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エンシェント・グレイヴ

再誕歴7702年ジュニアリー10日。


ルン子爵領ランセイ街にて。

この街は国境沿いの街でルン子爵の領地だが国境省と外国からの思惑も合わさり

非常に繊細なパワーバランスを保っている。

誰かが勝手な事をすればその誰かは

運が良ければ(・・・・・・)路地裏にバラバラになって発見される。

普通は行方不明(・・・・)になる。

運が悪ければバラバラで生きた状態(・・・・・)で発見される。


街宣活動は愚かチラシ配りでもしたらアウトと言う恐ろしい場所である。

しかしながらだからこそこの街は裏で何かを企むのは持ってこいの場所だ。




「・・・・・・・」


ダブルプラスディザスターはランセイ街で偽造戸籍で借りたマンションの一室に

仲間達と共に潜伏していた。

彼女は新聞を顔に被せた状態でグダって居た。


「姐さん、 これで良いんスカ?」


ダブルプラスディザスターの配下、 アングが尋ねる。

彼女はダブルプラスディザスターに拾われたダークハーフエルフの娘であり

彼女の右腕のような存在である。


「良い訳は無い、 が止めようもなかった」


新聞には『度重なる活動家達の謎の事故!? 何者かが馬車に細工か!?』と一面に出ていた。


「地方紙だが、 裏は取った、 恐らくはあの公爵とやらが仕掛けた罠だったのだろう

【Nature Guard Army】を含めた複数の組織を壊滅させて人員やら何やらを手に入れる

まぁ私は【Nature Guard Army】以外の団体がどうなろうが知った事では無い」

「公爵だの何だの言っていますが野盗のやり方じゃねェスカ」

「私もそう思う、 しかし一番確実なやり方として奪う、 と言うのは

シンプルかつ手っ取り早い、 増してや私達倫理屋の最近の心象は悪い

同情もされにくいな」

「なら何故あそこで引いたんスカ!!」


アングが叫ぶ、 周囲の者達がびくっとざわつく。


「静かにしろ、 賃貸だぞ」

「すいません、 しかし!!」

「簡単な話だ、 あの公爵の護衛、 私よりも強い」

「!?」


戦慄する一同。


「伝説的な実力を持つ貴女よりも!?」

「あぁ、 私の伝説が霞む程の実力を奴から感じた

あの小僧を見た時の印象は全盛期のワームウッドと想起させた」

「全盛期の軍務大臣、 ですか?」

「シンゲツ・バロッグだけが持て囃されているが

ワームウッドはバロッグと肩を並べられる逸材だ」

「貴女にそこまで言わせる逸材ッスカ・・・」

「奴が居なければ、 と何度も思ったよ

何故奴がベネルクス国王の首を取って独立しないか不思議でならない」

「・・・・・」

「何れにせよ、 ダッグが勝手をやった結果、 今回の結末になった

私はもう知らんよ、 奴とは長い付き合いだったがお前達の方が大事だ」

「・・・ウッス!!」


頭を下げるアング。


「これからの予定だが私と部隊一つはこの国で待機

アンは残りを率いてチァンの元に迎え

暫く奴の元で力を蓄える」

「隊長は如何するんスカ!?」

「今回の件、 公爵が攻撃し奪っていくと言う流れだ

ならば私も少し便乗しよう」

「ハイエナですか!?」

「いや、 少し違う、 似た様なもんだが」

「はぁ!?」


ドンッ!! と隣から壁が叩かれる。


「さっきからうっせーぞ!! 少し黙れや!!」

「っ!!」


立ち上がるアングを座らせるダブルプラスディザスター。


「落ち着け、 この街はこの街で厄介だ

この街で騒ぐのは谷の上で綱渡りしながらパスタを喰っている肥満児の上で

玉乗りをしているピエロの上にダイブする事と一緒だ※1」



※1:訳:死ぬ。



「姐さんは意外と慎重な所有りますよね」

「身持ちは固い主義だからな」

「・・・・・」


未だ独身の彼女の言葉に如何リアクションして良いか困る一同。


「笑う所だぞ」

「い、 いえ・・・姐さんは結婚とかは」

「しない、 私はこう見えても純情な性格でな

恋した男に尽くすタイプだ、 最もそいつはもう墓の下

いや、 墓すら無いか」

「・・・・・」


俯くアング。


「墓が壊れる位、 遠い昔の方なのですか?」

「いや、 墓は破壊されたんだ、 人間を助ける為に死力を尽くした奴が

まさか人間が開拓するから邪魔だと言う理由で墓を破壊するとはな

何とも笑えない話だ」

「・・・・・それは・・・その・・・すみません」

「気にするな、 既に報復はしておいた

そして墓を守る為に【Nature Guard Army】の活動を行っていたが・・・

まぁ外国で力を蓄えてさっさと戻る事にしよう」

「そうですね!!」

「さてと昔話はこれ位にしてサッサと行った行った」

「はい!!」


皆、 ざっざ、 と部屋から出て行った。


「・・・・・いや、 何人居たんだよ」


隣人がこの部屋の足音に驚愕するのだった。

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