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コンビンシング

再誕歴7701年メイ15日。


カジノ・アタリメ第五号館内レストラン【ベーコン・ヒッツ】。

二人の男が向かい合って食事をしているカ・クヨムとナーロウである。


「・・・・・フロッグって奴は途中で辞めたって聞いたけど

あのおばさんは如何していなくなったか聞いたか?」


カ・クヨムがナーロウに尋ねる。


「・・・知らん」

「そうだな、 オッサンは何時居なくなる予定だ?」

「・・・・・如何言う意味だ?」

「いや、 俺達は毎日儲けて、 途中休んでも9万ユーロを手にしている

これだけあれば充分じゃねぇの? って話だ

抜けても問題無いんじゃないか?」

「・・・まだ足りん」

「あ、 そう」


ベーコン・ヒッツ・バーガーをサイダーで流し込むカ・クヨム。


「げふ、 まぁ良いさ、 でもオッサン、 気が付いているか?」

「何がだ?」

「カジノで俺達の後を付けて来ている奴が居る」


そう言って指を指すカ・クヨム。

指の先にはフェザーが居た。


「あのガキ、 カジノで俺かアンタの傍に

そして今この店で一緒だ」

「・・・・・気にし過ぎじゃないのか?」

「いや、 そうでもない、 と言うかアンタが気にし無さ過ぎだ

アンタ、 ちょっと酒臭いぞ? 呑んだか?」

「昨日少し、 自分へのご褒美程度だ」

「ヴァカか? 俺達はさっきも言ったが9万ユーロ持ってる

充分殺してでも奪い取りたくなる額だろうが」


眼を見開くナーロウ。


「な、 何を言っている?」

「考えても見ろよ、 あのMr.Xって奴が俺達を生かす必要が有るのか?

ひょっとしたらフロッグもおばさんもMr.Xに殺されたかもしれねぇ

フロッグが居なくなった時は6万位は持っていた筈だ

殺し屋の単価をアンタは知っているか?」

「こ、 殺し屋・・・? そんな物小説の中だけだろう?」

「ふん、 割と居るんだよ、 金さえ払えば何でもやる輩が」


震えるナーロウ。


「無論だが俺も対策を練って金をいろんな場所に隠して置いてある」

「え!? そ、 そうなのか!?」

「あぁ、 アンタも何処かに隠しておいた方が良い

だがホテル備え付けの金庫とかは駄目だ、 アレは小さいから持っていかれる

だからと言って銀行に預けるのもバレるだろうな」

「じゃ、 じゃあ何処に・・・」

「そうだな、 ロッカーで良いんじゃないか?」

「ろ、 ロッカー?」

「そう貸しロッカーが有っただろ? あそこには見張りも居たし問題ねぇだろ」

「い、 いや分からない、 ど、 何処?」

「・・・・・んじゃあ今日の金を置いた後に教えてやるよ」

「わ、 分かった」


そう言って二人は食事を終えて立ち去った。





「動いたわね」

「そうですね」


共に食事を摂っているフェザーとサン。

二人共プレーンなハンバーガーを食べている。


「お口に合いますでしょうか?」

「正直に言うと、 こういう濃い味付けはとても好き

普段の食事が悪い訳では無いけども」

「それは良かったですね」

「で、 動かないの?」

「いや、 こっちを向いて話しをしていたので

気が付かれたかもしれません、 一旦泳がせて

『関係無いのかもしれない』と疑惑の種を植えましょう」

「そう・・・」


注文したフルーツジュースを飲むサン。


「所でフェザー、 彼等を見てイカサマの内容は分かった?」

「全く持って分かりません、 彼等は件の機械を見て判断している

その事は良く分かる、 しかしながら一体如何言う仕組みなのかが怪しい

ウィルパワーの類は感じなかったので単純な機械としての機能で判断している」

「難しいわね・・・とっかかりが欲しいわね・・・

今日は一旦私とぶらぶら・・・で、 デートでも如何?」


誘ってみるサン。


「御冗談を

しかしながら今までにしない行動をしてみるのは良いかもしれませんね」

「今までにない行動?」

「えぇ」



再誕歴7701年メイ16日。


大小当てのテーブルに共に座るフェザーとナーロウ。

場に出ているカードは4。


「上100」

「・・・下10」


ディーラーがカードを捲る。

捲られたカードは2、 ナーロウはチップを受取る。


「ふぅむ、 幸運な方ですね!!」

「え、 えぇ、 まぁ・・・」


フェザーはにこやかにナーロウに笑いかける。


「じゃあ次のゲームですね上に200」

「・・・・・う、 上に10」


カードを捲るディーラー。

捲られたカードは5。

互いに勝利した。


「大丈夫ですか? 汗が凄いですよ?」

「い、 いえ、 大丈夫です」

「そうですか

じゃあ次」

「え?」

「次のゲームですよ、 下に50」

「・・・・・し、 下に10」


カードを捲るディーラー。

捲られたカードは6。

互いに敗北した。


「うーん、 ここで止めておきますか」


フェザーは立ち去った・


(なるほど、 賭け事も戦いと一緒と言う事かやってみて初めて分かった

そう言う事か・・・)


フェザーは得心がいったのだった。


「「ふっー・・・・・」」


ディーラーとナーロウは互いに溜息を吐いた。


「ん?」

「若い御客様のお相手は疲れるので」


ディーラーは疑問そうに見るナーロウに答えるのだった。


「そうか、 私はまだ居るからこれからも頼むよ」

「えぇ・・・よろしくお願いします」


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