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デュエル・レワード・ネゴシエーション

再誕歴7700年ディセンバー7日。


ベルモンド伯爵邸にジャンがフランクと共にやって来た。

ベルモンド伯爵は客室で応対する。


「この度は兄がご迷惑をお掛けして申し訳ありません、 こちらつまらない物ですが・・・」


ジャンが土産としてヤードグラス※1 とヤードグラスを支える台を差し出した。



※1:1メートル前後の長いビールグラス。

イギリスで発明された物で作り出すには高い技術が必要である。

イギリスでは祭事に使われる事が多い。

近年ではグラスの長さと祭事のめでたさは比例すると言う研究結果が発表された事で

王室の祝い事には最低10mの物を使用しなければいけないと言う規約が出来た。

めでたさのアピールと共に摂取する酒量を減らす為に

グラスの直径を小さくしなければならない為、 更に高い技術が必要になり

王室にはここまで高い技術者がいるのか、 と言うアピールにもなる。



「これはこれはご丁寧に」

「それでですね、 本日は誠に恐縮ですが兄のリベンジ戦を挑みに来ました」

「リベンジ戦、 ですか」

「えぇ、 急で本当申し訳ありませんが一応は弟なので形式的にと言う事です」

「・・・・・」


ベルモンドは怪訝そうに見た。

ジョンは分かりやすい奴だったがジャンは分かり難い

策士の様なタイプなのだろう、 兄よりも面子を保つ為の戦いを挑むタイプ。


「しかしながら君は戦える人間とは思えない」

「戦うのは私です」


ジャンの後ろに居たフランクが宣言する。


「フェザーさんは如何やらS級決闘者の資格を持っているご様子

私もA級ならば簡単に倒せますのでいい勝負になるかと」

「しかしながらフェザーはつい先日決闘を行ったばかりですし」

「いえいえ!! 日付も全てそちらにお任せします!!」

「・・・」


ベルを鳴らすベルモンド。


「はい」

「おい、 フェザーとサンを呼んで来てくれ」

「了解しました」


やってきたメイドに指示を出すベルモンド。

そしてやって来る二人。


「また決闘?」

「兄君の仇討ちですか・・・デスマッチはお断りですよ」

「勿論、 死んだら終わりですし・・・恐縮ですが

日付はお任せしますが場所とルールに関してはこちらに任せて貰いたい」

「どういう事ですか?」

「こちらの領内にあるコロシアムなんですが・・・売り上げが落ちていまして」

「つまり見世物になれと? 前回の決闘については私はベルモンド伯爵家の人間でしたので

何も言いませんが、 もしもお金を取ると言うのでしたら私個人では受けかねます

ベルモンド伯爵を通して下さい」

「私は君がやるのならば干渉はしないぞ」

「では売り上げの九割を頂きましょう」

「!?」


この提案に一瞬固まるジャン。


「(いや、 これはアンカリング※2 だ、 冷静になれ)

い、 いや幾ら何でもそれは取り過ぎでは?」



※2:最初に高額を提示して割り引く手法である。

例えるならば定価1000円の商品を

1500円から500円引きと称し1000円で売ると得に感じる。



「妥当でしょう、 そちらの領内のコロシアムに向かうのですよ?

それ位移動費はかかりますし、 宿泊とか飲食とかも」

「滞在費と交通費はこちらで負担しますので取り半※3 で如何でしょう?」



※3:取り分を半分ずつにすること。



「それはちょっと」

「いや、 ちょっと待ったフェザー」


待ったをかけるベルモンド。


「良く考えて見ると売り上げ%で貰うのは少し危ない

そもそも客が入らない可能性もある、 ここは固定の額を払って貰うのが無難だろう」

「確かに・・・そうですね、 では滞在費と交通費はそちら持ちで

5万ユーロ※4 でどうでしょうか」



※4:日本円にして500万



「5万、 5万かぁ・・・少し高い・・・」


考えるジャン。

フランクはジャンの意志を察した。


「あ、 じゃあこうしましょう、 勝った方が5万を得る、 と言う事で」


フランクが勝った場合、 フランクの元に少しだけ入り

残りはジャンの元に戻る、 何と言う経営戦略・・・!!


「それで構いません」

「フェザーだけに行かせるのも何だし、 私も付いて行くわ」


サンが宣言する。


「うーん、 まぁ良いでしょう!! 1人でも2人でも一緒でしょう」

「5人よ?」

「は?」

「お着きのメイドも連れて行くから5人よ、 あ、 お父様は来ますか?」

「いや、 私は良い」

「・・・少し馬車が狭くなりますがそれでも良いのなら」

「嫌よ、 こっちでも馬車は貸し出しているから1台借りなさい」

「・・・・・わ、 分かりました、 それでは何時にします?」

「ここからセルデン侯爵領迄は何日かかります?」

「1日有れば充分です」

「じゃあ明後日で」

「え」


フェザーの言葉に呆気に取られるジャン。


「明後日? 休みとか挟まなくて良いんですか?」

「早くした方が良いですよね?」

「そうね、 セルデン侯爵領は質実剛健※5

住むには良いけど観光には少し弱い、 長々と滞在する所じゃ無いわ」



※5:中身が充実して飾り気がなく心身ともに強く逞しい事。



「サンさんの仰る通り、 もう少し観光名所が有れば良いんですがねぇ・・・

それじゃあ馬車を借りて来ますのでここでお待ち下さい」

「待ってるわよ」


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