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プリーズ・エクスプレイン

スクイド男爵領に向かうスクイド男爵の馬車。

過日のパレードの様な派手な代物では無く実用的な馬車である。

大きいが見た目は地味でスクイド男爵の馬車と思う者は少ないだろう。

しかしながら馬車を引いている馬は見る者が見れば驚愕するだろう。

馬車を引いている馬は全てヘロド系※1である。



※1:イギリス帝国に伝わるサラブレッド三大始祖の一つ

”大佐軍馬”バイアリータークを始祖とし

その子孫であるヘロドを経由するサラブレットの事を指す。

ヘロド系は競走馬としても活躍するがサラブレッド三大始祖の中でも

バイアリータークが唯一軍馬としての経験があるからか

ヘロド系は軍馬として非常に優秀な血筋と言える。

当然ながらサラブレッド三大始祖は全てイギリス帝国が所有している為

サラブレッドを手に入れるにはイギリス帝国との交渉が必要になる。

しかしヘロド系は軍馬としてヨーロッパ戦役に数多く投入された結果

鹵獲され種付けの後にヘロド系はヨーロッパに広まった。

尤もやはりと言うべきか本場イギリス帝国のヘロド系には劣るが

それでも他の馬と一線を隔する馬力と価格を誇る。



とんでもない力で馬車を引き力強く走る。

大きな馬車だが、 馬の数は優に二十を超えており

それを御する御者も凄まじい力量なのが見て取れる。

その馬車の中で向かい合うスクイドとフェザー。


「さてと、 初めましてかなフェザー君、 俺はスクイド

一応ハウバリン公爵門閥で男爵をやらせて貰っている」

「初めまして、 フェザーです」

「初めまして、 ベルモンド伯爵令嬢のサンです」

「何故ベルモンド伯爵令嬢も来ているのか不思議だな」

「フェザーは私の執事です」

「なるほど」

「所でスクイド男爵、 この状況について説明して頂いても宜しいでしょうか?」

「この状況?」


サンの言葉に首を傾げるスクイド。


「父上に唐突にフェザーを貸せと言われて、 用が有れば私も行くと

準備を殆どせずに馬車に乗っているこの状況ですよ

そもそも何処に向かっているのですか?

いや、 行先も知らないで馬車に乗っている私達も私達ですが」

「不用心、 とは言わないね、 フェザー君は強いからね」

「貴方と戦って勝てるか怪しいですけどね」

「まぁ、 俺は金持ちだし」


首を傾げるサン。


「妙な謙遜ね、 フェザー」

「いや、 多分男爵強いですよ」

「あぁ、 俺は金持ちだからな」

「・・・・・それで一体如何言う状況だが説明して貰えますか?」

「うん、 良いだろう

まず初めにフェザー君、 君の騎士受勲についてだが

貴族や騎士達の中に反感を抱く者が居る」

「何ですって?」


不愉快になるサン。


「幾ら実力がある決闘者とはいえ、 元平民だ

貴族からは軽んじられるだろう、 そこで君が貴族に相応しい人間か試せる場を用意した」

「試す、 ですって?」

「そう、 この前の決闘も『チーズが居たから』と考えて過小評価する奴が多いんだよ」

「フェザーを知らない人間が言いそうな事ね」

「そしてチーズを知らない人間が言いそうな事です

チーズに 決闘代行(仕事)を依頼するのは頭が可笑しい

彼は人間が出来ていない」


フェザーのチーズディスが炸裂する。



「まぁ良いさ、 しかし丁度良い所に問題が起こった

この俺、 スクイド男爵が経営する【カジノ・アタリメ】にて可笑しな輩が現れた

【Mr.X】なる人物に70%の確率で勝つ方法を教えられたらしいチンピラだ」

「・・・・・?」

「Mr.X? とは一体?」

「分からん、 正体不明の謎の人物だ

事の発端はカジノ・アタリメに現れた一人のチンピラ

そいつが急に暴れ始めてな、 警備員に取り押さえられた後に

ベラベラと喋り始めたんだ」

「喋り始めた? 一体何を?」

「『自分はMr.Xに雇われて7割で勝てる必勝法を教えられ

その必勝法を実証し金を稼いでいる』と言う事だ

大まかにはもっと詳しく話していたが」

「・・・・・詐欺の受け子※2 みたいな事ですか?」



※2:詐欺事件でお金を騙しとる相手から、

現金を直接受け取ったり宅配便などで送られてきた現金の入った荷物を受け取る役目をする者。



「いや、 詐欺じゃない、 普通に勝っているらしい」

「じゃあイカサマでは?」

「多分俺もそう思うが、 イカサマの手段が分からないから対処出来ない」

「分からない?」

「チンピラ本人は指示に従っているだけで

一体どういう事か事情は分からない」

「指示に従う? じゃあ指示を出している者に話を聞けばいいのでは?」

「うーん・・・・・何と説明したら良いのか・・・」


明らかに困惑しているスクイド。


「そっちは実物を見て貰うとして

Mr.Xが手下にしているのはチンピラの他に4人

君の元同僚、 フロッグ・タッドポラ。

採用試験に来た優秀な人材を全員返した老害、 ナーロウ

地方商会の共同経営者、 カ・クヨム

ゴディバ公爵門閥最悪の貴族、 アルファ・ポリーヌ

この4人の行っている7割必勝法が如何言う物か調べて欲しい」

「フロッグが? あのヴァカ・・・何をやってるんだ」


呆れるフェザー。


「・・・一つ尋ねたいのですが」


サンが尋ねる。


「どうぞ」

「その必勝法とやらがまかり通るのならばそれは博打のルールに問題が有るのでは?」

「御尤もな話だ、 必ず勝てる方法が有るゲームなんてただの欠陥品だ

だがしかし、 必勝法とやらがイカサマならば話は別

カジノ・アタリメは誰にでも公平なカジノだ、 俺のカジノでイカサマは許されない

公平性が無いカジノはクズだ、 俺のカジノはクズでは無い

俺のカジノの公平性を損なわせる真似をする様な奴には俺も公平性を欠いた行いをする他ない」

「公平性を欠いた行いね・・・」

「そもカジノで生計を立てている俺のカジノでそんな事をするのは

俺を殺しに来ていると同じだ、 許す訳にはいかない

本来ならば徹底的に調べる所だが、 今回、 フェザー君に問題解決をお願いしたい、 出来るな?」

「・・・・・分かりました、 やいのやいの言われるのは趣味では有りませんし

あまり本位では有りませんが力を見せつける事にします」

「話が早くて助かるよ」

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