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ビッグ・ポケット・マネー

再誕歴7702年オクターバーY日。


ヨーロッパ現最北端チェルノボグ城。

現在、 この城は北征遠征部隊の拠点になっている。

城の一室にて集められミーティングを行っている。


「このチェルノボグ城、 1階1階毎の広さがデカく、 罠を警戒しながら調査していますが

放置されてからかなりの年月が経っています、 少なくとも一世代は経ているでしょう」


北征遠征部隊副隊長のフランチェスコ・イリーが解説する。

彼はルーマニアのイリ―男爵の三男坊で半ば厄介払いの様にこの部隊に来ていたが

生き生きとしている。


「また計測の結果、 この城の外周とから計測した面積と

それぞれの階層の面積が一致しません、 恐らく隠し通路や隠し部屋があるかもしれません

まぁお宝が有るかは微妙ですね、 俺だったら放置するならお宝持って行きますしね」


隊員たちから笑い声が上がる。


「また、 この城はかなり高い城です、 8階まで確認し9階からは壊れていますが

恐らくはもっと高い、 超高層の建物だと推測されます」

「じゃあ古代の超文明の超技術とかって奴ですか?」


隊員の1人が尋ねる。


「可能性としては有るかもしれんな、 とりあえずは如何しますか?」

「まずはこの城のリフォームだな、 拠点として使える様にして後詰に備えよう」


北征遠征部隊隊長のマイケルが決定する。

ヴェルギウス公爵11男の彼はフェザーと出会い、 認められてから

腐っていた自分を恥じて国の為に何か出来る事は無いかと動き始め

誰もやりたがらない北西遠征部隊に隊長として参加。

当初はボンボンの気まぐれかと隊員たちから良く思われて無かったのだが・・・




再誕歴7702年ジューン5日。


ルーマニア連合、 北征遠征部隊拠点、 隊長室。


「予算が足りない」

「当たり前でしょ、 北征よりも他の事に金を使いますし

連合も予算回してくれないでしょ」


隊長に就任したマイケルにフランチェスコが呆れる。


「とりあえず父に頼んで資金援助して貰える事になった」

「公爵様の息子は気楽でイイですね、 で幾らほど?」

50万ユーロ(5000万円)

「・・・・・いやいやいや、 幾ら何でもそんな大金ぽんと出せるもんですか?」

「ちゃんと小切手貰って来た」


そう言って小切手を見せるマイケル。


「・・・・・マジで? 冗談じゃなく?」

「冗談じゃないよ、 冗談云々言うのならば

北征遠征部隊の予算が一月20万ユーロ(2000万円)って少なすぎるだろう

武具とか装備とかも使い古しだ、 新調するぞ」

「・・・・・そりゃあ、 まぁ・・・うん?」


マイケルの小切手を見るフランチェスコ。


「1, 10, 100, 1000, 10000・・・・・マイケルさん、 いや隊長

これ、 50万じゃないです」

「うん?」

500万ユーロ(5億円)です」

「・・・・・」


マイケルは小切手を見る。


「・・・・・これだったらもっと人員の強化とかも出来るか」

「いやいやいや!! 貰い過ぎでは!?」

「息子が歴史に名を刻むかもしれないんだ500万ユーロ(5億円)位の融資はしてくれるだろうさ

それに渡し過ぎなんて子供が気にする事じゃないさ

寧ろ、 親に気遣い過ぎて嫌味に聞こえるだろう」

「何だか嫌な予感がするなぁ・・・」


マイケルは500万ユーロ(5億円)を全て使って装備の新調。

雪国仕様の装備、 更に人力だったそりによる移動も

犬ぞりを使用し隊員達の食料事情も改善し尚且つ自分は最前線に出て

危険をいち早く察知すると言う貴族の道楽の範疇を超えた動きを見せていた。

それ故に隊員達から一目置かれる様になったのだった。




再誕歴7702年オクターバーY日。


現在、 チェルノボグ城は彼等の手によって住みやすい環境へと変わっていった。


「流石に一人一部屋みたいな事は出来ませんけどねぇ」

「焚き火用の燃料は用意してあるが節約しなければならないから我慢してくれ」

「別に構いませんよ、 それで隊長、 後詰の部隊は何時到着されますか?」

「ノーベンバーには来れるそうだ、 食料も充分にあるからゆっくり待てば良い」

「いやぁ、 本当に助かりますわぁ・・・」

「すいませーん」


部屋の外から隊員が入って来た。


「すいません、 何か犬が吠えてるんですが・・・」

「あー、 また狼か獣か何かが寄って来てるのか? とりあえず見回りに行ってこい」

「はい」

「了解しました」


隊員2名が外の見回りをする事になった。




「吹雪がやべぇな・・・」

「新しい隊長が防寒着買ってくれなったら間違い無く死んでたぞ、 あぁ寒ッ・・・」

「本当になぁ・・・・・?」

「如何した?」

「なぁ、 犬の鳴き声聞こえなくないか?」


確かに吹雪の音が酷いがそれでも犬の声が一切聞こえないのは可笑しい。


「何かあったかな?」

「・・・・・」


返事がない相棒に振り返る隊員。

隊員は仰向けに倒れていた。


「おい、 如何したよ・・・」


仰向けに倒れて動かない。


「おいおいふざけてんのかよ・・・全く・・・」


隊員が相棒を起こすと頭部がひしゃげていた。


「!? なっ」


危険を察知した彼だったが即座に声も出せずに息絶えるのだった。




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