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グルーミー・オーディエンス・ルーム

再誕歴7701年エイプリル14日。


ベネルクス王国首都国王直轄領ブリュッセルの

ブリュッセル王宮の謁見の間に今回の件の関係者が集められた。


オーストリア帝国に居たフェザー、 チーズ、 ポリニャック、 サン。

リヒテンシュタイン公国に居たジョン。

そして無関係だがついでに帰る際に拾われたダゴンとビースト。


チーズとジョン以外は何故か皆暗い表情をしている。


「普通だったらもっとゆっくり帰って貰う所だけど急に帰って来てすまないな」


玉座のベネルクス95世が重々しく口を開く。


「いえ、 緊急事態(・・・・)ですので・・・」


ポリニャックが謙遜する。


「まぁ何か企んでいると思われたく無いからな、 それは仕方ない

所でセルデン侯爵の子、 ラダーは如何した?」

「・・・・・」

「・・・?」


ジョンがぼーっとしている。

首を傾げるベネルクス95世。


「ジョン様」

「え? 何だよフェザー」

「陛下がラダーさんは如何したのかと・・・」


フェザーがフォローに入る。


「え、 あ、 も、 申し訳ありません・・・

ラダーは決闘の時から少し落ち着きが無い状態でして・・・」

「PTSD※1か?」



※1:post-traumatic stress disorderの略。

命の安全が脅かされるような出来事によって強い精神的衝撃を受けることが原因で

著しい苦痛や生活機能の障害をもたらしているストレス障害の事。

主に戦場での経験が元になっている事が多く、 戦闘ストレス等と呼称される事もある。



「さぁ・・・まぁ女性ですし神経が細いのでしょう

私は良く分からないので後で担当医から話を聞いた方が宜しいかと」

「そうか・・・」

「陛下、 私からもお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「如何した?」

「何故だか皆さん暗いのですが・・・まさか敗北したのですか?」


ジョンの言葉に一斉に驚愕して凝視する一同。


「セルデン侯爵の息子・・・お前何も聞いていなかったのか?」

「え・・・な、 何がですか?」

「ドラゴヴァニアで内乱が起こった、 国家元首のレックス以下上層部はほぼ壊滅し

アースが政権を奪取、 ヨーロッパ連合としてはこの政変によって

ホーク※2のアースによってドラゴニュート達が戦争を仕掛ける前に先制攻撃で

ドラゴヴァニアを殲滅する事が決まった」



※2:政治思想の傾向の分類であり

好戦的で戦争など武力を辞さない姿勢を持つ集団や人物を指す政治用語である。

ウォーホーク、 タカ派とも呼ばれる。



「・・・・・」


唖然とするジョン。


「ヨーロッパ連合がヨーロッパ連合加盟国を殲滅・・・?

本当にそんな事が?」

「理屈ではヨーロッパ連合加盟国のドラゴヴァニアを

ドラゴヴァニア内の敵対勢力が攻め込み崩壊させたので

その敵対勢力を排除しに行くと言う事だ」

「それって・・・アリなんですか?」

「言いたい事は分かる、 しかし私も最低限のケアは行った

ドラゴヴァニア外交官スプリングと亡命して来た彼の親族は亡命を認めた」

「・・・・・」


ジョンは、 いやここに居るチーズ以外の者は

『ドラゴヴァニアに住む大勢からすればそんな数を救った所で何になるんだ』と思っただろう。

ベネルクス95世も思った。


「まぁ、 別に良いんじゃないか?

ベネルクス王国から逃げたヴァカ共が起こした騒動は解決出来て

ハートレスも捕まえられた、 ドラゴヴァニアが滅んでも

寧ろウザい隣人が居なくなったと考えれば良い」


チーズの空気を読まない一言にフェザーはキレた。

チーズの胸倉を掴むフェザー。


「お前ッ!! ドラゴヴァニアには子供もいるんだぞ!?

非戦闘員も居るだろう!! ホーク以外の連中も居る!!

丸ごと殲滅は可笑しいだろうが!!」

「俺様関係無いしー、 他の連中に言えよ」

「っ!!」

「フェザー!!」


激昂するフェザーを止めるサン。


「・・・陛下の御前よ、 弁えなさい」

「・・・・・」


歯軋りをするフェザー。


「・・・・・概ねチーズの言う事は間違っていない

我が国に責任はない、 だが口に出すのは可笑しいだろう、 弁えよチーズ」

「さーせん」


ベネルクス95世の言葉に心のこもらない謝罪をするチーズ。


「・・・これからドラゴヴァニアに対してヨーロッパ連合軍が攻め込むでしょう

皆さんには戻って来て貰ったのは我が国が何かしらの因縁をつけられない為です」

「それが普通でしょう」


ベネルクス95世の申し訳ない口調を宥めるポリニャック。


「・・・・・決闘を行った諸君等には褒章を取らせる

フェザー、 君には騎士受勲をさせよう

嫌だと言っても断れないぞ」

「は?」

「へ?」


困惑するフェザーとジョン。


「嫌だと言っても? どういう事ですか?」

「フェザー当てのラブコールが凄いので君を守る為だ

フェザーにだけだと依怙贔屓ととられかねないのでジョンとチーズにも褒章を取らせる」

「じゃあ俺様欲しい物が有ります!!」


びしっ!! と手をあげるチーズ。


「・・・何だ?」

「ハートレスが治めていた領地が欲しいです!!」

「・・・遠まわしに貴族になりたいと言っているのか?」


ジョンが威圧する。


「いや? 俺様は既に世界最強だからそんな貴族の位には興味が無い

でも領地があれば街とか色々作れるじゃん?

【ブラック・シンゲツ・コーポレーション】の街!!

みたいなのを作りたい」

「・・・・・いや、 それは・・・君には領地経営の経験が無いだろう?」

「カロリングがやってくれるそうです」

「えぇ? カロリングが?」

「ご確認取って貰って構いません」

「・・・・・ならば確認を取ろう、 ジョンは何か欲しい物は有るか?」

「そうですね・・・では次期セルデン侯爵の地位を」

「それは父親から貰え」


ベネルクス95世がびしっと言った。


「・・・・・では少々変な気分になっているので国内最高の医者を」

「変な気分? 良いだろう」

「ありがとうございます」

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