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シュタインズ・トーア①

一人暴風の中【クレーター】に向かうフェザー。

剣を携え執事服で進んでいた。


「・・・・・」


フェザーがちらり、 と物陰を見る。


「バレたか!! ひゃっほー!!」


派手な髪型と髪色で長い髪の男が現れた。

顔にはフェイスペイントをしていた。

恐らくは隈取(くまどり)※1 のつもりなのだろう。



※1:歌舞伎独特の化粧法。

派手で歌舞伎と言えばコレと思う者も居るだろう。

ただ派手なだけではなく遠くの観客が役者の表情を見やすくする効果がある。



「俺はギャンブル依存症!!」

「自信を持って言う台詞か?」

「違う!! 俺が患者(クランケ)としての名前がギャンブル依存症ってだけで」


フェザーに鞘で思い切り殴り飛ばされて転がるギャンブル依存症。


「くぅ~、 いきなりスゲェのかますじゃないの・・・」


起き上がるギャンブル依存症。


「女の写真のロケットを入れて置いて助かったぜ!!」


フェザーに鞘で頭をフルスイングされて転がるギャンブル依存症。


優生侵攻ドミナント・ドミネーション

「まだ動けるのか!?」

鉄火壇(シュタインズ・トーア)!!」


展開された個人領域(パーソナルスペース)はカジノのハリボテだ立ち並ぶ

狭い円形の広場で真ん中にルーレット台が有る。

美しく磨き上げられた代物でカジノ・スクイドのルーレット台でもここまで

美しく仕上がったルーレット台は無かった。


「・・・・・」


ルーレット台に触れようとするフェザー。

一瞥してこのルーレット台が個人領域(パーソナルスペース)の肝心要と判断した。


「おい触るなよ」


ギャンブル依存症はフェザーの手を掴む。


「・・・・・」


フェザーは力が籠められない事を自覚した。

恐らくこの個人領域(パーソナルスペース)のルールなのだろう。

何らかの遊戯(ゲーム)を下地にした個人領域(パーソナルスペース)なのだろう

強制的に遊戯(ゲーム)を行い敗北したら死ぬ。

そういうデスゲーム染みた個人領域(パーソナルスペース)は珍しい物では無い

寧ろメジャーな部類に入る。

遊戯(ゲーム)の進行に支障をきたす行為、 例えば暴力行為等は禁止されている

これも珍しい事では無い。


「・・・・・遊戯(ゲーム)型の個人領域(パーソナルスペース)か」

「おっ? 知っているのか?」

個人領域(パーソナルスペース)では良くあるタイプだよ」

「そりゃあ知らんかったなぁ」

「・・・・・とりあえず手を離せ」

「あぁ」


ギャンブル依存症はフェザーの手を離した。


鉄火壇(シュタインズ・トーア)はまだ未完成だ

俺が 説明(エクスプレイン)する事で初めて完成する

だから説明をするぞ」

「構わない、 さっさと説明しろ」

「焦っているのか? 安心しろ、 この個人領域(パーソナルスペース)の中の時間は

外に比べて非常に遅い、 ここの1分が外の1秒に値する」

「時間加速だと?」


これにはフェザーも面食らった。

個人領域(パーソナルスペース)内の時間の進みを遅くする時間加速特性は

珍しい種類だが無い訳では無い特性である。

しかしながらあまり見ない物である。

内部の時間の流れを加速する。

凄そうな字面だが何の戦略的優位性タクティカル・アドバンテージを示さない

何故なら自分も相手も同じ速度で動く事には変わらない。

強いてあげるなら戦争時に敵兵の殿(しんがり)※2 に

時間加速個人領域(パーソナルスペース)で一気に倒して後を追う。

と言えば恰好がつくが強力な攻撃性能の個人領域(パーソナルスペース)

急いで倒せば良い、 という判断に落ち着く。

結局の所、 個人領域(パーソナルスペース)に時間加速特製を持たせるのは

戦術的に意味は無い、 辛うじて戦略的に意味が生まれる、 と言った所だろうか。



※2:軍隊が撤退する時、 最後に残って撤退の足止めをする者、 若しくは部隊。

有名な殿として"ジャパン・スリーガイズ"の一人、 織田信長の家臣

佐久間信盛は撤退戦を得意とした。



「何故そんな物を?」

「たっぷり楽しむ時間を作る為だ」

「・・・・・」


ヴァカか? と思う方も居るだろうが

こういう損得を考えない輩が一番怖い、 何をしでかすか分からないのだ。


「続けるぞ、 このルーレット台は勝負事に勝手に玉が転がり始める

俺達にその玉が落ちる場所を予想して賭ける

賭け方は普通のルーレットと変わらん、 1~6点賭け

縦一列、 大中小、 前半・後半、 奇数・偶数、 赤・黒」

「何を賭けるんだ?」

「賭ける物はこれだ」


ふっ、 と拳ほどの鉄球が宙に浮く。


「賭けて勝利した分、 賭けた場所の倍率の分、 これが敵に凄まじい勢いで激突する

例えるならば黒に1つ賭けて予測が的中した場合、 相手に2個鉄球が飛んで行く」

「その鉄球を持っても?」

「あぁ」


鉄球を手に取るフェザー。

かなり重い、 本当の意味で鉄球である。


「どの程度の速さで動く?」

「ん」


鉄球がフェザーの手を離れ外周のハリボテに突っ込んだ。

相当速い、 銃弾並のスピードと言った所か。


「それでこの鉄球は最初何個持っている?」

「何個?」

「この鉄球を賭けるんだろう? ならば手持ちの鉄球が無ければならないだろう」

「いやいや、 違うぜ? 俺達は無制限に賭ける事が出来る」

「は?」


首を傾げるフェザー。


「さっきの例で言うと黒に1つ賭けて予測が的中しなかった場合

自分に鉄球が賭けた分飛んで来る」

「要するに借金と言う事か」

「ゾクゾクするだろう?」


ギャンブル依存症は気持ち悪い笑みを浮かべた。

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