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アフター・ストーリーズ

フランク王国だったがオーストリア帝国の領地になったとある片田舎の森。

その森には放置されたあばら家にて。


「マジないわー」

「糞程役に立たねぇ連中だな!!」


愚痴っている女二人。

ピンクブロンドの鬘とカラーコンタクトを付けてルドウィカ=ロートリンゲンを演じていた

三文役者※1 ハーモニカ。

クロヴィスに雇われてリヒテンシュタイン大公の愛人だった少女に成り済ましていたのだ。

もっと良い役者を使えと読者諸賢は思うだろうがまともな役者はこんな役を演じない



※1:文とは通貨単位の一つ、 かなり安い。

それが三つしかない、 ほぼ無価値。

即ち三文役者とは素人に毛が生えた程度の役者である。



そして荒々しく髪の毛を切って黒く染めているメンソール。

彼女はハートレスが捕まった事をしって今まで演じていた愛らしい少女の演技を捨てた。

このままでは共犯、 否、 脱獄させた責任を問われ捕まってしまう。


「これから如何する? あのトリニティーとか言う魔法使いの手下の・・・」

「・・・・・名前忘れたけどあいつ等居なくなっちゃったし

まぁあんな奴居なくても如何でも良いか!!

それよりこれからどうしよう・・・」

「バレエでもやる?※2」



※2:この世界のバレエダンサーは現実と違い地位の低い人が身を立てるためにやっていたため

バレエダンサーは蔑みの対象だが女性なら誰でも出来る職業である。

だがしかしバレエダンサーをしたという事は恋愛や結婚にマイナスに働く事も大きい。

何故そんな事態になるのかはフランスの画家エドガー・ドガ氏の

『踊りの花形』と言う絵について調べて頂くと分かり易い。

少なくともここで記載する事は出来ない。



「顔出ししたくない、 バレエダンサーをやる位なら娼館にでも行った方がマシ」

「それもそれで嫌な生活よ・・・少なくとも私は顔バレしてないし

貴女も顔バレはしてないんじゃないの? 演説には顔出しして無かったし」

「どうだか・・・」

「まぁ私はこれから適当に馬車を捕まえて大きい町に行こうと思うよ」

「あ、 そ、 私は身バレが面倒だから田舎に行くわ、 短い間だけど

多分もう二度と会わないわね」

「そうね、 達者でね」


事実、 メンソールとハーモニカの人生は二度と交わる事は無かった。

しかしながら面倒を避けたメンソールが面倒に巻き込まれるのはまた別の話・・・。








一方その頃、 オーストリア帝国のウィーン、 シェーンブルン宮殿の一室にて

一人の男と向き合い座るフェルディナント。


「貴様は・・・・・えっと・・・誰だったかな?」


フェルディナントは男の名が思い出せなかった。


「ジャッカルです、 ジャッカル・ミッターマイヤー」

「あぁそうだった、 そうだった

確か宮廷決闘者のロージーの兄で彼女と宮廷決闘者を争った」

「我がミッターマイヤー家は代々宮廷決闘者を輩出してきた名家故に兄妹同士で戦う事もありましょう」

「それで何用だ?」

「ロージーが国外の決闘者に敗北したと父から聞きましたが事実ですか?」

「あぁ事実だ、 まぁ負けても仕方ない相手だったが」

「いえ、 負けは負けです」

「うん?」


ジャッカルの言葉に不穏な物を感じたフェルディナント。


「まぁ負けは負けだが君には関係無かろう」

「いえ、 私もロージーに負けてから鍛え上げ既に奴を超えています」

「それで?」

「ロージーの宮廷決闘者の座を私にお譲り下さい」

「それは無理だな」


フェルディナントは即答した。


「何故ですか? 私は奴よりも強いですよ?」

「力量差は関係無い」

「如何言う意味ですか!?」

「落ち着け、 ロージーは先日付で既に宮廷決闘者を返上した」

「な、 何ですって!?」


ジャッカルは立ち上がって叫んだ。


「個人的にはまだ宮廷決闘者の地位に座って欲しかったが

妹の留学が決まったので護衛として一緒に行ってもらう事にした」

「な、 ならば空いた宮廷決闘者、 私が勤めましょう!!」

「ロージーからの推薦で後任にはアーダが宮廷決闘者になる事になった」

「何と!? ならば私とアーダで決闘を行って勝った方が宮廷決闘者に」

「それは無理だ」

「無理!? 何故!?」

「私は強さのみで宮廷決闘者を決めている訳ではない

信用や世間からの支持も反映している」

「信用が無いと!?」

「じゃあ聞くが君はこれまで一体何をしていた?」

「・・・・・何をしていた? 山にこもって修行ですがそれが何か?」

「仕事は?」

「無職です」

「正直決闘者の経験が無いと採用は厳しいぞ?」

「ぐ・・・経験・・・必要ですか!?」

「最近、 決闘はしたか?」

「い、 いえ・・・」

「じゃあ駄目だな、 今度は決闘をするなりして経験を積むが良い」

「むぅ・・・分かりました・・・」


とぼとぼと帰るジャッカルだった。







リヒテンシュタイン公国のとある場所にて。

立会人達がわらわらと集まっていた。

立会人に炎や爆発で攻撃を加える二人の魔法使い、 カッツとフリギオ。

不幸な事にリヒテンシュタイン公国で行われた決闘を遠くで見てしまった。

決闘の当事者や見物人は立会人によって記憶を消された(・・・・・・・)

彼等は気の毒な事に如何でも良い人物の為にそんな配慮は成されない。

生きて帰れる事は無いだろう。

もしも彼等がトリニティーと出会わなければ。

否、 詮無き事を言うのは止めよう。

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