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プロスペクター

再誕歴7702年メイ5日。


ハウバリン公爵直轄領、 ハウバリン公爵本宅客間にて。


「この度はお招きいただきありがとうございます」

「構わないさ、 かけたまえ」


ハウバリン公爵に招かれたセイバーダーはお辞儀をしながら席に着いた。

客間と言うにはあまりにも広かった。

セイバーダーの邸宅にある舞踏会に使われる大広間よりも大きい。

バスケとサッカーとバレーとラグビーの試合を同時進行できるくらいには大きかった。


「件の一件は如何なった?」

「聊か望外の事態は有りましたが問題ございません

此度の件で言う事を聞かない過激派のトップであるノスルを逮捕出来ましたので

ストレイドッグに【餓狼剣】を仕切らせる事にしました

奴は私に従順ですから【餓狼剣】も体系化して戦力に組み込む腹積もりです」

「【餓狼剣】の事はまぁ良いさ、 問題が解決したのならば良い

肝心な話をしよう、 ベネルクス・グローバリゼーション・カンパニーについてだ

新興企業だがあのベネルクス・グローバルズ・エコノミー・クラブの創始者で有り主催だった

カリオストロが経営者だ」

「今は別の者がクラブを引き継いでクラブは没落したと聞きます」

「うむカリオストロの手腕が凄まじかったのだろうな

連中からは税を期待したが今回の一件で自分達にかかる税を安くしろとか言って無いだろうな?」

通行税(ツォル)の値引きを要求しています」

通行税(ツォル)・・・か・・・・・強化された荷改め※1 に応じるのならば」



※1:荷改めとは積み荷を調べる事である。

強化された荷改めは厳格な荷改めと言う意味である。



「分かりました、 しかしながら荷改めだけで宜しいのですか?」

通行税(ツォル)が減っても全体的な税収が増えるのならば文句は無い

しかしながら連中は信用ならん」

「何故?」

「貴様も信用ならんので教えない、 お前がその地位に座ったのは主人を蹴落としたからだ」

「ですが爵位を男爵から子爵に上げたのも事実でしょう?

確かに私は地位や金目当ての男ですよ、 でも実力は有るつもりです

だからこそ閣下は私を男爵位に据えたのでは?」

「ふん、 あぁ言えばこういうか、 まぁ良いだろう

最近スペイン帝国で妙な兵器を開発しているらしい」


セイバーダーが纏う空気が一変した。


「スペインが出て来ますか!?」

「まぁ落ち着け、 その兵器は周囲の大地を取り込んで自身は球場の岩となり

結果的に地形を変えて打撃を与える兵器らしい

名前は【金鉱掘者(プロスペクター)】とか言ったな」

「・・・・・そ、 その兵器が連中と関係あると?」

「可能性はな、 だがしかし、 警戒する必要は無い」

「敵国と内通しているという事では?」

「【金鉱掘者(プロスペクター)】はガラクタだ

スペインのフェリペはこれを使ってアメリカを滅ぼそうとしているらしい

だがヨーロッパ連合のスパイが設計図を手に入れて検証してみた結果

実際問題として不可能だ、 使用には動力として大量のエネルギーが必要だ

現実的に考えると蒸気機関だな」

「・・・スペインで蒸気機関は」

「まず作れんな、 作った所でこの客間一面に蒸気機関を敷き詰め

作動させたエネルギーを利用した所で・・・まぁこの邸宅位なら破壊出来るか

だがしかし余りにも現実的じゃない、 複数の蒸気機関を同時に作動させて

尚且つそのエネルギーを一挙に集中させる、 これだけでも相当な技術が必要だし

稼働させる為に大量の石炭が必要だ、 これだけ大量の石炭を調達

いや移動させるだけでも目立つ」

「本当にガラクタですね」

「フェリペ二世は騙されているんだろう、 可哀想だが・・・」

「・・・・・話を戻すとカリオストロはその【金鉱掘者(ガラクタ)】で

何かをしようとしているという事ですか?」

「何やら連中、 最近機械の部品作成等をしているらしくてな

ヒューガルデンに調べて貰った、 ハートレス領にも工場を作るとかも聞いたな

出荷先は名前も聞いた事無い途上国・・・」

「うわ・・・何も知らない奴に売りつけるって事ですか?」

「詐欺に等しい、 と言いたいが、 問題が有ればカリオストロとやらを裁けば良い

何れにせよ、 警戒を怠るな」

「はい、 十分承知しております」

「では下がれ」

「はっ」


セイバーダーは客間から出て行った。






「如何思う?」

「恐らく何も知らないかと」


調度品の一つに忍び込んでいたヒューガルデンがにゅ、 っと現れる。

そしてハウバリンの正面に座った。


「私もそう思うよ、 奴は能力が有るが

基本的には下賤な蛮族よ、 肝心な所の頭は回らないと見える」

「閣下、 しかしながらやはり直ぐには想像出来ませんよ」

「そうか? 私は即気が付いたぞ

蒸気機関ではエネルギーが間に合わない

ならば何らかの技術革新(オーバーテクノロジー)が有ったのならば?」

「無い、 とは言い切れませんね、 スペイン帝国は未知の部分が大きい」

「そしてカリオストロも底知れない男だ、 ヒューガルデン

セイバーダー共々監視を強めよ」

「了解いたしました」

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