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ワン・ハンドレット

ウィーン、 シェーンブルン宮殿の修練場に集められたオーストリア帝国の決闘者100人。


「あーやだやだ、 こんな辛気臭い連中と一緒に待たされるとかうんざりだぁわ」


決闘代行業【アーダコーダ決闘代行】のA級決闘者アーダがぼやく。


「今回は国の命運がかかった決闘、 油断すると足元を救われますぞアーダ殿」


決闘代行業【オーストリア・グレイブス】のA級決闘者ダンベルが諫める。


「オーストリア決闘者五傑を含めた100人とは今日の選抜は豪華(ゴージャス)だなぁ」


決闘代行業【ゴージャス・ゴージャス】のA級決闘者ゴージャスが華麗(ゴージャス)な振舞で感嘆する。


「・・・・・」


腕組みをしながら巨漢のA級決闘者ワグナーが佇む。


「早く終わらせて欲しいわねぇ」


宮廷専属のA級決闘者ロージー・ミッターマイヤーはネイルを着けながら言う。


「静粛に!! ジョセフィーヌ様が来られる!!」


衛兵が叫び決闘者達は一斉に静かになる。

ジョセフィーヌがフェザーを連れてやって来た。


「誰だ? アイツ?」

「さぁ・・・存じ上げませんな、 ゴージャス殿は知っておりますか?」

「私も初見ね」


騒めきだつ決闘者達。


「えー、 今回は決闘者諸君に集まって貰ったのは何時もの通り決闘者の選抜だ

そのつもりで今回君達を呼び寄せたわけだが・・・」


ちらりとフェザーを見るジョセフィーヌ。


「今回ベネルクス王国のS級決闘者のフェザーが来たので

彼の強さを確認したいので100人組手だ」


一層騒めく一同。


「ちょっと待てよ!! なんでそんなガキに!!」

「遊びじゃねぇんだぞ!!」

「そもそも何で外国の奴が!!」

「俺は構わねぇぞ」


他の決闘者を差し置いてワグナーが前に出る。


「見た目ガキだが相当やると見た」


フェザーを見下ろすワグナー。


「如何やらやる気が出て助かるよ

それではまずはワグナーから始めると言う事で良いかフェザー?」

「から?」


聞き返すフェザー。


「戦う順番だよ、 ワグナーからでいいか?」

「オーストリア帝国では100人組手は一人を100人相手すると言う事ですか?」

「普通そうだろう?」

「面倒なので100人全員でどうぞ」


フェザーの言葉に騒めく一同。


「正気か? 100人同時に俺達を相手にすると?」

「えぇ」

「勝てると?」

「えぇ、 ジョセフィーヌ様が私の実力を疑問視しているので

せめてこれ位はやらないと」

「・・・・・ジョセフィーヌ様、 始めて良いですか?」


血管を浮き立たせて尋ねるワグナー。


「あ、 あぁ、 良いぞ、 始めろ」


その瞬間フェザーに殴りかかるワグナー。

ウィルパワーで強化された巨躯から繰り出される攻撃にガードは意味を成さない。

だがしかしフェザーはその力を逆に利用し投げ飛ばし壁に叩きつける!!

ウィルパワーで強化したパワーがそのまま我が身に帰った事によりワグナーは気絶し壁にめり込んだ。


派手(ゴージャス)!!」


ゴージャスは指を鳴らして自分の部下達を呼び集めた。


全力(ゴージャス)で行く、 時間を稼げ」

「「「「「了解しました!!」」」」」


ゴージャスは自らの全身に流れる

ウィルパワー(ゴージャス)を収束し相手に叩き込む大砲(ゴージャス)の使い手である。

何を言っているか訳の分からないと思うが貯めた分だけ強いビームが撃てると考えて良い。

更にゴージャスは自身のウィルパワーをゴージャスと認識しており

ウィルパワーじゃないのだからウィルパワーを防ぐ類の攻撃を貫通する特性を持っている。


「ゴージャス殿に後れを取るな!! 【オーストリア・グレイブス】の力を見せつけろ!!」

「「「「「「「「「「「「「「「おぉ!!」」」」」」」」」」」」」」」


ダンベルも檄を飛ばす、 【オーストリア・グレイブス】はオーストリア最古の決闘代行業。

パワーファイター揃いで隙が無い各々B級決闘者だが鍛錬を共にした彼等には強い絆があり

こういう団体戦では効果を発揮する。


「・・・・・あの小僧策士だな」


決闘代行業の面々が攻勢を仕掛ける中、 ぽつりと呟くアーダ。


「どういう事だアーダ?」

「ミッターマイヤー嬢、 あのフェザーとか言うガキ

明確に敵が多い方に突っ込んでいる、 連携が取り難い様に敵が多い方に向かう」


フェザーが取り囲まれる攻撃をされるが一番最初に攻撃が届いた槍を掴み奪い取って振り回す。


「徒手空拳なのも敵から武器を奪えば良いという感じか?

何方にせよやり難い相手だ、 決闘者と言う割には多人数への対策もしっかり出来ている」

「で、 如何するアーダ?」

「タルパ※1 だな」



※1:応身とも呼ばれるウィルパワー運用法の一つ。

ウィルパワーで自分のイメージした分身を構築し操る物である。

高度なタルパには自我が有る為、 単純に計算して二人分の戦力となるが

習得が難しく、 扱いも難しく、 ウィルパワーの燃費も良くは無い。

タルパを破壊されると著しくウィルパワーを消費するので危険である。

マイナーな部類の技術だが上位決闘者にも使用者が多く対策は必須である。



アーダは自身の傍に蛇の様なタルパを出現させた。


「さぁ、 こr」


アーダは投げ飛ばれた決闘者の一人に巻き込まれて吹き飛ばされた。


「タルパ・・・も壊されてるな

・・・投げ飛ばした決闘者にウィルパワーを纏わせたのか・・・ゴージャスもやられたか・・・」


次々と倒される決闘者達に背を向けるロージー。


「流石にこれは認めざるを得ないな・・・」


画してフェザーの強さが実証されたのだった。

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