チェルノボグ・ディスカバー
再誕歴7702年オクターバー25日。
ハウバリン公爵門閥エトナ伯爵領にあるエトナ・シスターズ・メンタルヘルス。
エトナ伯爵の姉が投資して始めた精神医療施設である。
「精神医療とか言っているが早い話が頓狂院だろ」
「イイカタ悪いですよ」
施設内を歩くジョンとグレゴリオ。
「何で私が【Fワード】の見舞いに来なきゃならんのだ」
「イイカタ悪いですッテ、 戦争でもPTSDになる人もイルンデスカラ」
「私に言わせれば死に直面して取り乱す方が可笑しい」
「セルデン侯爵の考え方で考えない方がイイデスよ」
「受け入れがたい考えだとは思うけどさぁ」
そしてある病室の前で立ち止まる。
病室の名札はジェーンだった。
「ここか・・・全く、 何で私が無関係の女の所に来なきゃならんのだ」
「一応、 アナタの異母姉ですし」
「抹縁しているから赤の他人だよ※1」
※1:エピソード5のゴー・ナッツ参照
「しかし病院のダイキンは払わないとね」
「全く面倒極まる・・・」
病室を開くと眠っているジェーンと
そこにはヒューガルデン伯爵と数人の男が待ち構えていた。
「ヒューガルデン伯爵? 何故ここに?」
「勿論仕事だ」
「内部調査、 ですか? この女がどうかしたのですか?」
「いや、 君だ」
「私ですか? 何か問題でも?」
「この娘と何か関係が有るのではないかと思ってね」
「何故?」
「この娘がうわごとで君の名を呼んでいた」
「ブリュッセルハウスに来たのを追い出したくらいですね」
「他に関係がないと?」
「えぇ、 全く」
「・・・・・」
ジョンを見るヒューガルデン。
「全く動じないね」
「本当に関係が無いので」
「ふむ・・・分かった、 信じよう」
「・・・・・私は今回、 父に言われてここに来るように言われたのですが
この事は父は御存じでしたか?」
「如何だろうな、 まぁ君の父が君を寄越すだろうと思って連絡をさせて貰った」
「そうですか・・・念の為に顔を見ても?」
「あぁ、 構わない」
ジェーンの顔を見るジョン。
何かを思い出しそうだったが何も思い出せずに病室から出るのだった。
「はぁー・・・草臥れた・・・」
「サスガに内部調査官相手はドキドキしますね」
「全くだ・・・確かここの食堂が有ったな、 何か食べて帰るか」
「ソウデスネ」
エトナ・シスターズ・メンタルヘルスはエトナ伯爵も利用するので
院内には様々な施設が併設されている。
食堂は勿論、 美容院やマッサージ、 銀行や役所まで備わっている。
当然サービスは一級である、 但し値段も一級である。
「申し訳ありません、 只今相席になりますが・・・」
ウェイトレスが申し訳なさそうにジョンに言う。
「構わん」
「ではこちらにどうぞー」
責に案内されるジョンとグレゴリオ。
「あ」
「ア」
「げ」
「ジョン様、 お久しぶりです」
食堂でジョンとグレゴリオはフェザーとサンに出くわした。
「何でここに居るんだよ・・・」
「ヒューガルデン伯爵に呼ばれまして・・・」
「伯爵に? 何故?」
「実は貴方の異母姉」
「アレは姉では無い、 父とは抹縁が成立している」
「そ、 そうですか・・・ジェーン、 と言う方を連れて来たのは私なのです」
「フェザーがアレを連れて来たのか・・・何故だ?」
「実は彼女は一時的に怪物の姿になっていた様で・・・」
「良く分からんな、 まぁあんな外道が怪物の姿になっても可笑しくは無いが
それで何で伯爵に呼ばれたんだ?」
「私があの娘と何か関係があるかもしれないと呼ばれたからです」
サンが答える。
「なるほど、 それで?」
「話した結果、 分かって貰えた様です」
「ヒューガルデン伯爵は長い事内部調査官をしていたから
少し話せば分かってくれる、 とりあえずは無罪だろうな」
「そうですねぇ・・・」
しみじみと言うサンだった。
「所で聞いたか? 例の話」
「例の話、 と聞かれても話題は沢山有りますし何を言っているのか分かりません」
「・・・それはすまなかった」
サンのマジレスに答えるジョン。
「私が言っているのはチェルノボグ城の事だよ」
「チェルノボグ? 何処の城ですか?」
「最近、 北征遠征部隊※2が出発しただろう?」
※2:ヨーロッパから北側の土地は吹雪が激しい極寒の地であるが
何らかの資源が有るかもしれないとして数年に一度、 ヨーロッパ連合で
北の方に向かって調査の為に遠征部隊が送られる。
しかしポーズの側面も大きい為、 無駄と言う声が大きい
「遠征部隊ですか・・・個人的にはもっと国内に目を向けるべきだと思いましたが」
「いや、 今回は収穫が有った、 今までよりもずっとずっと北に向かった結果
城を見つけた、 それがチェルノボグ城」
「・・・・・あの極寒の地に城が有ったとは驚きです」
「人間の英知とやらは素晴らしいな
それで、 だ、 もっと奥まで行くのに人員の増強を求めているらしい
私は参加するつもりだがお前達は如何する?」
「私達は不参加ね、 フェザーもそうでしょう」
「えぇ、 その通りです」
「ふん、 好きにしろ、 腰抜け共」
そんな事を言いながら談笑を続けるジョンだった。




