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エイプリル・トゥエンティ

再誕歴7703年エイプリル20日。


「皆さん、 これは偉い事ですよ」


ハウバリン公爵邸で集まったハウバリンとハウバリン門閥貴族達の前で宣言するツゴモリ。


「マーチ25日、 エイプリル1日、 5日、 12日

そしてつい先ほど、 通信モノリスで連絡が入り5度目の襲撃です

我が領に5度の賊の襲撃により政治犯共が大量に行方不明になってしまっただけでは無く

馬車や馬、 増員していた警備の者達も死ぬか行方不明

我々の新企業株式会社アルベドは早くも打撃を受けました」

「それは気の毒だ、 死んでいった者達の事を想うと胸が痛むよ

本当に気の毒だ、 気の毒なのだが、 何故我々を呼んだ?」


デトネーターが扇子で口元を隠しながら尋ねた。


「まさか早々に救援を要請する、 と言う訳ではあるまいな?

それは幾ら何でも統治能力に疑問が出て来るから

流石に、 流石に無いとは思うがなぁ」

「いえいえ、 私共は責任は貴方方に有ると思います」


セルデンの嫌味をぴしゃりと返すツゴモリ。


「・・・・・」


セルデンは剣を抜く。


「ここを何処だと思っているのですかセルデン侯爵」

「そのセリフはあの小娘に言った方が良いのではないかベルモンド

寧ろ問答無用で脳天カチ割らなかっただけ有情では無いのかね?」


ベルモンドの静止を返すセルデン。


「何れにせよ小娘、 ここからは言葉を選べ」

「そうですね、 では言葉を変えて

特にセルデン侯爵閣下に責任が有ると思っています」


セルデンを羽交い絞めにするベルモンド。


「離せポール※1 !! こいつのぶち殺さないと俺の腹の虫がおさまらねぇ!!」



※1:ベルモンド伯爵の本名。



「セルデン、 おやめなさい」


ハウバリンの静止に剣を収めるセルデン。

如何に怒り狂っていても公爵の命令には絶対である。

彼は嘗て公爵家の総領娘※2 がベネルクス王家に恥をかかされた際に

王家よりもハウバリン公爵家を優先し王家に刃を向けようとした忠臣である。



※2:長女の事。



「御見苦しい所をお見せして申し訳無い、 しかしながらツゴモリ嬢

そこまで断言するのならば証拠は有るのですかな?」

「えぇ、 旧ハートレス領は現在二ヶ所のルートで囚人輸送を行っています

スクイド男爵領を経由するルート、 そしてセルデン侯爵領を経由するルート

被害に遭っているのは全てセルデン侯爵領を経由するルートです」

「・・・・・違う」


セルデンは即座に白けたと言った風に言い捨てた。


「私の配下の中に私に逆らう程のヴァカは居ない

そもそも私の記憶が確かならば

私の領を経由する前にベルモンドの所を通るのではないのか?

ついでに言うとベルモンドの所には以前ヴェルギウス公爵に

黙って鞍替えしようとした愚か者が居た筈だ」

「・・・・・ヒューガルデン伯爵」

「直ぐに調べよう」


ベルモンドの頼むを即諾するヒューガルデン。


「しかしながらツゴモリさんよ、 アンタ達が裏で手を引いて囚人共を

人身売買しているって事は無いのか?」


セイバーダーが髭を弄りながら尋ねる。


「居なくなった人間の方が高くついています」

「なるほどねぇ、 ヒューガルデン伯爵」

「案ずるな、 既に調べて白だと分かっている」


セイバーダーの疑問をぴしゃりと解決するヒューガルデン。


「しかしながら、 こうも大勢の前で言う事か?

態々呼ぶ必要があったか分からんぞ」


デトネーターが扇子で口元を隠しながら尋ねた。


「カロリング女史が陛下に事情説明に行ったので私も説明にと」

「なるほどね、 では今日はこれで解散ですかな?」

「いや」


ハウバリンが否定する。


「前もって被害状況を確認したが明らかに常人の仕業では無い

S級決闘者クラスの何者かが動いていると推測される」


空気が張り詰める。


「チーズの仕業ではないのか?」

「御疑問ご尤も、 私共もそれを一番に考えて

チーズのアリバイの為に国外に出しております」

「随分と念入りだな」

「チーズが信用置けないのは私も一緒です、 チーズの腕しか信用出来ません」

「だな、 では如何する? S級決闘者を打ち取れる者は居るのか?」

「ベルモンド伯爵の所の例の執事(フェザー)で良いのでは?」


セイバーダーの言葉に納得する一同。


「娘の執事なのですが・・・」

「疑いを晴らす良い機会では無いか」


セルデンの言葉に若干の苛立ちを覚えながらも了承するベルモンド。

細部を詰めた後に会合は終了した。




ハウバリン公爵からの帰りの馬車で溜息を吐くツゴモリ。


「疲れたぁー・・・」

「お疲れ様です」


クラブが労う。


「あの面子相手に喋るのは疲れるわぁ・・・

腹は括ったつもりだったけどもまだまだ甘いわね」

「精進ですねぇ・・・」


ツゴモリとクラブはサイダーを呑み交わした。


「ふぅ・・・」

「御疲れですが、 これからもっと大きくなるんですから頑張って下さい」

「そうねぇ・・・・・やはりフェザーが傍に居ないのは辛いわ・・・

ヴォイドが余計な事をしなければ・・・」

「ヴォイドは何処に言ったんですかね」

「何処かで野垂れ死にしてるんでしょ」

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