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タウン・ブラッティ―・ヒストリー

ベネルクス王国ネーデル公爵門閥マーナガルム男爵領

商業都市ネルネルネルネルネ、 通称N5。

商業都市と銘打っているが半分近くは歓楽街になっている。

この街は大きな穴の中に作られ風を防いでいる。

穴の深さは30m弱と10階建てのビルがすっぽりと収まる深い穴である。

この街には10建ての高層ビル【ネルネルタワー】が聳え立ち

くり抜かれた穴の壁面に高級住宅地が並んでいる。


こうしてみると発展している街だなぁと言う印象を受けるかもしれないが

このN5はベネルクス王国の中でも治安が悪い街

トップ5に入る程の危険な街である。


何でこんなに治安が悪いのか?

説明する為にはこの街の歴史を知らなければならない。


まず初めにこの街は元々ルクセンブルク公爵が

製薬会社【ネルネル】の社長ネルネルと共同で開発した街である。

ネルネルは当時合法だったメタンフェタミン※1 の生成で巨万の富を得た。



※1:覚醒剤の事、 当時は痛み止めとして開発され販売されていた。



その資金で更に薬品の開発や販売を行い大金を得て

企業城下町を欲していた。

そしてルクセンブルク公爵が多額の税金を得られる事を期待して

商業都市ネルネルネルネルネが誕生したのだった。

街の名前はネルネルの規模を大きくなる事を祈って

ネルネルネルネルにしようとしたら間違えて

ネルネルネルネルネにしてしまったからである。

後にN5と言う略称が生まれた。


名付け損ねたが本社ビルのネルネルタワーを本拠として

ネルネルは躍進した


と話が終われば良かったのだがそうは問屋が卸さなかった※2。



※2:いつも卸さない、 少しは卸して(懇願)



ネルネル内部では人間と獣人の派閥争いが起こっていた。

起こっていたと言うよりは起こしていた。

どういう事かと言うとネルネル社長が病に罹り次期社長を決める為に

社内での派閥争いが活発化、 派閥は人間のホス派と狼の獣人ピタン派に別れ

互いに互いを攻撃し始めていた、 言いがかりに近い難癖もあったが

この二派は寄りにもよって相手が人間だ、 獣人だ

とそれを攻撃材料にしてしまった。

会社は人間と獣人のグループで分裂し互いに相手を蹴落とす為の工作や

自分達の派閥の立場を上げる為に危険な薬品の実験を行い始めた。


この派閥争い、 人間と獣人と言う人種の差を持ち出してしまったからか

ネルネルの社外にも波及し始め、 N5の住民達も

互いに人間、 獣人と相手を批難し対立を始めだした。

特に悪名高い人間至上主義レイシストのサミュエルN5駐在騎士団団長は

証拠を捏造し獣人を投獄、 経費削減の名目での独断処刑※3 と言う暴挙に出る。



※3:死刑執行には手続きを踏む。

まずは法務大臣以上による死刑執行の許可証の作成。

そして死刑執行所が有る拘置所への移送。

執行前の教誨師による最後の会話、 遺言状の作成。

死刑執行資格を持った処刑人による処刑である。

尚、 男爵以上の貴族が平民を処刑または手打ちにする場合には

手続きは省略されるにしても事後報告は必須。

サミュエルは手続きも事後報告も教誨もせず、 させず、 密室での殺人である。



結果としてN5は非常に殺伐とし始めた。

そして事件が連続的に起きた、 ネルネル人間派閥の薬師ベンジャミンが

優秀な薬師である自身のインド人妻を過労により入院された事による

『ネルネル超過就労発覚事件』

カートライトN5駐在騎士団副団長による『児童連続殺人誤認逮事件』

ネルネル獣人派閥が呼び寄せた

ドイツ系マフィア【モーント・ズンディカーズ】が引き起こした

『高級住宅街崩壊虐殺事件』

この三つの大事件を機に人間と獣人の内乱状態に陥ってしまった。


内乱の結果サミュエルは獣人の処刑が発覚し袋叩きに遭い死亡。

ネルネル上層部もここまで酷い事態になるとは予測もしておらず

上層部両派閥は逃走、 ネルネル社長は全責任を背負い社長を辞任。

栄華を誇ったネルネルは崩壊したのだった。


ルクセンブルク公爵はこの混迷した事態に対してN5内の

獣人を保障と共に別の場所に移送する事を提案。

多くの獣人は別の街へと移住し、 内乱は集結したのだった。


大きな内乱は集結したとはいえ今だに【モーント・ズンディカーズ】が

街の中に潜伏している事で治安が非常に悪くなっており税収も見込めないとして

ルクセンブルクはN5の段階的な放棄を検討し、 徐々に騎士達を減らし始めた

そんな中ネーデル公爵門閥マーナガルム男爵がN5の領地を欲しがった。

マーナガルムは金集めが上手いが領民は酷い目に遭っていると

噂される評判が非常に悪い男であった。

ルクセンブルクはN5を二束三文でマーナガルムに売り渡した。


マーナガルムは早速N5の再開発を始めたのだった。

まずは騎士団の再編成、 騎士団の人員を増やした。

だが恐ろしい事にゴロツキや訳アリの安く雇える人材ばかりを雇い入れ

最早夜盗の集団となったN5駐在騎士団、 連中は市民から集り脅迫等の悪事を行っている

マーナガルム公認の犯罪集団と言って良い。

更に【モーント・ズンディカーズ】と手を組んで違法なビジネスにも着手。

旧正月に密かに開かれる闇のオークションは非合法な物の出品ばかりだが

凄まじい収益を上げておりマーナガルムは多額の金を手に入れる事が出来たのだった。

そして男爵ながらもネーデル公爵門閥の中での立ち位置も強くなり始める。


たまった者ではないのが住民達。

住民達も自警団を結成し、 自分達を守ろうと必死になって戦っているが焼け石に水。

決闘を行い権利を拡大させようにも騎士団の装備や鍛え方の違いにより

住民達は禄に決闘を行う事も難しくなっているのだった。

更に店の殆どが男爵側の息がかかり商品は相場の五倍以上の値段。

食料品は恐ろしく値が高く、 古い食べ物でも恐ろしい価格設定になっている。

住民達は安い労働条件でこき使われる上に恐ろしく高い物価に苦しめられ

高い税収、 更に騎士団とマフィアによる集り、 脅迫、 逃げ様にも

騎士団達とマフィアが見張り街から逃げる事すらままならない。

まさにこの世の地獄なり・・・

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