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第4話 薔薇姫の再臨
魔方陣が発動して、分かった。
魔法の種類のは召喚魔法だったらしい。
現れたのは鮮やかな赤髪の少女、だと一瞬思った少年と、小柄な茶髪の少女だった。
少年の名前は咲護、少女の名前はなずなという。
彼らは別の世界の学生で、戦いの心得はまるきりないようだ。
けれど、少年の方は驚くほどその容姿が、薔薇姫に似ていた。
見る人の視線を集める赤い髪。
それは薔薇姫の者だけの色。
ルギーは彼らを保護した。
しかしだから、この国の者たちは彼らを救世主としてまつりあげようと考えたのだろう。
それを証明するように発見者であるルギーには、身に余るような功績が与えらえた。
彼らのことは正直気の毒だとは思うが、自分の地位を引き換えにしてまで、かばうほどではない。
「気分はどうでしょう。何か必要なものはありますか」
だから彼等とは、あくまでも平和的に彼らと意思疎通を図るのみだった。
といってもこちらの性格が悪いことは、彼、咲護には知れてしまっているようだ。
「世間話はどうでもいいから、単刀直入に用件に入ったら? 僕は君みたいにお喋りを楽しむ趣味はないんだ」