ガバメント・オーガナイゼーション
湯あみを終えたベネルクス95世は着替えた後に化粧を始めた。
とは言っても自分では無く王室専属のスタイリストに任せている。
「うんうん、 良い髪だね、 王室の中でもここまで良い髪質なのは珍しい」
「ありがとうございます」
スタイリストがベネルクス95世の髪を褒めながら髪をセットする。
このスタイリストはベネルクス94世の妾の子でありベネルクス95世の腹違いの兄である。
ベネルクス王国の職業規定にベネルクス王国に自発的に触れられるのは
極めて信用が高い者のみと言う規約がある。
それ故に必然的に周囲のメイドや執事といった世話役も
基本的に高位貴族のみで構成される。
「でも少しピりついているね、 何か有るの?」
「大臣共と会議です」
「あらら~、 何時も大変だね、 王様にならなくて良かった」
「貴方ではなれないでしょう」
「それもそうだね」
会話しながらテキパキと髪をセットするスタイリスト。
彼は妾とは言え王族の子だが権力はまるで無い。
しかしながら彼は莫大な財と名声を勝ち取っている。
貴族の専属スタイリストになるには彼の元で修行して彼の認可が必要である。
即ちベネルクス王国の著名なスタイリストの多くは彼の弟子である。
更に市井にも彼の腕は知れ渡り、 スタイリストを志すなら
彼の書いた指南本が必須であり、 彼には多額の印税が入るのだ。
「さ、 これで良いかな」
「えぇ、 ありがとうございます」
ベネルクス95世は立ち上がり大臣達が待つ議事堂に向かった。
ここでベネルクス王国の政治形態について話しておく必要が有る。
ベネルクス王国には幾つか省庁が存在する。
その省庁にはそれぞれ幾つかの班が存在し、 班を班長が統括する。
そしてその班長達の上には長官が存在する。
そして省庁の中でも似通った系統のグループを一括りにし
彼等を纏め上げる大臣が存在する。
大臣の補佐として貴族から選出される貴族次官と
省庁から選出される事務次官が存在している。
その大臣達との合議で大まかな政治の流れを決定し王命の元に実行する。
その結果、 問題事が有れば貴族達が言上し適時修正する。
参勤交代で行われる門閥の御前会議もこの大臣達の会議に取り入れられ反映される。
図にすると
☆国王(最終決定権を持つ最高権力者)
〇特命省(国王直属の省庁、 緊急時に特命を与えられて行動を行う)
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◇宰相(実質的な国家の№2、 大臣首席)
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|(以下順不同だが地位としては同列)
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●農務大臣(国内の農耕などの食料生産関係の省庁を担当)
・農耕省(農耕に対する諸々を担当、 果樹園も含まれる)
・畜産省(畜産に対する諸々を担当)
・釣魚省(釣魚に対する諸々を担当、 川釣りがメイン、 省庁屈指の日陰者)
・嗜好省(酒や煙草に対する諸々を担当)
・貯蓄省(貯蓄に対する諸々を担当)
●法務大臣(法律関係の省庁を担当、 尚裁判所は別系統の権力機構になる)
・法備省(法の整備を担当)
・法持省(法の維持を担当)
・刑罰省(刑罰に対する諸々を担当)
・民権省(国民の権利擁護を担当)
・監査省(監査を担当)
・出入管省(国民の出入国の管理を担当)
●教育大臣(教育関係の省庁を担当)
・教育省(教育整備を担当)
・文芸省(文化発展に対する諸々を担当)
・スポーツ省(スポーツ教育全般の諸々を担当)
・文具省(文房具や学校機材の製造を担当)
●神祇大臣(宗教関係の省庁を担当)
・教会省(協会に対する諸々を担当)
・背審省(教会の不正監視を担当)
・異管省(異国の宗教に対する監視を担当)
●衛生大臣(衛生関係の省庁を担当)
・医療省(医療に対する諸々を担当)
・薬品省(薬品に対する諸々を担当)
・衛生省(衛生環境の維持を担当)
・安楽省(精神健康に対する諸々を担当)
●技巧大臣(あらゆる技術関係の省庁を担当)
・技術省(科学技術に対する諸々を担当)
・魔術省(魔術に対する諸々を担当、 現在縮小が始まっている)
・薬学省(薬品間髪に対する諸々を担当)
●財務大臣(財務関係の省庁を担当)
・財政省(健全財政の確保を担当)
・国税省(国税の徴収を担当)
・国庫省(国庫の管理を担当)
・外貨省(税関などの国外にまたがる金の管理を担当)
・賭博省(カジノなどの賭博場の金の管理を担当)
●軍務大臣(武関係の省庁を担当)
・騎士省(騎士に対する諸々を担当)
・近衛省(王を守る近衛騎士団に対する諸々を担当)
・警邏省(警邏に対する諸々を担当)
・武術省(武術に対する諸々を担当)
・防衛省(国土防衛を担当)
・国境省(国境警備を担当)
・戦備省(予備戦力に対する諸々を担当)
・武器省(武器に対する諸々を担当)
●内務大臣(国家内政務関係の省庁を担当)
・国土省(国土に対する諸々を担当)
・臣民省(国民に対する諸々を担当)
・開墾省(開墾に対する諸々を担当)
・対災省(災害に対する諸々を担当)
・道路省(国内の道路に対する諸々を担当)
・馬車省(馬車に対する諸々を担当)
・情報省(国民に対する情報の諸々を担当)
・決闘省(決闘に対する諸々を担当、 但し今は殆どの業務をEUDMOが受け持っているので仕事はほぼ皆無)
●外務大臣(国家外政務関係の省庁を担当)
・外務省(国家外政務関係に対する諸々を担当)
・迎賓省(国外からの来賓に対する諸々を担当)
●民部大臣(民間への支援と国民の権利拡充関係の組織を担当、 昨今の人権意識の高まりにより新設)
・民援省(民間団体への支援を担当)
・救貧省(貧困者への支援を担当)
・女長省(女性への支援を担当)
・鳥獣省(亜人への諸々を担当)
この様になる。
これらをひっくるめてベネルクス王国政府と呼称する。
実質的に国王と宰相、 そして11人の大臣がベネルクス王国を左右しているのだ。
大臣達には家格の差があるが彼等大臣の絶対のルールとして地位は同列である。
いかな大臣とは言え国王よりは格下なのだ。




