表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

177/479

クリック・ザ・タング

再誕歴7701年ディセンバー17日。


ハウバリン公爵門閥バーリィ侯爵領のエルフ自治区にて。

その集会場にて、 ダッグとエルフ達が話し合っていた。


「ダッグさん、 私達は貴方の意見に賛同していますし協力もしますよ

ですがダブルプラスディザスター様を追い出した挙句に

あんな連中に何時までも居座られては困るんですよ」

「いや・・・その・・・」


ダッグを詰めているのはこのエルフ自治区の区長のヒである。

彼はダブルプラスディザスターとはダッグよりも付き合いは長く。

ダブルプラスディザスターが出て言った事に腹を立てている。


「あの人間共、 何と言いましたか」

「え、 あ、 彼等は」

「彼等の事は良いんですよ、 あんなのが4000人以上

ここの備蓄も底を突き、 寝床を作ってやっているのに文句を言うクズ共

ハッキリ言って早急に居なくなって貰いたいんだが?」

「す、 すみません」

「すみませんとか貴方の謝罪は如何でも良いのですよ

早急に如何にかしないとこの自治区が潰れかねない

さっさと出て行って活動? をしてくれませんかね?」


冷静に怒りながらも淡々と述べていくヒ。


「う・・・しかし・・・」

「なるほど、 そう言う事でしたか」

「?」


集会場に入るアーベントロート公爵と彼女の護衛。


「公爵殿、 身内の話なのでご遠慮願いたい」

「いえいえ、 ダッグさんは今回の作戦の発起人

彼を守る事は我々のプランの成就に繋がるので弁明をしたい」

「弁明ですか・・・イイでしょう、 但し」


ヒの脇から武器を持った二人のエルフが現れる。


「血の気の多い若い衆を納得出来る物でなければ貴女の首と胴は泣き別れだ」

「構いませんよ」


にこ、 と笑うアーベントロート。

そして彼等の元にスタスタと歩み寄る。


「まず初めに色々と準備が必要なのでやっておいてもらっております」

「準備とは?」

「これです」


アーベントロートは一つの書類を取り出した。


「これは?」

「私が経営に手を貸しているピルケース財閥

その財閥の関連企業への入社手続きの書類です

団体の皆様の中にはちゃんとした身分が無い方が大勢居ましたので

社員と言う形にさせて頂きました

これならば私が用意した弁護団もスムーズに介入が出来ますし

各種保険にも加入させましたので怪我にも対応出来ます」

「至れり尽くせりと言う訳か、 しかし何故こんなにも長い時間ここに居させるのだ?

正直に言うと迷惑なのだが」

「移動に使う馬車の調達に時間がかかりました

誠に申し訳ありません、 調達次第順次送っていますのでもう暫くお待ち下さい」


頭を下げるアーベントロート。


「ふぅむ、 人間の貴族にしては礼儀正しいな

気に入った、 と言ってやりたい所だが、 私が気に入る気に入らないで物事を

決める訳にもいかないのだ、 我々は連中の世話で食料やら何やらを世話している

如何にかならないのか?」

「如何にか、 とは?」

「損失の補填だよ」


ヒは冷静に言った。

しかしながら冷静さの下に渦巻く欲望は隠しきれていない。


「それではスイムに補填は出させます」

「むっ? スイム? 女の権利とか言っている連中か?」

「えぇ、 彼女は私からの支援と国からの支援で潤っている筈です

私はこちらには旅行者を装って来ているので手持ちが有りません

一旦彼女から出して貰おうと思います」

「まぁ私は金さえ出して貰えれば文句はない

しかしながら早急に立ち去って頂きたい」

「御安心下さい、 馬車の調達は今の所ちびちびとしか来てませんが

大量に調達出来る目途が立ちました、 来年までには全員退出出来ます」

「なら良いが・・・くれぐれも面倒はかけるなよ」


ヒはそう言ってエルフ達を連れて去って行った。


「こ、 公爵閣下、 御見苦しい所を見せて申し訳ありません」


ダッグが頭を下げる。

舌打ち。


「え?」

「うん? どうかしたのダッグ君?」

「い、 いえ・・・」

「まぁダッグ君、 今回はサポートは入れましたがね

君で対処して欲しいと言うのが正直な感想」

「あ、 は、 はい、 すみません」

「君にはここを提供して貰ったから良しとしていたが

それもままならないのは少し問題かなぁ」

「・・・・・すみません」

「別に良いんだよ

ただ文句を言うとしたらダブルプラスディザスターさんが居なくなった所かな

まさかあんなにスッと居なくなるとは思わなかった

私としても居て欲しかったが」

「すみません」

「いやダブルプラスディザスターさんが居なくなったのは

ダブルプラスディザスターさんの意志だから君が謝る必要は無いよ

でも残念かなぁって思う」

「・・・・・」


舌打ち。


「すみません」

「謝らなくて良いって、 ダブルプラスディザスターさんの居場所に心当たりは?」

「・・・ありません」

「あ、 そう、 じゃあ私はスイムの所に行って来る」

「お気をつけて」


黙って去って行くアーベントロートと護衛だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ