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第一話 【速報】勇者レヴァイ、魔王四天王最後の一人を撃破

やや不定期な更新になるかと思います。

よろしくお願いいたします。

「くっ!! まだかよ!! もうこれ以上は持たないぞ!!」


 勇者パーティーの壁役、巨漢の戦士であるナックルは右手に盾を、左手に斧を構え周囲の敵の攻撃を一人で受け切っている。だが数が多すぎ、今にも突破されそうだ。


「僕が援護してるんだから根性見せてよ、ねっ!!」


 弓使いのスナイパー、チェイスがナックルに襲い掛かる敵を弓で1体1体確実に仕留めていくが、数が多すぎて完全に多勢に無勢である。


「ナックル、大丈夫か!? ヒール!!」


 パーティーの回復役、ヒーラーのソイルは敵の猛攻を凌いでいるナックルに向かって回復魔法を放つ。柔らかな光がナックルを包み傷が塞がっていく。


「ありがてぇ、これでもうしばらく戦える!!」


 こんな3人の奮闘とはまた別のところで勇者レヴァイは一人、魔王四天王と対峙していた。


「ゆくぞ、これで終わりだ!!」


 魔王四天王はもはや満身創痍、レヴァイは大きく振りかぶり、止めの一撃を放とうとしている。大きな隙が生まれるが大きな威力を誇る攻撃。これで魔王四天王との戦いにも終止符が……誰もがそう思った瞬間であった。


「くっそ、突破された!! レヴァイ、気をつけろ!!」


 ナックルがそう叫ぶ。ナックルが敵の進行を食い止められず、3匹ほど打ち漏らした魔物が、隙だらけの勇者目掛けて突進しているところだった。


「ちょっとまってよ!! 矢が切れてこれ以上はムリ!!」


 こういう時にサポートに回れそうなチェイスは攻撃手段を失い、役に立たない状態になっていた。


 このままでは隙だらけの勇者に魔物が襲い掛かり、万事休すかと思われたその時――


「俺に任せろ!!」


 回復役であるはずのソイルがその魔物たちの前に立ち塞がり、そのまま武器として渡されていた錫杖で瞬く間に2体の魔物を打ち据え撃退する。


「ソイル!! 気をつけろ!! あと一体居るぞ!!」


 レヴァイがそう叫ぶがソイルは


「分かってる!!」


 と返答すると、そのまま大ジャンプしそのまま


「これでも食らえ!!」


 と飛び膝蹴りを最後の1匹の魔物にお見舞いする。


 魔物は声すら挙げる事無く、そのまま絶命した。


「はぁぁぁぁぁ!! セイントスラッシュ!!」


 レヴァイがそのまま大技を放ち、魔王四天王を撃破する。


 その瞬間、勇者パーティーは魔王四天王を全て撃破し、魔王城への進行ルートを確保したのだった。



「わっはっは!! これで後は残すところ魔王だけだな!! 何なら今すぐにでも攻め込むか!?」


 その日の夜、酒場で勇者パーティーである4人は酒を飲みながら談笑していた。


 戦士ナックルが上機嫌で強気な事を言えば


「うんうん、僕達なら余裕でしょ!」


 スナイパーのチェイスも上機嫌でそれに乗っかる。対照的にレヴァイとソイルは静かであった。


 レヴァイがエールをぐいっと煽り、そのままジョッキをダン、っとテーブルに強めに叩きつける。


「いや、俺達の今の実力じゃ無理だ。ナックルお前最後の最後で打ち漏らしがあっただろ?それに、その時チェイスも矢を全て使い切っていた。そんな事じゃまだまだと言わざるを得ない」


 レヴァイのサラサラの金髪が酒に酔って頭がフラフラしている頭に連動して靡く。碧眼がナックルとチェイスを睨むが、若干目が泳いでいる。


 勝利の美酒に酔いしれているが、それでも反省はしなければならないため説教をしているのだ。


 ソイルは「チームリーダーも大変だ」とでも言わんばかりに3人の会話に入らず、エールをちびちびと飲んでいる。


 黒髪に黒目のソイル、酒には強い方ではないものの、あまり飲んでいないのでこの場の他の3人よりも酔っておらず、色素が薄めの肌にほんのりと朱が差し余計に黒の髪と目を目立たせる。


 さらに世のヒーラーが好んで着用する白いローブもまた、彼の髪と目の黒さを強調している。


「レヴァイは慎重すぎるんだよ!! なあ、ソイルもそう思うだろ?」


 赤髪と髭を蓄えた、身長2メートル近くあるゴツいナックルがソイルに自分たちの主張を認めるように圧力をかけてくる。


 その横では青髪で小柄なチェイスが何も口に出す事はないものの「ソイルからも何か言ってやって」と言わんばかりに視線を向けている。


 ソイルはため息を吐き


「俺も今日の戦い方で魔王に挑むのは反対だ。一歩間違えれば負けていた。 ヒーラーとして、今一度鍛えなおす事をオススメしたい」


 と言いながらソイルは席を立つ。


「悪い、今日はもう寝る。 また明日な」


 3人に挨拶をし、ソイルは3人よりも先に宿に戻る。


「ちっ、ソイルの野郎も分かってねぇなぁ」


 ナックルはそう毒づくと、ジョッキのエールを一気に煽り、そのまま急に真面目な顔になる。


「さて、レヴァイが本気で魔王と戦うと言うなら俺から言わなきゃならない事がある」


「何だ?」


 装備の増強かそれとも道具の見直しか? 今後パーティーが強くなるにあたっての提案なら大歓迎だとレヴァイは思ったが、ナックルから告げられた話の内容はレヴァイが思いもしなかった内容であった。


「パーティーのヒーラーだがな……ソイルをクビにして、別のヒーラーを雇わないか?」


 思いもしない内容であったが、何の根拠も無しにナックルがこのような提案をしてくるとも思えないレヴァイは


「……聞くだけ聞こうか?」


 と返答するしかなかった。

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