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リアリティ・イズ・ザ・モスト・インタレスティング

再誕歴7701年ディセンバー20日。


ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセル外側(アウター)エリアの

ベネルクスゴシップ社の本社にて


「かぁあああああああああああああ!! やべぇな!!

このタレコミがマジならばもうハウバリン激ヤバだぜ!!」


社長のオーガスタスが自分のデスクで叫んでいた。

タレコミのヤバさに興奮している様だ。


「しかし、 真実でしょうか?」

「ヴァアアアアアアアアアアアアカ!! 真実かどうかなんて関係ねぇ!!

要は面白いか否かだ!! だがこれはガチでヤバイ案件だ!!

トバシ※1する訳にはいかねぇ!! やっちゃったら俺の訃報記事が一面に載る!!※2」



※1:トバシ記事の事。

トバシ記事とは記事を作成するにあたって関係者などへの内容確認を行なわずに

結果として誤報になってしまった記事の事である。

故意に嘘を吐いて来る著名人も居る為、 裏取りは基本である。


※2:記事自体はほぼ完成しており、 後は死亡理由を書くのみである。



「つーわけで俺が言って来て確認するわ!!」

「この間も出かけたばっかりじゃないですか・・・」

「ヴァっきゃやろ!! お前等も出るんだよ!! ハウバリン領の各地に手分けして全員で飛べ!!

俺はサン伯爵令嬢んとこ!!」

「え、 ちょ、 ちょっと待って下さい、 私達には他に仕事が・・・」

「んなもんほっとけ!! 休刊だ休刊!!」

「そのタレコミってマジなんですか? 嘘だったら俺達無駄骨じゃないですか・・・」


社員が弱気になる。


「ヴァっきゃやろ!! 取材して確実に真実が手に入る保障なんて最初からねぇだろうが!!

そんな分かり切ったネタなんてつまんねぇ!! 他の新聞社がやる事なんてやる必要ねぇ!!

俺達新聞記者は社会の荒波から面白いネタを探す冒険者(トレジャーハンター)!!

最高のネタを集めてここに持ってこい!!」

「でもぉ」

「よっしゃ分かった!! じゃあてめぇらのボーナス全員倍にしてやるよ!!」

「了解しました!!」

「一生ついて行きます社長!!」

「全員で場所の打ち合わせだ!! 全員で出るぞ!! 新入りも連れてけ!!」

「いや清掃のおばちゃんも連れて行け!! 飼っている犬猫もだ!!

猫の手を高利貸しから借りて来い!!」


画して社員達は総出でハウバリン領に出発したのだった。

後にオーガスタスは自著【現実(リアル)が一番面白い】にこう書いていた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――


ベネルクスゴシップが明確に変わった日は

再誕歴7701年のディセンバー20日である。

俺は面白い記事を書くのに嘘八百を並べていたが

この日以降、 俺は嘘を吐く必要が無くなった。

こんなに現実に面白い事ポンポン出て来るのか!? と驚愕した。

この日から俺はフェザーとサン両閣下の回りで起こる出来事を

記事にするだけで発行部数を爆上げする事が出来たのだった。

サン閣下に寄り添った報道をし続けたお陰でサン閣下の信頼を勝ち取り

フェザー閣下の活躍を全部独占記事に出来たのがデカかった。


だがしかし、 まさか翌年に俺の新聞がベネルクスの新聞社の中で

ダントツの発行部数になるとは予想すら出来なかった。

これには他の新聞社共の凋落が関係していたが勝てば官軍!!

運だろうが相手が転んだだけだろうが俺の新聞がナンバーワンよ!!

俺の先見の明が存分に発揮された!!

我ながら最高の一手だった!!


――――――――――――――――――――――――――――――――――


サンも自著【フェザーテイル】にてベネルクスゴシップ以外の新聞社は

信用ならないとまで言い切っている。

【ハウバリン公爵門閥内同時多発的抗議活動】を

各新聞社が取り扱わなかった事が不信の原因であり

オーガスタスが言う通りに転んだと言える。


やはりデリケートな問題には触りたく無かったのだろうか?

後にこれらの新聞社は【白雪戦争】に反対を表明した事で

防衛省から危険団体とされ解体、 後に情報省により統合され

ベネルクス国営新聞社になるのだがそれはまた別の話。


何れにせよベネルクスゴシップは

文字通り【ハウバリン公爵門閥内同時多発的抗議活動】で大活躍をする。


特にオーガスタスがサンの元に向かったのは

非常に大きい意味を持っていた。

もしもオーガスタスがサンの所に言っていなければ

もっと大事になっていただろう。


大事になっていたとしても最終的には解決しただろうが

その場合、 もっと凄惨な終わり方になっていた事は想像に難くない。



【ハウバリン公爵門閥内同時多発的抗議活動】の始まりは

再誕歴7701年ディセンバー31日。

セルデン侯爵領で始まったとされる。


本当は別の場所で始まっていたのだが公式記録ではそうなっているのだった。

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