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第十一話 【悲報】勇者レヴァイ、魔王城攻略に苦戦す

 ソイルを追い出して数日後の事である。


 勇者レヴァイは国王に頭を下げ、上位ヒーラーの斡旋を願い出ていた。


「ちっ、我が用意したヒーラーが力不足だったと抜かしおって。まあいい、数日の間には高レベルヒーラーを手配してやろう。ヒーラーが手配出来次第、魔王城の攻略を開始しろ」


「お、お待ちください!! いくら高レベルの人材だろうと、仲間との連携が出来なければ対応は無理です!! せめて半年……いや、2か月は訓練の時間をいただきたく」


 国王はそんなレヴァイを見下すようにジロジロと見る。そして、レヴァイに向かってネチネチと嫌味を言い続ける。


「のう、レヴァイ。お主が勇者となってもう12年も経つのう」


「はっ」


「その間、幾度となくお主の泣き言を聞いてやったが、果たしていつ魔王の首を拝む事が出来るのであろうかのぉ」


「……近いうちに、必ず」


「ほう、勇者殿はさぞ長命と見受ける。12年を近いうち、と言うとは」


 正直なところ、レヴァイはこの国王の事を良く思ってはいない。非常にねちっこく、それでいて非常に自己保身に対しての欲だけは強い。


 12年の歳月がかかってしまったのも、当初はまともな支給品を与えられず、仲間すらも自分で雇う必要があったからだ。


 最初の数年でなんとか単独で魔王四天王の一人を倒した時も、遅いだのポンコツ勇者だの罵られたのである。


「……ふん、よいか? ヒーラーは手配してやる。その代わり、魔王城攻略に即座にかかれ! これは王命であるぞ」


「……はっ」


 こんなことになるならソイルを追い出すんじゃなかった、とレヴァイの脳裏にそのような考えが浮かんだが、慌ててその考えを打ち消す。


 ソイルがパーティーに居る事、それはレヴァイにとっては不都合なのだ。



――数日後


「勇者様、皆様、初めまして! 僕はヒーラーのグレイと申します!!」


 ソイルよりはちょっと年上か、さらっと腰の長さまで髪を伸ばした白いローブを纏った男がレヴァイたち3人に挨拶をする。


「おう! 俺はナックルだ! よろしくな! これで魔王城も怖くないぜ!」

「僕はチェイス。よろしく。高レベルのヒーラーが来てくれて助かったよ」


 ナックルとチェイスはグレイを大歓迎で迎える、なお2人が上機嫌なのはレベルの高い仲間が来たからという以外にもある。


「さあ行け、勇者レヴァイよ!! 早々に魔王の首を取ってくるのじゃ!!」


 勇者を援助している国王が魔王城の攻略を急くあまりに、このまま魔王城へ突入する事になった事を喜んでいるのだ。


「よっしゃ、頼むぜグレイ!!」

「くれぐれも僕達に後れを取らないでね!!」


 ナックルとチェイスは上機嫌でそう宣言すると、グレイも


「はい!! 先輩方の足を引っ張らないよう、頑張ります!!」


 と満更でもない感じで返答をするのであった。


「……はぁ」


 この強行軍に不安を覚えているのはレヴァイただ一人、そしてレヴァイの心配は現実のものとなる。



 数日後、魔王城の入り口付近


「おっと、悪い、討ち漏らした!!」


 ナックルが敵を討ち漏らし


「ごめん、矢が切れた」


 チェイスが調子に乗って矢を切らしてしまった。


「あ、あわわわわわ」


 そしてヒーラーであるグレイはナックルを突破した敵の襲撃にただただ慌てるだけ。


 実際、後衛であるヒーラーに近接戦闘をさせる事がおかしいのである。


「グレイ、危ない!!」


 レヴァイはグレイと魔物の間に立ちふさがり、そのまま魔物の攻撃をモロに受ける。


「くっ!! ……撤退だ、撤退!!」


 全くと言っていい程魔王城の敵には敵わず、レヴァイ達は命からがら逃走する事となったのであった。



「ちっ、この役立たずが!! 我が求めたのは魔王の首ぞ? 魔王討伐までの猶予延長の申し出など求めておらんぞ?」


「はっ……申し訳、ありません」


 レヴァイはただただ頭を下げるばかり。


「我の手配した人材が劣っているわけがない。よって勇者、貴様の能力が低いからこのような失態を晒すのだ!! 分かったな?」


「はっ!! 次こそは必ず!!」


「その言葉ももう聞き飽きたわい!! 好きにせよ!! もうよい、下がれ」


「はっ!!」


 この国王、成功しようと失敗しようとネチネチと言葉で詰めてくるのだ。そのくせ、勇者の功績は自分の事のように、勇者の失態はレヴァイの采配ミスとして喧伝するため、レヴァイとしてはもう慣れたものだ。


 そのままレヴァイは謁見の間を後にし、宿に待つ仲間の元にと歩いていく。


 そしてその数日後、国中に勇者の魔王城攻略失敗の情報が駆け巡る事となる。


 その内容は、国王の多大な支援を受けた勇者がその支援を生かしきれず、無駄に浪費して帰って来た、と。

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