グロス
「・・・はい?」
「女性権利団体【CurePretty】とアーベントロート公爵は
環境保護団体【Nature Guard Army】魔術復権団体【Avenger wise man】
人権保護団体【Noreturn Yesterday】共和平等団体【I,m Intelligence】
亜人権利団体【AtoZ】に移動手段としての馬車と
ピルケース財閥の関連企業への社員と言う身分を用意した
ここ迄は良いな?」
「え・・・そんな事してたんですか!?」
「馬車代はお前の麾下の省庁が出していただろう?
何で知らないんだ?」
苛立ちながらベネルクス95世は言った。
「も、 申し訳ありません・・・」
「謝罪じゃなくて、 何で知らないのか答えて欲しいのだが?」
「・・・し、 失念しておりました」
「心象が悪くなったな、 巻き返しを図れ
まだ問題はある、 ピルケース財閥関連企業に入ると保険に入る事が出来る
死亡保険や傷病保険、 馬車保険なんて物もあった
馬車で事故死した場合には保険金が入ると言う仕組みだ」
「そ、 それが何か・・・」
「さっき言った団体の殆どの人間が提供された馬車で事故死していた
馬車には細工がしてあってな、 細工が発動して死んでいった
大体4000人弱が死亡した、 その中には【AtoZ】代表のエヌエムエル
環境保護団体【Nature Guard Army】のダッグ
人権保護団体【Noreturn Yesterday】首席ナゼラルの3人も死んでいた
共和平等団体【I,m Intelligence】書記長ナゾライズは辛うじて生きていた
団体のリーダーですら死にかけているんだ
にも拘わらず女性権利団体【CurePretty】のスイムは無事だ」
「スイムが他の団体を攻撃したと!?」
「話はそんなに単純では無い
いや、 単純か? 規模は物凄く大きいがやっている事は保険金殺人だ
これについて何か有るか?」
「わ、 私は知りません!!」
「いや、 知りませんじゃないよ
お前が金を出した奴がこんな事をやっているんだ
当然ながらお前にも責任はある、 お前にも罪を背負って貰うぞ」
「私は関係無い!! スイムとその公爵に責任がある!!」
「公爵の責任の有無はこれから問う」
「どういう事ですか!? 如何考えても公爵の責任は大きい!!」
「だと思うだろ?」
ぞろぞろと近衛騎士団と特命省の職員が謁見の間に集まって来た。
「陛下」
「そろそろか、 じゃあ今日の主役に登場して貰おう」
謁見の間に入って来たのはスイムとアーベントロート。
スイムは俯いており、 アーベントロートは対照的にベネルクス95世の顔を見据えている。
「聊か厳重ではありませぬか?」
アーベントロートが呟いた。
「我が国民を4000人以上も殺した者に対しての警戒としては優しいでしょう」
「私が何時そんなに大勢の人間を殺したのか、 記憶に御座いませんなぁ
誹謗中傷は辞めて頂きたい」
「環境保護団体【Nature Guard Army】魔術復権団体【Avenger wise man】
人権保護団体【Noreturn Yesterday】共和平等団体【I,m Intelligence】
亜人権利団体【AtoZ】に対して其方は移動手段としての馬車と
ピルケース財閥の関連企業への社員と言う身分と社員保険を用意した
そしてその馬車には事故が起きるように細工がしてあり4000人以上が死んだ
そしてかけていた保険金を君が受け取った
一人1万ユーロの保険金でも4000万ユーロだろう」
「はて、 私が馬車に細工をした証拠でもあるのですか?
馬車の細工と私の仕業、 その二つを結びつける証拠が有ると言うのですかな?
まさか証拠も無しにこんな事を言うとは想像が付かないのですが?」
アーベントロートの表情は未だに崩れなかった。
「しかしながら陛下のお疑いになるのは納得出来ます
幾らでも調査して頂いてよろしいですよ」
「・・・実は別件がある」
「別件、 ですか? 何でしょうねぇ」
「ハウバリン公爵門閥バーリィ侯爵領で死体が発見された
色々な新聞社にタレコミが有ってな
まともに動いたのはベネルクスゴシップだけだったが」
「それが何か?」
「死体は酷い状態で個人の特定は難しかった
しかしながらこれが有った」
部分的な入れ歯を見せるハウバリン95世。
「入れ歯? それが何ですか?」
「この入れ歯に使われている歯はとある少女の物だった
金具もかなり良い素材が使われていてご丁寧に工房の名前まで刻印されていた
ドイツの有名な医療器具工房だったよ、 ベネルクスゴシップの連中はここまで調べて
国にバトンタッチした、 調査の結果、 この入れ歯はアーベントロート公爵の物らしい」
「・・・・・あぁ、 その入れ歯ですか、 ついうっかり捨てたのが
死体の所に転がったんですね」
「それで通ると?」
「私が物を捨てて何か問題でも?」
「何故捨てた?」
「何となく? ですがね?」
「娘の歯を引き抜いて共に生きようと誓って作った入れ歯をか?」
「・・・・・」
アーベントロートは天を仰いだ。
「お前は一体誰だ?」
ベネルクス95世は尋ねた。
「アイツそんな事してたのかよ、 キッモ」
アーベントロートは男の声でそう言った。




