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ザ・サード・レッグpart1

時は流れ決闘の時間が迫る。

観客席にはデンエンが必死になってかき集めた客とサクラで埋め尽くされている。


「そろそろ時間か・・・」


貴賓席で固唾を飲むセルデン。


「こういうコロシアムに来るのは初めてだから興奮します!!」


ポップコーンを食べるフローラ。


「主人よりも寛いでいるわね」

「あげませんよ!?」

「要らないわよ」


そんなこんなで時間は流れ決闘開始時刻になった。


「レエエエエエエェェエェエディイイィィィィス・エエエエエエエエエエエエンド・

ジェエエエエエエエエエエエエエエントゥルゥゥゥゥゥゥゥウウウウメェエエエン!!!

さぁやって来たぜぇえええええ!! 本日ぅのメェェェインイェベエエエエエント!!

ジャン様の最強配下フランクVSベルモンド伯爵領からの刺客!!

S級の決闘者フェザーの決闘だあああああああああああああああああああああああ!!!」


わああああ、 と歓声が挙がる。


「実況解説はお馴染みファーマーがお送りしますぅううううううううううう!!!」


わああああ、 と歓声が挙がる。


「良い声の実況ですね」

「元々はウチの騎士団の軍楽隊のホープでしたが

歌よりも喇叭(ラッパ)の方が音が大きいので」

「そうですか」


貴賓席でサンとセルデンが話し合っている。

当たり障りの無い話である。


「しかし、 少し酷くないですか? このコロシアム

舞台上もボロボロで整備が雑なのがここからでも見て分かりますよ」

「確かに、 責任者で自費で直させましょうか」


そんな話をしている内にまた歓声が挙がる。


「レッドフォックス※1 ゲートから入場するのはぁぁぁぁぁぁぁ

イタリアから来たイギリス紳士フランクゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!

コートとシルクハットと言うスタイルはまごう事無き紳士ィィッィィイイイイイイイイ!!

そしてグリーンラグーンドッグ※1 ゲートから入場するのは

S級決闘者なのに執事と言う異例の男!!

ベルモンド伯爵公爵令嬢お付き執事フェザアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」



※1:日本の故事成語における『赤い狐と緑の狸』からの引用。

両者相並ぶ物の例えの一つ、 他には『茸筍』『巨人半神』『こしつぶ』等。



「ルールはダウンのタイム10分!! 見せ合い無し!!

立会人さんも到着だあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


立会人№500も舞台上に上がる。


「・・・・・」


歓声の中で心底白けるフェザー。


「ふぅむ、 何やら気乗りしない様子ですな

何かご不満でも?」


舞台上で相対するフランクがフェザーに問う。


「これを見て気分が上がります?

ボロボロの会場とサクラの観客、 そして匂い」

「血の匂いですなぁ、 この舞台での戦いの残り香と言う事でしょう」

「いや掃除くらいしましょうよ

ボクシングやプロレスの試合で血飛沫飛んだ後に掃除しないなんて事あります?」

「なるほど、 たしかに足場も悪いし客も最低

だがしかし決闘に最も重要なのは『相手』でしょう?」

「決闘に最も重要な物ねぇ・・・」


フェザーが更に白ける。


そんな物は無い(・・・・・・・)、 心底下らない事を言いますね貴方は」

「・・・・・!!」


一瞬、 感じるか感じないかフェザーは激昂した。


(これがS級・・・!! 超英国人(スーパーライミ―)※2 と同じ位の圧を感じる・・・!!)



※2:壊血病には新鮮な野菜や果物を摂取する事で治癒が可能とされる。

イギリス海軍はライムを摂取する事で壊血病を克服した。

しかしながら壊血病を恐れるあまりライムを致死量を超えて摂取する英国人が続出。

だがライムの致死量を超えても生き続けた英国人が現れる。

ライムの過剰摂取で体が黄金色に輝き髪が逆立ち金髪になり

戦闘能力が十倍以上に跳ね上がる。

ライムを摂取する事で超人となった彼等をスーパーライミ―と呼んだのだった。



(だが一瞬でも、 微かにでも、 揺れるのだったら問題は・・・無い!!)


持ち直すフランク。

ふっ、 笑い、 コートの中で股間が隆起する。


「その物言い、 我が三本目の足が隆起しますな!!」

「・・・・・うわ」


確実にドン引きしているフェザー。


「それでは始めようか!!」

「・・・・・そうしますか、 立会人さん、 開始の合図を」

「それでは決闘を始めます!! 立会人は№500が行います!! 両者名乗りを!!」

「セルデン侯爵が嫡子ジャン様の配下フランク」

「ベルモンド伯爵が長子の執事、 フェザー」

「カウントスタートッ!!」


立会人の頭上に10:00のタイマー表示が現れる。


スタートと同時に両者疾走!!


(マジかコイツ!! 月日が流れる※3 よりも速い!!)



※3:歳を取る度に時間の経過が早くなるのはジャネーの法則と言うらしい

歳は取りたくない物だ。



フランクは刹那の驚愕!!

そして激突!!


「な、 なにイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!?」


ファーマーの絶叫が響く!!


「フランクが先に一撃を入れたアアアアアアアアアアア!!」


吹き飛ばされるフェザー!!

しかしフェザーは着地に成功!!


「S級相手にまさかの先制!! し、 しかしこれは・・・」


フランクのコートから現れた物、 それはまさしく第三の足!!

脚である!! 三本目の足!! 天は如何なる理由が有って一人の人間に三本目の足を与えたもうたのか!?


「説明しよう!!」

説明(エクスプレイン)※4 か・・・」



※4:ウィルパワーの増強方法の一つ。

大別すると規定振舞(ルーティーン)と呼ばれる特定の所作を行う事で

体内のウィルパワーを増加させる方法に分類される。

自分の技や能力等を説明する事で自身のウィルパワーを増大する事が出来る。

何故説明するとウィルパワーが増大するのかは今だに良く分かっていないが

説明する事で『自分はこういう奴です』と自己規定し世界に受け入れさせ

更に相手に理解させる事でウィルパワーの巡回を起こし

ウィルパワーを増大させていると言う説が支配的である。

しかし説明をする事で足を掬われたりする危険性が有るので

乱用は禁物である、 逆に虚偽の説明をする事も可能である。



「私はシャム双生児!!

元々は二人の筈だったが一人の肉体になってしまった!!」

「その足は生まれる筈だったアンタの兄か弟と言う事か、 なるほど」

割込み(インターラプト)※5・・・随分余裕の無い事をなさる・・・」



※5:相手の説明を邪魔する事でウィルパワーの増強を妨害する。

説明の邪魔の方法にはそもそも説明を聞かない。

説明させない等が有るが、 先に説明してしまうと言う方法が最も美しいとされる。



「だがしかし理解出来るだろう? 人よりも体のパーツが

つまり体積が大きい分、 ウィルパワーも多い※6」



※6:体重200Kgと体重2gならば200Kgの方が満ち満ちている事は充分理解して貰えるだろう。

尚、 願掛けで髪の毛を切らないと言うお決まりの誓いも

ウィルパワーを髪に貯め込むと言う理に叶った行いである。



「そして!!」


ギュンと超高速で飛ばされたフェザーの元に急接近するフランク。


「三本の足で走れば単純計算で1.5倍のスピードアップ!!」


フランクは袖からステッキを取り出しフェザーに横薙ぎに叩きつける!!

フェザーは素手で受け止める!!


「っ!!」

「横着が過ぎる!!」


ステッキはそのまま横薙ぎに払われフェザーが吹き飛ぶ!!

回転しながらフェザーは着地・・・


「そこぉ!!」


着地を狙いフランクは超加速しフェザーに突き!!


「!?」

「惜しい」


フェザーは杖の上に着地!!

フランクは即座に杖を払う、 フェザーは難なく地面に着地!!


「っあ!!」


蹴り上げるフランク!!

フェザーも蹴る!!

蹴り同士が接触し共に吹き飛ぶ!!

フェザーは難なく着地するもフランクは3本足を活かして何とか着地する!!


「ウィルパワーで強化した蹴りを相殺だと・・・!?」

「この程度の事はしないと」

「っ・・・」

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