイジョウブ…キヒヒ…」
鬱病カジャルスマイストンは小声でごしゃごしゃ喋る。
「おめぇら落ち着け!!」
盲目団初郎が刀を持ち出して叫ぶ。
まるで日本のヤクザの親分が如きの貫禄である。
「俺が居るんだからじたばたするんじゃねぇ!!
相手がフェザーだろうが何だろうがぶっ殺してやるよ!!」
「・・・・・お、 親分が居るなら大丈夫だね」
「そ、 そうだね・・・」
「アンタダケガタヨリダヨタイショウ…」
「・・・・・」
患者達は震えていた。
「俺ァ、 向こうの様子見て来る、 お前等は見張りやっとけ」
「私も行きます」
レダが立ち上がる。
「探知機が居なくちゃあ周囲の警戒出来ねぇだろうが!!」
「流石に周囲に患者じゃなくても大勢居るし
そもそも親分にこそ私は必要です」
「何で?」
「親分さんはめくら※1 でしょう、 感覚器が一個無いんだから
敏感な私が居た方が良い」
※1:盲人の事。
「・・・そうか、 なら着いて来て貰うか」
そう言って団初郎とレダは歩いて行き、 他の患者達が居ない所で
団初郎はレダを柄で壁に押し付けた。
「ぐえ!?」
「何が目的だ? 態々俺の為なんて言うなよ?」
「あ、 安全の為!! アンタ、 何か隠してるでしょ!? 離しなさいよ!!」
「良いだろう・・・じゃあ話してやるよ、 俺の目的は」
「そうじゃなくて離して・・・息苦し・・・」
「あ、 悪い悪い」
レダを離した団初郎。
「はぁ・・・はぁ・・・ここに来た理由・・・何なのよ
まさか金塊と敵討ちが目的って訳じゃないでしょ?」
「何でそう思う?」
「アンタは私達の中でも古株でボス直属の患者じゃない」
「お、 知ってたのか?」
「まぁね、 私は直属じゃないけどミュンヘン総合病院勤務だったから
それ位の情報は入るよ、 私の不在時に攻め込まれて無ければ
ここまでモーント・ズンディカーズもしっちゃかめっちゃかになって無かったと思うけども・・・」
「今更そんな事言っても仕方ねぇよ、 だがボス直属でも動くかもしれねぇだろ?」
「まぁマフィアだし金で動いても可笑しくは無いよ
でも、 ここを襲うのは変、 周囲を囲まれているんだからリスク高過ぎる
私達みたいな三下なら兎も角、 アンタ程の腕が有れば他に雇い手は有るでしょ」
「・・・・・ふん、 勘が良いな」
「ぶっちゃけ患者としての名前なんて飾りよ
私は別にHSPじゃない
ただ単に感覚が鋭いだけだから」
「なるほど、 じゃあ教えてやると、 ぶっちゃけるとこれは俺が成り上がる為の手段だ」
「どういう事?」
「良いか? 今回は俺の力だけでかき集められるモーント・ズンディカーズの残党を集めた
だがしかし、 モーント・ズンディカーズの残党の中には
まだビッグネームがちらほら居るんだ
忘却、 過食症、 無呼吸
ヨーロッパの外に配置されてるこいつ等を差し置いて俺が天辺取るには
デカい功績が居るんだよ」
「それが黄金と仇討ち?」
「あぁ・・・所詮ヤクザなんて物は力よ、 金は二の次
俺の際たる目的はフェザーっつー餓鬼をぶち殺す事」
「・・・・・」
不安そうな眼で見るレダ。
「当然だがちゃんと勝算はある」
「どんな?」
「・・・・・」
「・・・!!」
団初郎のウィルパワーが数倍に膨れ上がった。
「アンタ・・・一体・・・」
「ふふん、 新技って奴だよ、 さてとじゃあ拷問している連中の所に行くか」
団初郎は予め黄金の隠し場所を聞く為に政府要人数人を拷問していたのだった。
「黄金は二の次じゃないの?」
「無くて困る事は無いからな、 拷問にはヨハンっつー支部長を務めていた男にやらせている」
「殺して無い?」
「まぁ死なせるヘマなんてしないだろうさ、 あ?」
部屋の前に行く団初郎とレダ。
「人が居ねぇな・・・見張り何処行った? おいレダ」
「うん・・・・・」
意識を研ぎ澄ませる事でレダは周囲の状況は愚か、 密室の状況も把握出来るのだ。
「・・・・・中には5人、 全員拷問されていて生きている」
「政府要人は5人・・・ヨハン何処行った・・・?」




