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ワン・バーサス・ワン

修練場を見下ろす様にシェーンブルン宮殿の中からフェザーの戦いを見ていた

ロートリンゲン家とサン。


「はわぁ・・・・・」


エイミーが上気した表情でフェザーを見る。


「これほどとはな、 流石はポリニャックが太鼓判※1 を推す訳だ」



※1:太鼓の様な大きい判子、 転じて高い信頼性の事を指す。

一般的に判子の信用度と大きさは比例するので太鼓の様に大きい判子は非常に信頼が高い。



マデリーンが感嘆する。


「今は亡き衛星卿※2 を思い出すな・・・動きに無駄が無い」



※2:シンゲツ・バロッグの事。



フェルディナントが目頭を押さえる。

彼もまたバロッグに助けられた身、 当時の情景がありありと浮かぶ様だった。


「良い男をひっかけたわねサン」

「お、 お母様・・・」


頬を赤らめるサン。


「100人中99人が既に倒されている

もう実力は図れましたしここまでで宜しいのでは?」

「いや、 折角だから最後まで見ようじゃないか」


マデリーンの提案を却下するフェルディナント。


「わ、 私も彼をもっと見たい・・・」


エミリーが顔を緩ませて言う。


「おやおや、 彼も罪作りな男ねぇ・・・」


ポリニャックは笑った。






一方修練場ではフェザーとロージーが対峙した。


「これで1対1か・・・まぁ決闘(普段の仕事風景)と思えば良いか」


ロージーが構える。

宮廷専属の決闘者としてのプライドか彼女の顔に焦りは見えない。


「爪・・・いや、 ネイルアートか」

「その通り」


ロージーはネイルアートにウィルパワーを流す事でネイルアートを強化して操る事が出来る、 が


「ビーストと被ってる」


鉄爪を武器とするビーストと爪と言う点で被っており

文字通り飽きる程ビーストと戦ったフェザーにとって分かり易い相手である。


「じゃあこれは?」


フェザーに指差すロージー。

ネイルアート一本にウィルパワーを集中し伸ばす。

そのスピードは凄まじい。


「指差しからは逃げるのが当然だよね※3」

「そりゃそうだ」



※3:指を指すと言うのは本来呪術的な意味合いを持ち

指を指すと言う事は何らかの攻撃の前兆と捉えるのが望ましい。

また指を指す行為は重篤なマナー違反であり

その場で指を切断されても文句は言えない。



当然ながら避けるフェザー。

そして伸びたネイルに触れる。


「!!」


ロージーはネイルアートを瞬時に外した。

そして崩れるネイルアート。


「ウィルパワーを流し込んで攻撃しようとして来た!!

多彩な技を持つな!!」

「まぁこの程度はやらないと」


そして即座に距離を詰めるフェザー。

即座に迎撃するロージー。

だが爪を振り下ろす前に腕を弾かれ殴られ吹き飛ばされる。


「しくじったか・・・」


殴った瞬間、 フェザーは仕留め損ねたのを感じた。

フェザーはこの100人組手に置いて致命的な攻撃を繰り出していない。

当然ながらフェザーは無益な殺生を好まないし今回はする必要は無い。

全力は出していないが手加減も無かった。

故に通常よりも弱い攻撃だったのは認めよう。

それでもべヴィ級ボクサーの攻撃よりも強いパンチだったが・・・


「げほ、 げほっ・・・」


ロージーには効いていなかった。

血を吐きながらも尚も立ち上がるロージー。

効いているじゃないか!!と読者諸賢は思うだろう。

しかしながらこの様な格言がある

『人の状態には二つある、 動けるか、 動けないか』

即ち動けると言う事はノーダメージと言っても差し支え無い。

そして


「くっ、 あぁ!!」


ロージーはフェザーに向かった。

何故ロージーは動けるのか?

手心は加えられてもS級決闘者の攻撃はS級決闘者の攻撃。

通常ならば耐えられる筈が無い。

しかしながらロージーはネイルアート、 もとい爪にウィルパワーを流して操る事が出来る。

爪とは皮膚の一部である、 ならば皮膚を強化して耐える事も可能である。

通常ならば多少皮膚が鉄の硬度になる位だがフェザーに攻撃されるという緊急事態に

ロージーは覚醒、 皮膚を宝石並の硬度にする事が可能になった。

加えて身体能力の向上も可能になった。

この組手が始まる前と今ではロージーはまるで別人である。


「ああああああああああああああああああ!!!」


ロージーの連撃、 ロージーを知る者ならば目を疑う程の超高速の連撃。


「流石に無理か」


フェザーは素手の対処を諦め、 決闘者から剣を拝借して応対する。

フェザーが剣で受ける事を選択するだけあって恐ろしい手数、 とは言え。


「伸びしろは有るけども宮廷決闘者で満足しているのか鍛錬を怠けてたな」

「ッ!!」


図星のロージーだった。

自分がオーストリア最強と胡坐をかいていた結果がこれか。

尋常じゃなく悔しい、 自分が両手で必死になって攻撃しているのに

S級決闘者は剣の一本で全てを捌ききっている。


「A級決闘者だからと言って精進を怠るな

君と同じA級決闘者で爪使いのビーストはもっと強い」


そう言ってロージーのネイルアートを全て叩っ斬り

ロージーの首に剣戟を叩き込む。

ウィルパワーで強化されていても鋭利さを抑え鈍器としての使用なので

気絶で済んだロージーだった。


「・・・・・国内の決闘者達にとってもいい刺激だったろう、 礼を言うぞフェザー」

「いえいえ」


ジョセフィーヌの言葉に謙遜するフェザーだった。

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