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インフェニティ・クライム

再誕歴7703年ジューン12日。

ベルモンド伯爵領の隣領セルデン侯爵領。

セルデン侯爵邸のセルデン侯爵の執務室に呼び出された息子二人。

兄のジョンと弟のジャン。

ジョンの付き人グレゴリオとジャンの付き人フランクも在室している。


「お久しぶりですジョン殿」


ベルミジャール男爵も同席している。

彼はセルデンの配下で元々は平民の傭兵だったが二度の戦争をセルデンの指揮下で戦い。

左足が無くなりながらもセルデンと共に戦場を駆けた男である。

後に受勲しセルデンの下で働いている。


「・・・・・」

「・・・・・」


ジョンもジャンも汗を流している。

特にジャンの汗は酷かった、 何故こんな事になっているのか

それは目の前のセルデンが明らかに怒って(キレて)いるからだ。


「何故ここに呼ばれたか、 分かるなジャン」

「え!? わ、 私は!?」


ジョンが声を挙げた。


「お前はついでだ、 何故ここに呼ばれたか、 分かるな?」

「・・・・・全く見当が付きません」


ばさっ、 と書類を投げるセルデン。


「これは・・・?」

「これは処刑予定だった活動家共だ、 既に裁判も予定していた

後は王都から裁判官が来て判決を下して(みなごろし)にして皆でパーティー

と考えていたのだが、 こいつが隣のハートレス領の連中に売り渡した」

「・・・・・何か問題でも?」


一気に冷静さを取り戻すジャン。


「何故問題が無いと思った?」

「父上、 聊か大袈裟です

処刑、 即ち死刑の求刑にはならないと私は判断しました」

「何言ってるんだ!! こいつ等私を異常性癖の変態と罵ったんだぞ!!

充分殺してしかるべきだ!!」


激怒するジョン。


「兄上、 そう言ったのは一部の活動家でしょう全員が全員そう言った訳じゃない」

「その通りだな

この問題はお前が変態か如何かなんて関係無い話だ、 問題はこれだ」


一枚の紙を取り出すセルデン。


「何ですかそれは?」

「詰問状※1 だ」



※1:身分有る者が問い質す際に使う質問状。



「私は活動家の1人がこんな事を言っていた、 それに対してどう思うか

また如何行動するのか、 と言う詰問状を活動家共に送った」

「・・・その活動家と言うのは何を言ったのですか?」

「『セルデン侯爵領は人殺しと言う

非人道的で犯罪的な手段で成り上がった恥ずべき連中の集まり』」


静寂が包んだ。


「・・・・・?」


何を言っているのか分からないジョン。


「・・・・・これが何か?」


ジャンが何でこれで怒って居るのか分からない。


「要約すると『父祖の代から営々と築き上げてきた

我々セルデン領の過去、 現在、 未来に対して喧嘩を売っている』という事だ

無限の人々に対して侮辱している、 それ故に罪も無限、 罰は上限の死刑」

「それは無茶では・・・」

「何が無茶だ!!」


ジャンの言葉に対して激昂するセルデン。


「良いか!? 我々はハウバリン公爵門閥としてハウバリン公爵に仕えている!!

当然ながら公爵は我々を末代まで重用し我が領を繁栄させる事だろう!!

ならば未来に住む人間は無限に居ると言い換えて良いだろう!!」

「・・・・・?」


何を言っているのか分からないジョン。


「無限と言う事は無いでしょう」

「じゃあ100億としよう!! 100億人への侮辱なら殺されても文句は言えないだろう!!

そして詰問状に対して謝罪しなかった連中全て殺されてしかるべし!!

この腐れボケに対して同調するのならば同じく100億の侮辱だろう!!

首を取らねばならぬ!! にも拘わらずお前は勝手に売ってしまった!! 何故だ!?」

「・・・・・処刑よりも金を得た方が良いかと思いまして」


悪口で処刑なんて事出来るか、 と思っていたが

それを言うと殺されると判断したジャンは機転を利かせた。


「金だと!? 連中を殺さなければならんだろうが!!

父祖と子孫の名誉を傷つけられているのだぞ!!」

「では閣下、 買い戻されては如何でしょうか?」


ベルミジャールが提案する。


「・・・・・そうするか、 ジャン、 さっさと行って罪人共を買い戻して来い

売った金を戻せば返品出来るだろう、 もし出来なければ父祖と子孫の侮辱の咎を取って

お前とヒエモントゥーリに処す」

「分かりました、 取り返して来ます」


ジャンとフランクは早々に立ち去った。


「・・・さてジョンよ、 この度の奴の実利を取った愚行愚挙

はっきりいって大いに失点だ」

「それは・・・気の毒に?」

「次のセルデン侯爵はお前になるだろう」

「それは・・・・・失点に付けこむ様で気分が良くないですね」

「流石に大失点だ、 故郷を侮辱されたならばソイツは殺さなければならない

大前提所か常識だろうにそれを失念してしまったアイツはもう赤子以下だ

頭が良いだけが取り柄だったのにそれが無くなってしまった以上

奴には家を継がせられない」

「・・・・・」

「侯爵サマ、 イイデスカ」


グレゴリオが挙手する。


「はい、 どうぞ」

「ジョンサマがやる気ナクナルのを承知で何でソンナ事を言ったのデスカ?

ナニカ理由ガアルノデショ?」

「賢いなぁ、 その通りだ、 ベルミー、 説明してやれ」

「はい、 閣下」

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